意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「BeReal(ビーリアル)」です。
若年層に人気。映えを気にしないリアルなSNS
近年シェアを伸ばしているSNSが「BeReal」です。フランス生まれの画像共有アプリで、Z世代を中心に世界で人気を集めています。
このアプリは、スマートフォンの内カメラと背面の外カメラが同時に起動します。1日1回、ランダムな時間に「2分以内に投稿してください」という通知が来て、その時間に投稿しないと投稿したことがタイムラインに周知されません。内カメラで顔を、外カメラで周りの風景を同時に撮るということは、その時間に誰と何をしていたかがリアルにわかるんですね。
これまでのSNSはインスタグラムを筆頭に、写真映えすることをよしとして、加工や演出をして“盛る”ことでキラキラした姿を見せ合う競争が加速しました。Xでは発言に対して叩き合うような場面も増えています。BeRealには画像の加工機能はついていませんし、過去に撮った画像はアップできません。従来のSNSに少々疲れてしまった人々が、フェイクではなく、飾らないリアルな自分を見せ合う、優しいSNSだと共感を呼んでいます。
投稿は1日で消え、自分が投稿しないと友達など他人の投稿も見られない仕組みです。なので、友達の様子を見たいために投稿すると、結果的に、例えば田舎の親の投稿も見ることになり、親子で近況を知ることになるなど、近すぎず離れすぎもしない、心地よい距離感も人気の理由のようです。
今年の春の時点で、世界では4000万人の利用者がおり、日本でも急速に伸びています。ヴァリューズ社の調べによると、今年8月現在で、日本のユーザー数は113万人でこの2年の間の伸び率は937%に上りました。ユーザーの8割は13歳から23歳です。
2024年11月に、BeReal社で日本国内初の社員として起用された国定希生さんは「今、私たちが求めているのはダイアログよりもダイアリーです」とおっしゃっていました。ノーメイクだったり、部屋が散らかっていたり、その時見ているものをそのまま共有することにより、皆が日々ささやかな日常で奮闘していることがわかります。競い合いではなく、フェアなSNSは今後も広がっていくでしょう。
五月女ケイ子解読員から一言

「中学生の間でも流行っていて、娘もやってますが、昼間に家でよく通知が来てるので会社勤めの人には結構難しそう。好きな時間にも投稿できるので、お出かけの時に口を隠して、結局盛りめ投稿が中学生のトレンドっぽい。時代を感じながら眺めています」
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2473号(2025年11月26日発売)より



























