「腸」は年中無休だから! 知っておきたい“消化の流れ”

ビューティ
2019.07.17
24時間365日、休むことなく腸で行われている消化活動。食べ物の消化・吸収の流れを知れば自分の腸が愛おしくなるかも!? 教えてくれたのは、顕微鏡解剖学、健康科学を専門とする島田達生先生です。

胃から食べ物がやってきた! 十二指腸で、消化・吸収の準備。

intestine

胃液で殺菌され、柔らかくなった食べ物が到着。ここでは消化を進めるために、膵臓と胆のうから届いた膵液と胆汁を吹きかける。膵液は強い消化酵素を含み、タンパク質と炭水化物を分解。胆汁は、脂肪を水分と混ざりやすくさせる役割。

長い長い小腸では、腸液をかけて食べ物の栄養に分解。

長~い小腸を通るあいだに、腸壁からジワジワ染み出した腸液を食べ物にかけて、消化の仕上げが行われる。肉も魚もパンもバターも、ここまでくるとアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などに細かく分解、カラダが吸収しやすい栄養素の形に。

絨毛、500万本の出番! 吸収した栄養は、血液に乗って全身に。

ご馳走を待っていた約500万本もの絨毛が、分解された食べ物から栄養素の吸収をスタート! 絨毛を通る毛細血管とリンパ管が栄養素をたっぷり吸収し、ほかの臓器へどんどん出荷。ここで残った食べカスは、便の材料として大腸へGO。

人間の食べ残しは、腸内細菌が美味しくいただきます!

次に待ち構えるのは、大腸の中にすんでいる細菌たち。小腸で吸収しきれない食べカスを食べて、“代謝物”と呼ばれる様々な物質を作り出す。善玉菌は健康に役立つ代謝物を、悪玉菌はガスやニオイの原因となる代謝物を作る。

食べ物が、いよいよ大腸に。時間をかけて水分を吸収します。

最後にたどり着いたのは、食べカスの脱水場。便としてカラダの外へ送り出すべく、水分を吸い取って、ほどよく柔らかい状態に整える。ここに食べカスが長くとどまると、便が水分を失いすぎてカチカチになり、便秘の原因にも。

腸内細菌って?

腸内にすむ細菌群のこと。約1000種類、100兆~1000兆個存在する。地域や人種、または個人によって、持っている種類は様々。

善玉菌

人間にとって嬉しい働きをする菌のこと。最新の研究で、アレルギー緩和や免疫力アップ、うつ病の改善、肥満解消など、メリットを持つ善玉菌が次々に発見されている。

【代表的なもの】
・乳酸菌…乳酸を作る菌の総称。乳酸には悪玉菌の増殖を防ぐ効果が。
・ビフィズス菌…乳酸菌の仲間。乳酸や酢酸のほか、ビタミンB群を作る。
・アッケルマンシア…腸の粘膜を健康に保つほか、免疫機能を高める。また、ガンの抑制、肥満防止に役立つ可能性あり、との報告も。

悪玉菌

人間にとって、悪影響をもたらす菌のこと。腸内の食べカスを腐らせる。ガン、肥満、アルツハイマー病などのリスクを高める可能性のある腸内細菌が発見されている。

【代表的なもの】
・ウェルシュ菌…腸内の食べカスを腐敗させ、ガスや臭いニオイの原因に。
・ディフィシル菌…大腸に炎症を起こして、下痢や発熱の原因を作り出す。

日和見(ひよりみ)菌

善玉菌と悪玉菌の優勢なほうに味方する、優柔不断な腸内細菌。全腸内細菌の約7割といわれ、体調や食生活によって善玉にも悪玉にもなるので、ぜひ味方につけたい。

【代表的なもの】
・大腸菌…炎症の原因になることもあるが、体調がよいときは無害。

島田達生先生 大分医学技術専門学校校長、大分大学医学部名誉教授。専門とするのは顕微鏡解剖学、健康科学。『WONDER MOVE 人体のふしぎ』(講談社)ほか多数監修。

※『anan』2019年7月24日号より。イラスト・サヲリブラウン 取材、文・風間由美子

(by anan編集部)

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