冬場の夜の温活は、ルーティンで抜かりなく。
例年よりも、さらに体のことに気を配りたい今年の冬は、“万病のもと”といわれる体の冷え対策を抜かりなく行いたい。そのキモはやはり冷え込みが厳しくなる夜。そこで、モーニングルーティンならぬ、ナイトルーティンに、温活を取り入れてみませんか?
「リモートワークが一般的になったこともあり、家で過ごす時間が増えた人も多いはずです。そうして歩く時間が短くなり、脚の筋肉を使う回数が減ると、体が熱を作り出せず、冷えやすくなることが考えられます。温活を毎日のルーティンに取り入れて、冷えない体作りを心がけることが大切です」(医学博士・福田千晶先生)
「温活には、体の冷えを取ることと、熱を加えて温めるという2つの方法があります。両方向からのアプローチを併せて行うと効果的です」(医師・芦澤裕子先生)
今回は、寝る4時間前から実践したい温活を時間別に紹介します。
寝る4時間前:ルーティン意識を入れる導入時間
仕事が終わったら、まずは気分をプライベートモードに切り替えよう。ルームウェアに着替えたら、体を温かくキープするような工夫を取り入れて。熱が逃げやすい場所は重点的にカバーを。
部屋着で、冷えやすい肩と首をカバーする。
ルームウェアに着替えた時に冷えやすいのが、首や、肩から二の腕にかけての部分。「首は熱が放出されやすく、また、肩や二の腕は寒さを感じた時に縮こまりやすいパーツなので、しっかりと保護するようにしましょう。ウェアにプラスしてブランケットをかけたり、ケープを取り入れるのもおすすめです」(福田先生)
足底&かかとをカバーしてくれるルームシューズを履く。
床からの冷えや放熱対策として、ルームシューズを履くことはマスト。「ソックスだけでは床下からの冷気に対応できない可能性が大きいので、シューズを取り入れましょう。スリッパタイプは、かかと部分から暖かい空気が逃げやすいため、足全体をしっかりと包むルームシューズを選んでください」(福田先生)
夕食やお酒はこの時間までに済ませておく。
睡眠不足は基礎代謝が低下し、冷えの原因になることも。「夕食が遅いと就寝中に胃腸が活動し眠りの妨げになります」(芦澤先生)。「お酒を飲むなら早めの時間に。冷えないよう、熱燗やホットワインなど温かいものを」(福田先生)
寝る3時間前:お風呂前の整え時間
食事をした後は少しの休憩を挟んでから、温かく眠るための準備をスタートしよう。体がポカポカになる適度なエクササイズをしたり、寝具を温めておくのはこの時間に。ほんの少しの行動で、冷えをグッと改善!
体が温まる簡単なエクササイズをする。
入浴するまでは、体全体を動かして体温を上げておくことが大事。「ストレッチやDVDを見ながらのダンス、エクササイズ系のゲームをするなど、自分が気軽にできるもので温まりましょう。おすすめは、みんなが知っているラジオ体操です。通してきちんとやると、想像以上に体が熱くなりますよ」(福田先生)
お風呂に入る前に、必ず水分補給をする。
入浴後に冷たいドリンクが飲みたいと感じる人は、体の水分が不足している可能性が。「たとえお風呂から出た後でも、体が冷えるので冷たい飲み物はNGです。そうならないよう、入浴前に水分を補給しておきましょう」(芦澤先生)
寝る前に適度に温まっているよう、布団を温めておく。
寝具が冷たいと、せっかくこれまでやってきた温活が無駄になってしまうことも。「快眠へと導く布団の温度は、体温より少し低い33°Cくらいといわれています。入浴前に布団乾燥機や湯たんぽを使って温めておきましょう。ただ、温度が高すぎると眠りにくくなるため、布団に入る前には外してください」(芦澤先生)
寝る2時間前:お風呂で温めの仕上げ時間
HOTナイトルーティンにおける要ともいえるのが、毎日のバスタイム。より効果を高めるための温度や入浴法、プラスαで行いたいマッサージや忙しい人にぴったりのフォローテクも紹介します。
お風呂は40°C前後のお湯に20分ほど浸かる。
熱すぎないお湯にきちんと浸かることが大切。「38~40°Cのぬるめのお湯にゆったりと20分程度浸かることで、体の表面だけでなく内側も温まります」(芦澤先生)。「額に汗がにじむくらいが、体が温まった目安です」(福田先生)
湯船に浸かる時間がない人は、パーツ温めとホットドリンクで補てん。
お風呂に浸かる余裕がない人は、パーツを手軽に温める方法でカバーして。「43°Cくらいの熱めのお湯に手をつける手湯や、足浴をすることで血流が良くなります」(芦澤先生)。「ハーブティーや白湯などのホットドリンクは、体の中だけでなく手元を温めるアイテムとしても役立ちます。体温より高い温度にしましょう」(福田先生)
湯船では耳、頭皮のマッサージをし、血の巡りを良くしておく。
バスタイムを活用してマッサージをすると、さらに血流がアップ。「手のひらで頭を覆って頭皮を動かしたり、生え際や頭頂部、耳の上あたりを優しくほぐすと、頭の血行が良くなり体全体が温まります。また、耳には冷え対策となるツボがたくさんあるので、耳全体や耳たぶを、優しく揉んで刺激してください」(芦澤先生)
寝る1時間前:ぐっすり眠るためのリラックス時間
入浴後は、深い睡眠が得られるように、体を休めながら温める時間にするのが正解。寝室を眠りやすい環境に整えることやリラックス効果のあるストレッチを、入眠儀式として取り入れてみよう。
室温をチェックし、睡眠に適した温度に調整する。
いい眠りのためには体の深部体温がきちんと下がることがポイントになる。「そのためには部屋が暑すぎてもいけません。熱の放散がうまくできるよう、暖房を18°Cくらいにしておきましょう」(芦澤先生)。「エアコンをつけて寝る場合は、風が直撃しないよう、風向きを調整するなど工夫をしてください」(福田先生)
湯上がりの冷えを防ぐため、腰にカイロを貼る。
お風呂から出た後で体の冷えが気になる場合は、カイロを活用してみよう。「腰にある仙骨という骨のあたりにカイロを貼って温めてみてください。大きな血管が通っているため体全体に熱が届きやすく、ポカポカします」(芦澤先生)
激しい動きにならない、リラックスストレッチで体をほぐす。
疲れない簡単なストレッチには、体と心を緩めて温める働きがある。「手足の冷えを感じている人は、ベッドに仰向けになり、手と足を垂直に上げて、30秒~1分程度ぶらぶらと揺らしてみてください。体全体の7割の毛細血管が集中している手足を心臓より高く上げることで、手足と体の両方が温まります」(芦澤先生)
福田千晶先生 医学博士。健康科学アドバイザーとしても活動。『40代からはじめるもっと太らない体づくり』(笠倉出版社)など監修書、著書多数。
芦澤裕子先生 医師。市川メンタルクリニック院長。『GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な 眠りのむかえ方』(翔泳社)など書籍の監修も行う。
※『anan』2020年12月9日号より。イラスト・ery 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)