本田響矢さん

放送中のドラマ『波うららかに、めおと日和』で大注目の本田響矢さん。どんなシチュエーションでも絵になる変幻自在な七色の魅力を持つ本田さんの、硬派な素顔とは――。


昭和初期、正式な顔合わせもないままに結婚した男女が、日々の営みの中で少しずつ距離を縮めていく様を描いたドラマ『波うららかに、めおと日和』。恋愛経験のない妻・なつ美(芳根京子)と、不器用ながらも誠実な夫・瀧昌。互いを想い合う優しさと、ピュアなふたりの歯がゆくも初々しいやり取りが大きな注目を集めている。

「ありがたいことにこの作品で初めて僕のことを知ってくださった方も多く、これまで出演作品をあまり見てくれていなかった地元の友だちも、見てくれるようになって。いろんな方から『元気をもらっています』と言っていただけるのはすごく嬉しいです」

瀧昌を演じるのが本田響矢さん。端正な顔立ちに凛とした佇まい。一見クールなようで、ドギマギしたり嫉妬したり、ちょっとデレたり。そんな愛らしいギャップに心を掴まれた人も多い。

「瀧昌は、普段は無表情で、何を考えているのかわからないと言われるぐらい堅物な人だけれど、そう見えているだけで、実際の心の内はいろいろ動いているんですよね。それがなつ美さんとの出会いによって、いい意味で人間味が外に出るように変化していっている。僕自身も瀧昌の、周りから見られているイメージとは逆の、心の内が見えてくるシーンが好きで、すごく楽しくお芝居をさせていただきました」

精悍で堅物な帝国海軍中尉の瀧昌は、本田さんにとってこれまであまり演じてこなかった役柄。

「これまで男気が強めな硬派な役柄はあまりなかったのですが、僕自身、小学校3年生から高校まで剣道をやってきていて、瀧昌と感覚的に近いところもありました。小関(裕太)さんが演じている同僚の深見との関係性も、部活をやっていた頃のような感じがあって落ち着くんです」

自身を客観的に分析すると、「負けず嫌いなタイプ」だとか。

「興味が強いものほど、その傾向が強くて。今は仕事にすごく興味があるから、そこで思わず出てしまうことが多いです」

もともとドラマが好きだったというが、自分とは「無縁だと思っていた世界」。しかし、足を踏み入れてから、この仕事にどんどん魅了されていった。

「この業界に入らせていただいて、周りにいる演技の仕事をしている方々を見ると、みなさんすごく楽しそうで興味が湧いたのが最初です。そこから演技のワークショップに行きお芝居の面白さも難しさも知って、せっかく挑戦できる場所にいるならばやってみたいと思うようになりました」

より深くお芝居にのめり込むきっかけとなったのは、一見クールだが内に情熱を秘めたカメラマンを演じたドラマ『ANIMALS』、事故で恋人との記憶だけを失ってしまう主人公を演じたドラマ『ジャックフロスト』。

「『ANIMALS』は、これまでの役者人生の中で一番ひとつの役に向き合う時間が長かった作品で、プロデューサーの池田(克彦)さんに、作品や役をしっかり愛してあげることの大切さを教えていただきました。その時間が大事だと知ったことが、今もこの仕事を続けている大きなモチベーションになっています。『ジャックフロスト』は、セリフがセリフじゃない感覚がすごく強かった作品でした。台本を1回読んだだけでセリフがすっと頭に入ってきたし、監督や共演の方々とのセッションも含め、いろいろなことが合致したんだと思います」

自分とはかけ離れたキャラクター。自分にはない感情。なのに、役を演じている瞬間、自分の内側から確かな想いが溢れ出す。

「思ってもいなかった感情が出てくる瞬間があるんですよね。怒るとか泣くというような、激しいものでなくても。たとえば瀧昌を演じているときに、芳根さんが演じるなつ美さんの何気ない表情や言葉に、心があったかくなったり笑顔になったり。僕自身は知らない時代の物語なのに、役としてそこにいると自然とこみ上げてくるものがあるって面白いですよね」

ただ、そこに至るための事前の準備は徹底する。「作品に入る前に、役の履歴書みたいなものを書くことが多い」という。

「マネージャーさんから提案を受けて3年くらい前からやり始めました。家族関係とか友だちとか、作品の中には出てこない役のバックボーンってありますよね。それを、原作があるものは原作を読み込んで、ないものは台本から想像して書いていくんです。生年月日なんかも考えたりして。自分の役を、誰より一番知っていないといけないと思うし、誰よりも僕が愛してあげないといけないと思うんです」

言葉の端々から芯の通った真面目さと一途さが垣間見える。そんな本田さんにも可愛い弱点が。

「バンジージャンプがほんっとに苦手なんです。以前に一度経験があるのですが、飛んだときに変な声出ましたから(笑)」

本田響矢さん

Profile

ほんだ・きょうや 1999年6月20日生まれ、福井県出身。ドラマ『セトウツミ』で俳優デビュー。近作に、主演ドラマ『すぱいす。』、連続テレビ小説『虎に翼』など。10月開幕の音楽劇『エノケン』が控える。

ベール¥275,000(ヴィヴィアーノ TEL:03・3475・5725) パンツ¥44,000(ガラアーベント/サーディビジョンピーアール TEL:03・6427・9087) ビーズネックレス(オイル/ジョワイユ TEL:03・4361・4464) その他はスタイリスト私物

写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・井田信之 ヘア&メイク・岩村尚人 取材、文・望月リサ

anan2451号(2025年6月18日発売)より
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No.2451掲載

二の腕&背中 ウエスト絞り

2025年06月18日発売

anan恒例の占い特集の最新版。激動の2025年後半の行方を人気占い師たちが導き出します。G・ダビデ研究所、Keiko、鏡リュウジ、星ひとみ、yuji、しいたけ.など超豪華ラインナップです。

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