
睡眠の質は、目覚めた直後からの生活習慣で決まります。そこで朝・昼・夜とそれぞれの時間帯に実践したいテクニックを一挙紹介。どれもちょっとした心がけで実践できるものなので、特に気になるものをいくつか日々に取り入れてみて。
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朝・昼・夜の過ごし方で眠りの質は変わる
睡眠を充実させるためには、24時間周期の生活習慣が大切。まずは朝、しっかりと体を目覚めさせる行動が夜の快眠をつくる。「起床後すぐ朝の光を浴びて、軽い運動で筋肉を起こす。起床から1時間以内に朝食を摂るなど体に朝が来たことを知らせる行動が大事です」(内科医・小林義昭さん)
昼から夕方にかけては、覚醒状態をキープすること、そして脳疲労をためない過ごし方が鍵。
「夜まで眠る力をためておきたいので、帰りの電車での居眠りは禁物。またスマホの通知をオフにす
るなど自分のペースで過ごせる仕組みづくりで、外からの刺激で蓄積する“アロスタティック負荷”を軽減することができます。そして夜はスムーズな入眠のための環境づくりを。就寝の3時間前からは部屋の光量を下げ、深部体温を下げるため1時間前には入浴を済ませる。そうした、眠りから逆算したルーティンを意識しましょう」(作業療法士・菅原洋平さん)
さらにはエアコンの使い方などを工夫すれば寝苦しい熱帯夜もぐっすり。一日を通しての小さな工夫で、毎日の快眠をつくろう。
① 就寝の1時間前までには入浴を済ませる
就寝時の放熱を促す、お風呂のベストタイミング

入浴すると深部体温が0.5℃ほど上がり、その後60~90分かけて体温は下がる。「その下がった時が就寝のタイミング。なので1時間前には入浴を終えましょう」(菅原さん)。その効果を最大にするのが夕方の運動。「体温が上がる夕方に運動した上で入浴すると、深部体温の低下がより顕著に起き、入眠がスムーズになります」
② お風呂上がりに軽いマッサージを取り入れる
カフェインが午後の眠気を寝る前に筋肉をほぐせば副交感神経優位になり、心も体もリラックスすっきりと仕事に向き合える

入浴して寝るまでの間、何をして過ごす? おすすめはマッサージやストレッチ。「お風呂上がりは体が温まっていて筋肉の柔軟性が上がっているので、ストレッチやマッサージの効果を得やすい。またストレッチで筋肉の緊張がほぐれると副交感神経が優位になり、心拍や筋肉の緊張もほどけるのでスムーズに寝付けます」(小林さん)
③ 夕食後には間食は控える
翌朝までの“絶食期間”を長くとることが生体リズムを整える

寝る前の夜食はNG。「夜に間食する人ほど眠りが乱れやすい傾向があります。それは体が一日で一番長い絶食期間の後の食事を朝のサインと理解しているから。絶食期間を長くするためには夕食を早めに摂るのも手。休日の夕食を1時間早く摂るだけでも、リズムが整います。できれば10時間以上の絶食時間を設けましょう」(菅原さん)
④ 考え事が多い日は「眼球を10秒端に固定」
眼球の動きを止めてぐるぐる思考をいったんストップ

夜になると考え事が止まらない!? それは脳内を整理する時に働く神経回路・デフォルトモードネットワーク(DMN)の暴走かも。「日中タスクに追われていると、寝る前にDMNが活発になり不眠の原因になります。そんな時は眼球を左右どちらかの端に10秒固定してください。眼球運動が止まれば脳の暴走も止まります」(菅原さん)
⑤ お風呂にはスマホを持ち込まない
脳の負荷を下げるバスタイムに新たな刺激は禁物

「お風呂はその日にたまったアロスタティック負荷を減らす時間。お湯に身を委ねて深呼吸などして過ごしてください」(菅原さん)。一番のNG行為はスマホの持ち込み。「新しい情報に反応して脳が休まらないので、どうしても手放せない人はお気に入りのドラマを流し見するなど、新たな刺激の少ないコンテンツだけを選んで」
⑥ 40℃のお湯に10〜15分間浸かる
熱め&長めは禁物。ぬるめのお湯にさっと、体にやさしい入浴を

「お風呂は40℃くらいのお湯に10~15分浸かるのがベスト。熱いお湯だと交感神経が刺激されて夜は逆効果。特に夏は浴室内の熱中症も増えるので、体に負担がかからない温度と時間を心がけましょう」(小林さん)。一方、シャワーだけでは効果はいまいち。「皮膚温度は上がりますが深部までは温まらないので短時間でも入浴が一番」
⑦ 就寝前の3時間は部屋を暗くする
部屋の天井の四隅がくっきり見えていたら明るすぎのサイン

就寝前は部屋の照明を落とし気味に。「500ルクス以上の明るさの場所に寝る前3時間以上いると、眠りのホルモンであるメラトニンが50%ほど減るといわれています。天井の四隅がくっきり見えていたら明るすぎのサイン。実は日常生活はその半分以下の明るさで十分です。入浴中は脱衣所の灯りだけにするのもいいですね」(菅原さん)
⑧ 就寝前に10分間ホットアイマスクをつける
温かさと適度な重みが体を睡眠モードに導く。夏にもおすすめ

「目の周りを温めると心拍数が下がって寝付きやすい。そこでおすすめは蒸しタオルのホットアイマスク。終わった後は眠気が来る人が多いので寝る間際に試してください」(小林さん)。蒸しタオルを瞼の上にのせるだけ。「ほどよい重みで筋肉が緩みます。タオルが冷めるまでの10分程度を目安に夏もぜひやってみてください」
お話を伺った方々
Profile
菅原洋平
作業療法士。国立病院機構でリハビリテーションに従事後、ユークロニア株式会社設立。薬に頼らない睡眠外来や、生体リズムや脳の仕組みをテーマに企業研修にも携わる。著書『「謎に眠い」を解きほぐす ―眠気の悩みをあきらめないセルフケア―』(オーム社)など多数。
小林義昭
内科医。こばやし内科クリニック院長。2002年、佐渡総合病院で睡眠無呼吸外来をいち早く設立。以来、睡眠時無呼吸症候群の分野で有数の診療実績を持つ。著書に『「やること多すぎ世代」の快眠図鑑~忙しくても“自然と眠れる”ルーティン50~』(小学館クリエイティブ)がある。
anan 2508号(2026年8月19日発売)より


































