幸せなカップルの人生が暗転! 映画『百日告別』が泣ける!!

2017.3.6
愛する人を失う悲しみに寄り添う、台湾映画『百日告別』。
百日告別

結婚を控え、婚約者レンヨウと購入したマンションで招待状発送の準備をしていたシンミン(カリーナ・ラム)。結婚後は二人でこぢんまりしたレストランを開店する計画も立てている。そして旅行会社に勤務するユーウェイ(シー・チンハン)は、ピアノ教師の妻と二人暮らしの家に新たに誕生するはずの小さい命を心待ちにしていた。平凡だけど幸せに生きるふた組のカップルの運命は、高速道路の玉突き事故で大きく変わってしまう!?

愛する人を失ったとき、残された人はどうやって喪失感を受け止め、悲しみを乗り越えていけばいいの? この物語はシンミンとユーウェイが百日目の法要までにそれぞれのやり方で喪失と悲しみを受け止める姿を描いた静かな人間ドラマです。愛妻を病で亡くしたトム・リン監督が自身の体験から発想したもので、物語の隅々まで監督が感じた痛みや体験が反映されています。主人公たちの心理描写がとてもリアルだし、何よりも当事者の悲しみに優しく寄り添う監督の思いやりが伝わります。

妻子を失ったユーウェイは最初、事故の原因となった運転手に激昂しますが、当の男性が事故死していたので怒りの矛先を見つけられないまま。やり場のない怒りを何にぶつければいいのかわからず、ぶつけたとしても悲しみは紛れません。一方のシンミンは茫然自失のまま現実に押し流されるだけ。婚約者の父親が喪主となる葬儀では疎外感を味わい、婚約者の本棚にあったギャグ漫画を読んでも出てくるのは涙だけ。

悲しみにくれながらも平静を装って日常をやり過ごそうとしたり、愛する人がいなくなった部屋で物思いに沈んだり、思い出の漫画やピアノ曲に涙したり。過剰な演出をしないで心の機微を丹念に描いていくリン監督のストーリーテリングにグイグイ引き込まれていきます。近い人の死を経験したことがない人であっても、二人が折々に感じる気持ちに共感せずにはいられないはず。初七日や四十九日法要の節目ごとに寺に通って読経する台湾の葬儀習慣の時間軸に合わせて二人の心模様の変化を描いているのは、「悲しみを癒すには時間が必要」という監督からのメッセージなのでしょう。もちろん癒し方は人それぞれ。ユーウェイは妻の教え子に授業料を返済しながら妻の思い出を他人と共有することで徐々に心が穏やかになります。でも、シンミンは悲しみを断ち切ろうとしてショッキングな行動に出てしまいます。

百日告別

本作で台湾のアカデミー賞ともいえる金馬奨最優秀主演女優賞を受賞したカリーナ・ラムは、深い悲しみと離別の受諾を表現する静謐な演技を披露します。また彼女とは対照的な、悲しみを爆発させるユーウェイを演じたシー・チンハンのリアルな演技も印象に残ります。

愛する人を失うなんて悲しいことは、誰だって想像したくもありません。でも、万が一のことが起きてしまったら? この映画を観た人はきっと、「悲しみ」と対峙して何度も傷つく心を癒しながらも自分の中で折り合いをつけることが大事だと痛感させられるはず。たとえ心が砕けても、拾い集めたかけらを不器用な手つきで修復するしかありません…。できれば愛する人と一緒に観てほしい作品です。

監督・脚本/トム・リン 出演/カリーナ・ラム、シー・チンハン、チャン・シューハオ、リー・チエンナ、アリス・クー、マー・ジーシアンほか 渋谷・ユーロスペースにて上映中。全国順次公開。(C)2015 Atom Cinema Taipei Postproduction Corp. B’in Music International Ltd. All Rights Reserved

※『anan』2017年3月8日号より。文・山縣みどり

(by anan編集部)

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