疲労への対処法を変え、リフレッシュ上手に。
気付かぬうちに蓄積している疲労。疲れを取ろうと休日ゴロゴロした結果、かえって疲れが増したような気がする……、なんて経験、誰しもあるのでは?
そこで注目したいのが、意識的・効率的に休養をとる“リフレッシュ活動=リフ活”。暮らしのなかで休養を意識することで、疲労を溜めにくく心身ともに健康な状態へと導けるのだとか。疲れのメカニズムを解明する「休養学」の第一人者である片野秀樹さんに聞きました。
「疲労とは、さまざまな要因により心身の活動能力が減退している状態のこと。きちんと休養をとることで解消できますが、怠ると解消しきれない疲れが少しずつ蓄積し、さまざまな不調を引き起こす要因になります」
では、疲労を溜めずに回復するコツはあるのでしょうか?
「実は、ただ体を休めるだけでは肉体の疲労しか解消できません。精神の疲労は、心が休まり英気を養うような活動をして解消するのが効果的です。そうやってリフレッシュするまでを疲労回復と捉えて休養を心がけると、心身ともに元気な状態を保つことができると思います」
正しい休養をとるための“リフ活”術で参考にしたいのは、休養学が提唱する「休養モデルの7つの方法」。片野さんによれば、できるだけ多くの方法を取り入れるのがよいのだそう。
「たとえば、絵を描くのが趣味なら、友達と(親交型)、旅をして(転換型)、グルメ(栄養型)や街歩き(運動型)を楽しみ、旅先の風景をスケッチする(娯楽型、造形・想像型)など、生理的、心理的、社会的にリフレッシュできる行動がおすすめです。自宅であれば、ハーブティーを飲みながら、好きな映画を観て、セルフマッサージするなどもいいかもしれません」
そして、そもそもの休養に対する意識を変えることも大切なことなのだといいます。
「平日の疲れを週末にリセットするのではなく、週末に養った英気を翌日以降の仕事に生かすように発想を転換し、ポジティブな休養を意識してみてください。休養学では、1週間を週末2日、平日5日の順で考える『2→5の法則』と呼んでいますが、この意識があれば、仕事が忙しいとわかっているときは、平日半ばに休養の時間を確保しておくなど、より能動的に休養を取り入れられると思います」
疲れが溜まりにくい体質になるだけでなく、休養を通して自分の機嫌をとる方法を把握することにもつながるリフ活。ぜひ意識して実践してみては?
リフ活に取り入れたい7つの休養モデル
リフ活を実践するうえで意識したい、7タイプの休養モデル。自分の志向や気分に合わせて、7つの型を上手に組み合わせることで、心身ともにリフレッシュすることができる。
【1】休息型
マッサージや入浴をはじめ、睡眠、何もせずぼんやり過ごすなど、心身をいたわり、休めるリフレッシュ術。休息することにより、肉体や精神、脳など全身を鎮静化する効果が。
【2】運動型
ヨガやランニング、ジムなど、適度に体を動かすことによるリフレッシュ。運動により気分がすっきりするだけでなく、体内では老廃物を除去したり、新陳代謝を促す役割も。
【3】栄養型
旬の栄養たっぷりの食事のほか、甘いものやアルコールなど、食を通じたリフ活。プチ断食や回復食のように、疲れた胃腸を休め、消化・吸収機能を整えるための食事も含まれる。
【4】親交型
家族や親しい人とのコミュニケーションをはじめ、ボランティアや地域貢献など社会との交流を感じる行動、自然や植物、動物との触れ合いを通して得られるリフレッシュ。
【5】娯楽型
自分の好きなことを思う存分楽しむことによって得られる休養。コンサートやテーマパークに行くような活動的なものから、家でゲームや動画の視聴を楽しむようなものまで該当。
【6】造形・想像型
絵を描いたり、お菓子や料理を作るなど、何かを生み出すようなクリエイティブな活動により得られる休養。読書や思索を巡らせることなど、内面的に広がりのある活動も含まれる。
【7】転換型
旅行やショッピング、レストランでの食事など、自分を取り巻く環境を変化させることでリフレッシュする方法。部屋の模様替えや片づけ、断捨離などもこれに分類される。
片野秀樹さん 医学博士、日本リカバリー協会代表理事。リカバリーウェア開発メーカーを起業する傍ら、疲労を科学し解決する「休養」に着目。その重要性と認知度を高める活動を展開する。
※『anan』2021年12月22日号より。イラスト・菜々子 構成、文・宮尾仁美
(by anan編集部)