
SDGsやエシカルという価値観は定着した感はあるけれど、問題の根本にまで目を向けられていない人も多いのでは? 今回は、SDGsにまつわる気になる話題を7つピックアップ。世界がいま抱える問題を堀潤さん、影山優佳さんが解説します。
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Profile

堀 潤
ほり・じゅん 1977年7月9日生まれ、兵庫県出身。元NHKアナウンサー。「8bitNews」主宰、株式会社わたしをことばにする研究所代表取締役副所長。TOKYO MX『堀潤 Live Junction』に出演中。著書に『災害とデマ』(集英社)など。

影山優佳
かげやま・ゆうか 2001年5月8日生まれ、東京都出身。2023年に日向坂46を卒業。最近の出演作にドラマ『シナントロープ』、『未来予測反省会』など。テレビ東京『バカリズムのちょっとバカりハカってみた!』、日本テレビ『ウェル美とネス子。』に出演中。
トランプ政権で変わるSDGsの“当たり前”
カナダが提唱する“中堅国家”が今後の鍵に
昨年1月に第2次トランプ政権が誕生し、環境やジェンダーに関して、それまでとは違う姿勢を表明。昨年3月の国連総会では米国代表が「アメリカの国益に反する」として、「2030年までの持続可能な開発目標を拒否し非難する」と発表。SDGsを支持する決議に反対票を投じた。ウクライナやガザの戦争が長引く中、今年1月「アメリカはグリーンランドを領有すべき」と意欲を示した。
「協力し合うのが当たり前という価値観が共有できなくなりました」(堀)
そんな中、スイスで開かれたダボス会議でカナダのカーニー首相が、中堅国家が連帯し、新たな秩序を築くべきだと発言し、注目を浴びた。
「日本も中堅国家としてリードする時です」(堀)
女性総理誕生と日本のジェンダー・ギャップ
遅れていたジェンダー平等が加速なるか?
昨年の日本のジェンダー・ギャップ指数は世界118位。SDGs目標5の「ジェンダー平等」は日本の長年の課題だった。それが昨年10月、高市早苗さんが第104代内閣総理大臣に就任。内閣制度が始まって初の女性総理に。
「高市政権が誕生したことで、ジェンダー平等に関しては少しステージを上げることになると思います」(堀)
「古い慣習の中で認識されてこなかったジェンダー・ギャップもあると思います。女性総理という先駆者が生まれてムーブメントになり、多くの人々に注目されることは価値があるのではと感じます」(影山)
2月の衆院選は自民党が圧勝し、第2次高市内閣が発足。今後、政界や自治体、一般企業で女性の活躍が広がることに期待。
LGBTQ+理解にブレーキがかかる日本
同性婚の違憲性を問う訴訟で初の「合憲」判決
同性婚を認めないことの違憲性を問う訴訟。日本では東京、大阪、名古屋、札幌、福岡で6件の訴訟が起き、うち5件は「違憲」とされたが、昨年11月の東京高等裁判所で初めて「合憲」の判決が下された。裁判長は、同性婚に関する法律は国会で審議されるべきと述べた。
「最高裁に持ち越されますが、LGBTQ+の理解は少々後退。アメリカではトランプ大統領が性的マイノリティへの圧力を強めて、当事者が不当な差別を受けるなどの問題が起き、メディアで触れるのはやめておこうという空気も。いまこそ向き合わなければいけないと思います」(堀)
「排除するのではなく、レインボーカラーのように、彩りとして個々を尊重できたらいいですね」(影山)

紙ストロー見直しから考える環境意識
個々の事情を鑑み、選択できる自由も
プラスチックゴミ削減のため、多くの外食産業で、ストローを紙に替えていたが、「ふやける」などの不満も上がり、日本マクドナルドでは昨年11月から紙ストローを、ペットボトルをリサイクルした冷たい飲み物用の飲み口付きフタに切り替え。スターバックスコーヒー ジャパンでは、植物由来のバイオマスプラスチック製ストローの導入を開始した。
「体の不自由な方にとっては、ストローがなければ安定して飲めないという事情があるかもしれません。みんなやめるではなく、必要な人は使うという選択肢があるといいですね」(堀)
「一人の行動がどのくらいゴミ削減になるのか、数字を見える化したら、個人の取り組み方も変わる気がします」(影山)
“外国人問題”の本当の課題
個別の問題、対策に丁寧に向き合うべき
昨年の参院選以降、「外国人問題」というワードが目立ったが、一括りにすることが問題だと堀さん。
「過剰なインバウンド政策の問題、ビザの発給要件の問題、不動産投資の問題など、個別に課題があり、制度を作る側の問題なのに、まるで外国人が全て悪いような言われ方が広がってしまった」(堀)
よくわからないものに対して、恐怖や不安が煽られやすいのではないかと影山さんは指摘する。
「一刀両断系のメディアの強い言葉を受けて曲解してしまったり…。自分たちとは違うとバリアを張るのではなく、『そういう考えもあるんですね』と受け流す姿勢で臨めたら。具体的に何が問題で、どう環境が整えばいいのか冷静に見ていきたいと思います」(影山)
古古古米騒動で読み解く日本の米問題
食品ロスの問題とも併せて対処が必要
気候変動による不作もあり、米の価格が高騰。昨年、政府は備蓄米の古古古米や古古古古米まで放出し、価格調整を行おうとした。
「需要と供給のバランスの問題ですが、そもそも日本の米の消費量は減り続けています」(堀)
惣菜やおかずの種類が増え、白米で空腹を満たす食生活ではなくなった。消費が減っているのに生産を増やしても解決にはならない。
「米不足の一方で、1人当たり茶碗1杯分の食料が毎日廃棄されている、食品ロスの問題もあります。両方に目を向けた対策が必要です。2024年の米高騰は8月の南海トラフ地震臨時情報を受け、米の買い占めが起きたことも加速の原因に。報道に振り回されず、冷静に行動することも大事ですね」(堀)

こども食堂と日本の貧困の実情
広がる貧困。孤立対策も兼ねた交流の場に
現在、こども食堂は全国に1万か所を超えた。
「経営が逼迫するこども食堂が増えていた中、中間支援団体『NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ』が立ち上がり、食料や支援金を分配する仕組みができ、ACジャパンで広告も打つようになりました」(堀)
背景には、広がる深刻な貧困がある。日本は等価可処分所得が中央値の半分(2021年基準で年収約127万円)未満の相対的貧困が約15.4%。6人に1人が貧困状態。ひとり親の家庭が多く、高齢者の貧困も増大。貧しいというレッテルを貼られて「こども食堂」は利用しづらい問題があったため、最近はどんな家庭の子でも、高齢者も利用できる地域交流の場として、孤立対策にも役立っている。
写真・千葉タイチ スタイリスト・合田凪沙(ALCATROCK/影山さん) ヘア&メイク・福寿瑠美(PEACE MONKEY/堀さん) 栢木真弓(影山さん) イラスト・AZUSA 取材、文・黒瀬朋子
anan 2486号(2026年3月4日発売)より















