ランチタイムを終え、午後の仕事も頑張るぞと思った矢先、急に眠くなってウトウト…。そんな経験をしたことは誰しもあるはず。眠気を我慢しながら仕事をしても頭が働かずパフォーマンスは下がるし、ミスを招くことも。そこでアメリカのグーグルやナイキの本社、日本ではヤフージャパンなど、世界の大手企業がいち早く導入しているのが“パワーナップ”。昼寝を意味する「nap」と「power‐up」を合わせた造語で、日中にする10~30分程度の短い睡眠のこと。NASAやアメリカの海兵隊でも、集中力向上、疲労回復、脳の活性化などさまざまな効果が得られることが検証済みで、医学的にも実証されている。
「ギリシャで行われた研究では、心臓病のリスクが37%下がったとの報告があり、健康効果にも期待できます。またリフレッシュ感が得られ、QOL(生活の質)も高くなるので、昼寝はパフォーマンスと心身の健康の両方にいい影響を及ぼすといえます。ただし、ルールをしっかりと守ることが重要です」と、睡眠コンサルタントの友野なおさん。
ルールは下記の通り。なかでも一番気を付けるべきは、昼寝する時間の長さだと、最先端の睡眠研究を行う櫻井武先生。「昼寝は、深く眠ってはいけません。人は寝始めてからノンレム睡眠のステージ1、2、3と順に深いところに入っていくのですが、ステージ3に入るまでに30分以上かかります。ステージ3の深い睡眠まで入ってしまうと、然るべき時間をかけないと覚醒に至るまでの準備ができないので、起きたときにすごくボーッとして、思ったようにパフォーマンスが発揮できません。なので、昼寝はステージ2までの段階でとどめておくべきです」。また、長い昼寝は夜の睡眠に支障をきたす場合も。昼寝はどんなに長くても30分以内、理想は20分以内と覚えておきたい。
日本でも、2014年に厚生労働省が昼寝の効果と制度導入を推奨したことで、企業が昼寝時間を設け始めたり、オフィスやコワーキングスペースに仮眠室を設置するなど、パワーナップがじわじわと広まっている。今までは居眠りしていると白い目で見られることが多かったが、昼寝はいいことずくめなので堂々としてよし。パワーナップを上手に取り入れ、仕事の生産性アップ&病気予防を!
正しいお昼寝の仕方
パワーナップの効果を最大限得るために守りたいルールはこの6つ。覚醒するまでに時間がかかるので、ぐっすり眠りすぎないことが最大のポイント。習慣づけると、自然と短時間で起きられるようになる!
1、午後早めの時間
午後の眠気のピークに合わせて、昼寝はランチ後の昼休みの時間帯から午後3時までの間に済ませること。それを過ぎると、その日の夜の睡眠に悪影響を及ぼす場合も。
2、アイマスクを活用
光や音が気になるなら、アイマスクや耳栓などを活用すると入眠しやすくなる。寝顔を見られるのが恥ずかしい場合には、マスクも効果的。
3、座ったままでもOK
机にうつ伏せになるか、椅子の背もたれに寄りかかった状態で目を閉じるだけでも効果がある。近くに壁があるようなら、壁に頭をあずけ固定すると、さらにラクに!
4、アラームをセット
確実に起きられるように、スマホのアラーム機能を有効活用。眠る前にアラームを20分後にセット。アラームが周りの迷惑にならないよう配慮も。
5、時間は20~30分
目覚めたあと、すぐに活動できるように、時間は長くても30分、できれば20分以内が理想的。これ以上長いと、かえって効率が落ちて逆効果。
6、直前にカフェインを
コーヒーやお茶、チョコレートに含まれるカフェインは、摂取後30分ほどで覚醒効果が現れる。事前に摂っておくと、すっきりと目覚められる。
アメリカ・シアトルのグーグル本社には、最適な姿勢と環境で眠れる最新式の快眠マシン「ナップポッド」が導入されている。
ヤフージャパンの本社には、社員がいつでも利用できる畳敷きの仮眠スペースが。
さくらい・たけし 筑波大学教授。国際統合睡眠医科学研究機構副機構長。著書に『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』(講談社)など。
ともの・なお 睡眠コンサルタント。SEA Trinity代表。自身が睡眠を改善したことで、体質改善に成功。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりが得意。
※『anan』2019年9月11日号より。写真・青木加代子 イラスト・田中麻里子 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)
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