奇跡のバレエ団として名高いバレエ・リュスの、実在の人物をモデルに描く『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』の著書・桜沢エリカさんにお話を伺いました。
漫画

バレエに疎くても、ニジンスキーというダンサーの名前は聞いたことがあるだろう。とはいえ彼が活躍したバレエ・リュスを知っている人は、バレエ好きでもそう多くないかもしれない。しかし、シャネル、ピカソ、マティス、コクトーなど錚々たる芸術家とコラボしたバレエ団と聞けば、俄然興味が湧くはずだ。

「私自身、バレエが大好きなのですが現代モノしか観ていなかったので、バレエ・リュスのことは知りませんでした。調べてみたら、今あるバレエの大本になっていると言っていいほどすごいバレエ団だったんです」

物語の軸になるのは、ニジンスキーと、ディアギレフという天才プロデューサー。ニジンスキーはディアギレフと出会ったことで、ヨーロッパで一躍スターに。ふたりは同性愛の関係にあり、これまで描かれていたディアギレフ像は、良くも悪くもニジンスキーを支配する意地の悪いオジサンというイメージが強かったそう。しかしながら桜沢さんの描くディアギレフには、人間らしい魅力が。

「いわゆるオネエだったと思うんですけど、自分の目指す世界観を完成させるための冷徹さを持ちつつ、占いを異様に信じていたりして、なんだかかわいらしいんですよね」

ニジンスキーはというと、バレエ・リュスに在籍した期間が実際はそう長くなく、のちに精神を病んでしまうのだが、伝説化されている人物だけに描き方を悩んだようだ。

「写真で見ると役柄によって全然雰囲気が違うし、スタイルも現代の感覚からするとあまりいいとはいえない。でもバレエシーンには、やっぱり力が入りましたね。若い頃はベッドシーンを描くのが好きだったんですけど、今はバレエシーンがそれに代わった気がします。体を描くのが好きなんでしょうね、きっと」

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陰のキーパーソンであるミシアというパトロネスとシャネルの描き方も効いていて、彼女たちの物語ももっと読みたくなる。事実とは信じがたいほど濃密な時代を知る入門編としては、申し分のない一冊だ。

さくらざわ・えりか 漫画家。10代でデビューして以来、恋愛マンガの名手としてコミック誌やファッション誌など多方面で活躍。『メイキン・ハッピィ』『天使』など著書多数。

奇跡のバレエ団として名高いバレエ・リュス。史実としても楽しめるし、友情そして恋愛物語としても味わい深い。実在の人物をモデルに描くのは初だそう! 祥伝社 1200円 (C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス

※『anan』2017年12月27日号より。写真・水野昭子(本) インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)


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