値上げは今後も続く? 損をしないために知っておきたい“経済ニュースの読み方”

ライフスタイル
2024.04.22
実は世界経済の動きって、自分のお財布にもつながっているんです。そこで毎日見聞きする経済ニュースから気になる疑問をピックアップ。自分ごととして捉えれば、お金との向き合い方も変わってくるはず!

株価高騰、金利上昇…暮らしは良くなるの? 経済ニュースの読み方、教えます。

メディアなどで見聞きする経済ニュースの数々。なんだか難しそうだし、自分には関係ない…と敬遠している人もいるかもしれないけれど、実は誰もが注目しておく必要あり! その理由を、経済のプロたちはこう指摘する。

「例えば、昨今の株高やビットコインの高騰にしても、以前から上がるのではというニュースが出ていました。それをチェックしたり、自分で精査したりしながら買っていた人は、今、世界経済の上昇分くらいの利益を享受しています。劇的な得とはならないかもしれませんが、最低限、損をしないためにも、経済ニュースは見ておいたほうがいいと思います」(調達コンサルタント・坂口孝則さん)

「キャリア形成を考えるうえでも、経済ニュースをチェックすることは重要です。どんな企業や職種に勢いがあるのかがわかるので、そこに向けたスキル習得の見極めにも役立てられます」(エコノミスト・崔真淑さん)

最近話題の経済ニュースが、私たちの生活にどう関わっているのか。ここで二人の解説から学び、今後の資産やキャリア形成に生かそう!

Q1、2月、日経平均株価が約34年ぶりに史上最高値を更新。景気は良くなっているの?

A、グローバル展開と国内需要。両者で景気の良さに明暗が…。

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日経平均株価とは、日本経済新聞社が選定した日本を代表する225銘柄の平均株価のこと。一時は4万円を突破したが、なぜこれほど値上がりしているのだろう。

「理由は3つ考えられ、1つは外国人投資家が日本の上場企業の株を買うようになったこと。2つ目は、新NISAが1月から始まり、国内の貯蓄が株式投資に流入したこと。あとは、半導体関連の株価の上昇が、日経平均を押し上げているという側面もあります」(坂口さん)

株価は“経済を映す鏡”ともいわれるけれど、日経平均株価が上がるということは、景気も上向いているということ?

「日経平均株価の主役であるグローバル企業やその関連事業は、上向いているといえるでしょう。しかし、日本で働いている人の多くは、海外との取引がなく、国内需要をメインとしています。そうなると株高の恩恵は受けられず、バブルの頃のように、社会全体で好景気を享受するような感覚には、なりにくいと思います」(崔さん)

海外とのつながりがあるか否かで、景気の良し悪しにグラデーションが生じているということ。とはいえ、国内需要の人たちにとって、この状況は肩を落とすばかりではないよう。

「バブル期は企業価値が過剰に評価されて株価を押し上げていたという背景がありますが、今は相応に評価されている印象です。この株高は、一部の上場企業の利益が、今後は中小企業を中心に行き渡っていくと信じるのに十分な材料といえるのではないでしょうか」(坂口さん)

Q2、熊本に台湾企業の半導体工場を建設。日本の景気アップのカギになるってホント?

A、熊本はもちろん、日本の長期的な景気上昇に期待が持てます。

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2月、台湾企業「TSMC」の工場が熊本県に完成。日本政府はこの世界的半導体メーカー誘致にあたり、今後建設される第2工場も合わせて最大1兆2000億円を補助。開所式には齋藤経済産業大臣も出席する歓待ぶり。日本はどんなメリットが期待できる?

「熊本では、すでに新工場で働く人の雇用が生まれています。経済を長期的に成長させていくためには、非正規ではなく正社員をいかに増やすかが重要です。収入が安定すれば、家を買うなどの見通しも立てられるはず。こうした大きな消費が増えるほど、経済はどんどん発展していきます」(崔さん)

ほかにも期待されるのが、デジタルブームの追い風。

「AIなどデジタル産業は今後も右肩上がりで、来年までに二桁成長するという予測があります。こうした利益を海外に流出させず国内で享受できるように、また日本経済を持続可能な形で伸ばしていくためにも、半導体工場をはじめデジタル関連の企業を日本に留め置くことは、非常に重要です」(崔さん)

ただ、海外の企業だと撤退などのリスクもあるのでは?

「そのため日本の半導体産業を復活させようという機運も近年高まっています」(崔さん)

Q3、物価高で相変わらず暮らしは厳しい! 値上がりは今後も続く?

A、賃金アップを目指しつつ、物価の上昇は今後もじわじわ続く兆し…。

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値上げの春。4月から紙製品は10%前後、食品は2800品目ほど価格が上昇。家計は圧迫される一方で…。

「近年、価格が上がっているもののなかでも目立つのが、輸入品です。円安や、ウクライナ情勢など世界の紛争によるエネルギー価格の高騰が、値上がりの原因と考えられます。こうした状況にもかかわらず、日本の家計に占める輸入品の割合は、年々増え続けている。そのため物価高が、大きな打撃になりやすいのです」(崔さん)

ただ、物価上昇は、悪いことばかりではないという。

「物価の値上がりとともに、賃金もアップする。このサイクルを目指して、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)は、毎年2%程度の物価上昇を目標にしています。物価以上に賃金が上がれば、問題ない。ただ、今のところ賃上げがそこまで追いついていない状況です」(崔さん)

これでは単に生活が苦しくなるだけだと思うけれど…。ところが賃上げしたらしたで、さらに物価が上がる可能性も!?

「アメリカやヨーロッパでは賃金の上昇に伴い、物価も上がっていますが、賃金上昇分の半分ほどが、物価に転嫁されています。日本も今後、大企業を中心に賃上げが進むと、その分物価に転嫁されるようなこともあるかもしれませんね」(崔さん)

崔真淑(さい・ますみ)さん エコノミスト。『サンデーステーション』(テレビ朝日)などメディアでの経済解説も。著書に『投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)など。

坂口孝則さん 調達コンサルタント。製造業を中心としたコンサルティングを行う。『スッキリ』(日本テレビ)に出演していたことでもおなじみ。『買い負ける日本』(幻冬舎)など著書多数。

※『anan』2024年4月24日号より。イラスト・菜々子 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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