このたび、百田尚樹原作の映画『フォルトゥナの瞳』にて4度目の共演を果たす神木隆之介さんと有村架純さんに、「大切な人への想いの伝え方」を伺いました。
神木:賛同、批判、告白など、伝えたい内容によって変わるとは思いますが、電話やメールよりは、直接口で伝えるほうが楽です。言い方や表情で調整がききますから。
有村:私も直接か電話ですね。相手の言葉を受け止めながら伝えられますし、キャッチボールをしないと真意が伝わらないことってある気がします。
神木:一番誤解が生じやすいのは、メールやSNSなどデジタルの文字。絵文字や「!」を使わずにそのままの文面だと、送る側は軽い気持ちで書いた言葉が、受け取るほうは重く冷たく感じることがあり、温度差が出てしまうことがあると思います。
有村:メールやLINEは、受け取りながら「どういうニュアンスなんだろう?」と考える必要がありますね。そうやって相手の気持ちを想像する時間というのも、いいものなのかもしれないけれど。
言葉には力があるからポジティブな言葉を。
有村:私は、言葉には言霊があると思っているんです。だから、大事に使いたい。願いごとも口にすることで絶対に叶うと信じてこれまでやってきました。言葉には力があるからこそ、ネガティブなことはなるべく口にしないようにしています。
神木:言葉によって気持ちは連鎖するから、せっかくなら、自分も周りも楽しくなる言葉を使いたいです。
有村:でも、ネガティブな気持ちを溜めすぎるのもよくないので、ときにはデトックスするつもりで、わざとポジティブな言い方で言うんです。たとえば、「(溜め息交じりに下を向いて)あー疲れたー」より、「(明るくはじくように)なんか疲れた!」というふうに言ったら、ネガティブな思いも放てるんじゃないかと。
神木:言い方のバリエーションで雰囲気は変わると思います。お芝居でも、役の人物の性格や、そのときどういう気持ちでその言葉を言っているかによって、トーンも言い回しも全然違ってきます。あと、本心かどうかは、音の質量でわかる気がしています。
有村:質量?
神木:「ありがとう」や「ごめんなさい」「全然、平気」という言葉でも、心からそういう気持ちがあったら、そんな音にはならないのではないかなと思う。
有村:たしかに「それ、適当に言ってるでしょ?」と感じることってありますね(笑)。
神木:そういう言葉は空っぽな音に僕には聞こえる。言葉は使い方次第で武器にも防御にもなると思います。上手ではなくても自分に素直な言葉で。
有村:言葉は人を傷つけてしまうこともあるし、心ない言葉で、追い詰められて死んでしまう人だっています。本当に怖い。だからこそ、このお仕事をしているかぎり、一言一言考えて発言しなければと思います。
神木:僕にとって思い出深い言葉は、マネジャーさんの一言。20歳くらいまで、映画の舞台挨拶で、全然うまく話せませんでした。難しい言葉を使ってみたり、頑張って大人っぽく話そうとして、空回りしていた。そうしたら、あるときマネジャーさんが、「いつも通りでいいんじゃないの?」と言ってくださった。「一生懸命に映画の説明をするのもいいけれど、背伸びせずに、『頑張ったので、ぜひ観てほしいです』の一言でも、そのまま素直に伝えたら?」と言われて楽になりました。
有村:私もデビューのころ、オーディションを受けても「存在感がない」「印象に残らない」と言われて落ち続けて、悩んでいました。特別な個性があるわけでもないし普通だし、どうしたらいいんだろうと。そうしたら、当時のマネジャーさんが「私は普通の人間だけれど、(演技では)こういうことができますと伝えたらいいんじゃない? そのままで」と言ってくださいました。そうしたら、そこからは「普通だからこそ、君はいいんだよ」と言ってくださる方が増えてきた。そのままの自分を肯定できるようになったんです。いまでも嘘のない気持ちを自分の言葉で伝えたいなと思います。
神木:伝えたい気持ちに正直であれば、うまく伝えようとしなくてもきっと伝わると思っています。
Q.大切な人へ、想いをどう伝えていますか?
神木:直接会って、面と向かって伝える方法が一番自分の気持ちにしっくりきますが、手紙も好きです。全員にではないのですが、僕は毎年、年賀状を書いています。昔、共演させていただいた方だとか、年に1度の近況報告になってしまっていますが、手書きの文字はやっぱり温かみが伝わりますし、お返事をいただくのも嬉しいので続けています。今回は三木監督にお手紙をいただけたのがとても嬉しかったです。
有村:どんなときも、相手の言葉を真摯に受け止めて、ちゃんとそれに向き合って、真摯な言葉を返したいなと思っています。たとえば、何かに対して友達が憤ったり落ち込んでいたとしたら、まずは友達の言葉を聞きたい。共感できることだったら「そうだね。そういうことあるよね」と受け止めてから話します。また、離れている家族には「大好きだよ」とか、言葉で伝えるようにしています。面と向かっては恥ずかしくて言えませんが(笑)。
かみき・りゅうのすけ 1993年生まれ。NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演中。『屍人荘の殺人』が公開予定。
ドビーコート¥40,000 ベスト¥25,000 トラウザーズ¥23,000(以上JOHNBULL/ジョンブルカスタマーセンターTEL:050・3000・1038) その他はスタイリスト私物
ありむら・かすみ 1993 年生まれ。‘17年に主演を務めたNHK 連続テレビ小説『ひよっこ』の続編が3 月放送予定。
ニット¥63,000 スカート¥110,000(共にジェントリー ポルトフィーノ/ウールン商会TEL:03・5771・3513) その他はスタイリスト私物
※『anan』2019年2月13日号より。写真・来家祐介(aosora) スタイリスト・百瀬 豪(神木さん) 瀬川結美子(有村さん) ヘア&メイク・MIZUHO(神木さん) 尾曲いずみ(有村さん) 取材、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
※みんなで始めればもっと楽しい。地球にやさしい選択(クールチョイス)。
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