映画評論ユニット「お杉とB子」が今回おすすめするのは『台北暮色』。
台北暮色1

お杉:旅先としても大人気の台湾だけど、映画も良作ぞろい。台湾映画というだけで観たくなる。現代都市を切り取っても叙情が溢れているの。

B子:この作品もまさにそう。庶民の平凡な日々を映し出してるだけなんだけど、そこから登場人物たちのいろんな思いが伝わってくる。

お杉:アパートで鳥を飼う女シュー、大家の息子のリー、アパートの修繕にやってくるフォン。彼らの人生がひょんなことから交錯するわけ。

B子:それぞれワケありなんだけど、大事件が起こるわけじゃない。シューの携帯にジョニー宛ての間違い電話が何度もかかってくるのが気になるけどね。ささいな出来事によって、3人ともが新たな一歩を踏み出すような、踏み出さないような…。

お杉:「ああ、わかる~」っていう余韻がたまらない。プロデューサーを務めたホウ・シャオシェンが「台北の現在の姿を描けたのは、エドワード・ヤン以来」と言うのも納得よ。

B子:都市の風景が、彼らが自覚していない孤独をふわりと立ち上がらせる。その風景がまた絵になるの。

お杉:その味わいは、台北には行ったことない私でも不思議な懐かしさを感じるくらい。

B子:東京みたいな場所もいっぱいある街なのに、あえて人気スポットじゃないところで撮ってるのよね。

お杉:フランス映画がいかにもな観光スポットで撮らないのと同じね。

B子:そんなリアルな生活者の息吹を感じさせる風景が、4人目の主人公というか、本当の主人公なのかも。

お杉:気ままに日々を生きてるように見えるシューの抱える痛みが明らかになるにつれて、映画館にいる女性客の気持ちはひとつになるはずよ。

B子:タイトルに惹かれて観たけど、大正解。台北には夕暮れが似合う。

お杉:英題は『Missing Johnny』だけどね!

台北暮色2

『台北暮色』 監督・脚本/ホアン・シー 出演/リマ・ジタン、クー・ユールン、ホアン・ユエン、ケイ・ホアンほか 11月24日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。©3H Productions Ltd

台北暮色3

お杉とB子 お正月映画も間近。大作ひしめくなか、エイミー・シューマーの『アイ・フィール・プリティ!』(12月28日公開)に期待!(お杉)
インド女性が直面する文化と経済の悩みを描く『パッドマン 5億人の女性を救った男』(12月7日公開)は、お薦め!(B子)

※『anan』2018年11月28日号より。イラスト・いいあい

(by anan編集部)



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今日は二十四節気では小暑であり七夕です。ただ、この時期は梅雨の最中ですから、この行事は本来の旧暦で行うほうが天気に恵まれやすくてよいだろうと思います。さて、今日の暦も昨日に引き続き先進性や文化性のある日ですが、新しいものを垣間見る程度にするのが吉と出ています。深入りすると現状を疎かにしてしまうからです。

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