取材場所に現れた木村佳乃さん。はつらつとした明るい表情には、一気にその場の空気を和らげる、不思議な力が宿っている。
――3年ぶりの舞台に向けて、稽古の真っ最中だそうですね。
木村:そうなんです。劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」の主宰者である倉持裕さんが、脚本と演出をされるんですが、細かい動作など、ものすごく緻密に演出がなされていて、すでにとてもおもしろい。一応コメディといわれているんですけれど、倉持さんからは、「コメディとは思わずに演じてください。“笑い”はまったく意識しなくていい」と言われていまして、真面目に、普通のお芝居としてやってます。でも不思議なセリフが多くて、思わずプッと笑っちゃう。倉持さんのお芝居って、「ワッハッハ」という感じではなく、すごく深いところを突いてくる感じなんですね。家に帰ってからふと思い出し、「あれ、おもしろかったな、ムフフ」という感じ。すごく知的な笑いです。でも1時間半程度のお芝居で、まだ脚本が20分くらいしか…って、稽古が始まって間もないので、騒ぐほどのことではないんですが(笑)。
――でも、稽古が始まっているのに脚本が出来上がっていないというのは、一般的には不安な状況ではないのでしょうか…。
木村:全然(笑)。たぶん倉持さんの頭の中には、構成は全部あると思うので、ゆっくり書いていただければ。すでにすごくおもしろいので、本当にまったく心配していません。私個人としては、脚本が上がらないより、シェイクスピアの長台詞が来る方が怖いです(笑)。
――その、ちょっとやそっとのことでは動じない、ドンと構えた感じ。まさに大人の女性ですね。
木村:えぇ~?! そうですか? 全然私、そんなことないんですよ?
――昔から木村さんを知るご友人の方々は、木村さんのことを、どんな方だとおっしゃいますか?
木村:……(笑)。あの、「永遠の小学4年生の男子」だと言われます。いたずらばっかりしてるような感じ。あれですよ、人の靴を隠したり、カバンに変なものを入れたり、部屋に誰かが入ってくるのがわかったら隠れてワッと驚かせたり…。そんなことばっかりしてます。で、「またやんの? それ」ってよく言われます。そんな人です(笑)。
――お持ちのスマホが先ほどちょっと目に入ったのですが、かわいらしいキャラクターのシールを貼っていらっしゃいませんでしたか…?
木村:あ、あのシール(笑)。ええ、私が買って、私が貼りました。小学生のときにすごく流行ってたんです。それで、つい貼っちゃった。
――それにしても、優等生的、清楚、そんなイメージがあるので、その感じ、正直驚きです…。
木村:デビューした20代の頃は、なんかそういう役が多かったんですよね。私としては、ものすごく意外だったんですが。役柄の印象って強いんだな、と思ってました。とはいえ、特にそのイメージが窮屈だったというわけではないんですけれども。でも、30歳を越えたくらいから、徐々に役の幅が広がってきた気がします。
――確かに、そのあたりから、いろいろと解き放たれた印象が…。
木村:バラエティとかに出るようになったことですか? フフフ。でも実はバラエティに出させていただくこと、自分ではそんなに深く考えていなくて。楽しそうだな~、その世界に入りたいな~、と思ってるだけなんですけどね。
――でも、いわゆる<女優>がバラエティで、いろんなことにチャレンジをするのは、昨今ではかなり異色な気がします。
木村:私の中で、あんまり線引きがないんです。それこそ昔の女優さんって、コントとか、たくさんなさってたじゃないですか。かの有名なドリフターズの『8時だョ!全員集合』の坂を上るコントを、いろんな女優さんがやられていましたし、そういえば森光子さんもコントが本当にお上手だった。演者本人が楽しくて、視聴者の方も喜んでくださるなら、私は全然アリだと思ってるんですけどね。若い頃は、番組の宣伝でバラエティに呼んでいただいたとき、<木村佳乃>としてコメントするべきなのか、役柄に近づけてコメントするべきなのかがわからず、戸惑っているうちに番組が終わることがよくありました。でも30代中頃を越えてから、私が楽しかったらいいのかな、というところに落ち着けるようになった気がします。
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