写真・村上未知 文・鈴木恵美 PR・JR東日本
【岩手】三陸の名物&味覚と、いま行くべき旅行先で麗しの喫茶めぐり。
太平洋を望む開放的なロケーションの沿岸エリア、北東北の玄関口でレトロとモダンが共存する街並みが広がる盛岡。地域によって異なる気候風土や文化を持つ岩手県は、冬ならではの楽しみが満載。
沿岸エリア随一の景勝地として知られる三陸海岸を縫うように走る「三陸鉄道こたつ列車」は冬の風物詩。こたつで暖を取りながら、時折雪が舞う美しい海岸と地形が織りなす冬の景観を満喫できる。
一方、盛岡はニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」に選ばれたことで話題に。レトロ喫茶や地元民にも愛される居心地のよい洗練されたカフェは、温かい飲み物だけでなく、人の優しさに触れられ、ついつい長居したくなる。
<三陸>
冬の三陸の代名詞、こたつ列車に乗車。列車旅とともに、冬の味覚を満喫。
いくつもの湾が複雑に入り組んだリアス海岸を形成する三陸海岸。迫力満点の断崖に魅せられる海岸部をのんびり走るのが三陸鉄道リアス線だ。東日本大震災の津波によって大きな被害を受けたにもかかわらず、震災からわずか5日後に一部路線で運行を再開したことから“復興のシンボル”に。全線での完全復旧を果たし、震災前から運行していた冬季限定の「三陸鉄道こたつ列車」も再開され、今では東北を象徴する冬の代名詞となっている。
三陸鉄道こたつ列車は、宮古と久慈を結ぶ三陸鉄道リアス線で運行される特別列車で、この時期だけお座敷スタイルの座席がこたつ仕様に様変わり。こたつで暖を取りながら、車窓に広がる美しい海岸と地形が織りなす風光明媚な景観が楽しめる。
車内でうに丼などの海鮮弁当を味わうこともできるが、せっかく冬の三陸を訪れたのなら、この時期に旬を迎える海の幸をとことん堪能してほしい。三陸は、牡蠣の養殖も盛んに行われている地域で、栄養を蓄え、身がふっくらとして味が濃厚になる、冬がベストシーズン。海沿いの小屋で殻ごと豪快に蒸し焼きにしたアツアツの牡蠣を味わい尽くして。
さらに最近「瓶ドン」なるものが三陸・宮古の新名物として人気急上昇。牛乳瓶に旬の海の幸をギュッと詰め込んだもので、ご飯にそのままかけると海鮮丼に! 三陸土産としても喜ばれること間違いなし。
【三陸】盛岡駅からJR山田線で宮古駅まで約2時間20分。
三陸鉄道こたつ列車
旅情あふれる海や雪景色を眺めながら列車の旅。車内のイベントもお楽しみ。
靴を脱いで、掘りごたつ式の座席に足を突っ込みながら、アテンダントによる車内ガイドの案内で、三陸の冬の景色を満喫。うに丼、あわび弁当、ほたて弁当、大漁舟唄御膳など、海鮮弁当を予約(久慈駅からの乗車限定)して、三陸の海の幸グルメを味わいながら、ぬくぬくとのんびり行く列車旅が冬ならではの三陸の楽しみ方。秋田のなまはげによく似た岩手北部伝統の「なもみ」が突然出現するなど、車内ではユニークなおもてなしが満載。久慈駅12:07発~宮古駅13:50着、宮古駅14:42発~久慈駅16:40着の2本。3月24日までの土・日・祝日のみ運行。予約制。
DATA ☎0193・62・7000(三陸鉄道) 通常区間の運賃+指定席料金¥300。
写真提供:三陸鉄道株式会社
三陸山田かき小屋
ジューシーなエキスがあふれる、殻付きのホクホク蒸し牡蠣。
山田湾沿いにある小屋で、地元でとれたばかりの牡蠣の蒸し焼きを思う存分味わえる。地元の方々が殻付きの牡蠣を鉄板の上にスコップで豪快にのせて調理。殻をむいて提供してくれるので、あとは食べるだけ。三陸の豊かな自然の中で育った牡蠣は旨味エキスがたっぷり。レモンや醤油をかけても美味。牡蠣以外に、ホタテやミニアワビなども味わえる貝盛ミックスプランもあり。5月下旬まで。予約制。
DATA 下閉井郡山田町船越9-270 ☎0193・65・7901(山田町観光協会) 営11:00・12:00・13:00(土・日・祝日11:00・12:00・13:00・14:00)スタート 水・木曜休 40分牡蠣食べ放題の基本プラン¥3,700 アクセス/三陸鉄道リアス線岩手船越駅より車で約5分。
瓶ドン
三陸伝統の保存方法がヒントに。宮古発のご当地丼がブームの兆し!
濃厚な甘みとコクが感じられるとれたてのウニを牛乳瓶に詰めて保存する習慣が根付いている岩手県沿岸部。先人の知恵により、減菌処理を行った海水と一緒に牛乳瓶に保存することで、なかなか日持ちがしない生ウニの美味しさを長く保つことに成功。この独特なスタイルからヒントを得て、考案されたのが「瓶ドン」。ウニだけでなく、イクラ、ホタテ、トラウトサーモンなど、様々な三陸の海の幸を詰め込んだ瓶ドンは、市内飲食店9店舗のほか、宮古市魚菜市場や土産処など多数の店舗で販売。オンラインでも購入可。新鮮な魚介をアツアツのご飯にかけて召し上がれ。
DATA ☎0193・62・3534(宮古観光文化交流協会) https://kankou385.jp
<盛岡喫茶めぐり>
珈琲・喫茶店文化が根付く盛岡。自分と向き合う、静謐な時間を。
ニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2023年に行くべき52か所」に選ばれたことをきっかけに、国内外の旅好きの熱視線を集めている盛岡。高い評価を受けたのは、珈琲・喫茶店文化が根付いているというのが理由のひとつ。そう、盛岡市は知る人ぞ知るカフェ&喫茶店の街なのだ。
北上川の支流・中津川沿いの建物で約50年前から喫茶店として営業している『ふかくさ』。盛岡に新たな珈琲カルチャーを築いたロースターカフェ『Nagasawa COFFEE』。そして2017年に惜しまれつつ閉店した老舗喫茶店『六分儀』を、東京の喫茶店『蕪木』の店主・蕪木祐介さんが引き継いだ『羅針盤』。昔ながらのレトロ喫茶が多く残る一方で、喫茶文化に魅了された店主たちの新たな挑戦が、街に洗練された心地よさと彩りを与え、独自の進化を続けている。しかし、どの店も奇をてらった感じは一切なく親しみやすい。店内にゆったりとした時間が流れるのは、美しい稜線を持つ岩手山と、とうとうと流れる北上川に抱かれた盛岡の土地柄ゆえかもしれない。
なぜ盛岡に喫茶店やカフェが多いのか、それは3軒の店主に聞いても明確な回答は得られなかった。しかしどのお店も他にはない個性的な雰囲気と独特な世界観が広がり、その空間にずっと身を委ねていたくなる。懐が深く、すべてを包み込んでくれるような温かみと優しさにあふれ、心が落ち着く。ぜひそんな空間で心整える時間を。
【盛岡】東京駅からJR東北新幹線で盛岡駅まで約2時間10分。
ふかくさ
清流のほとりにひっそりと佇む、草木に囲まれた老舗喫茶店。
蔦のからまる建物の1階にある小さな喫茶店は、自然や季節の移ろいを感じられる隠れ家的な空間が落ち着く。特等席は、盛岡の中心地を流れる中津川の景色を独り占めできる窓際。ケーキセットが人気で、市内のお菓子店などから仕入れる2~3種のケーキから選べる。なかでもサイフォンで淹れる珈琲とミルクレープロールケーキが好相性。キリマンジャロをベースに、ブラジルなどの豆をブレンドした珈琲は、力強さがありながらもすっきりとしたキレが。
DATA 盛岡市紺屋町1-2 ☎019・622・2353 営11:30~20:00LO(日曜~16:00LO) 不定休 アクセス/JR東北新幹線盛岡駅より徒歩約22分。
Nagasawa COFFEE
珈琲の豊かな香りに包まれながら至福の時間を。
店内にはドイツのプロバット社のビンテージロースターが鎮座。様々な産地から高品質な生豆を仕入れ、焙煎、抽出、提供まで一貫して手がける1軒。地元出身の店主・長澤一浩さんは、震災ボランティアを機に「珈琲が持つ不思議な力」を実感。多くのお客様の好みに合わせられるよう、浅煎りから深煎りまで取り揃えている。シングルオリジン、ブレンドのほか、地元産のミルクを使ったラテアートが美しいカフェラテも評判。季節替わりのカフェスイーツとともに味わって。
DATA 盛岡市上田1-11-23 ☎019・681・6868 営11:00~20:00 水・木曜休 アクセス/JR東北新幹線盛岡駅より徒歩約20分。
羅針盤
盛岡の喫茶店文化を支えてきた老舗の息遣いを残しつつ進化。
『蕪木』の蕪木祐介さんは大学時代を盛岡で過ごし、前身の『六分儀』にもよく通っていた。その跡地が売られていることを知り、内装をほとんど変えずに開店。ネルドリップで淹れる珈琲と自家製チョコレートでもてなす。ぜひここで味わってほしいのが、岩手県出身の宮沢賢治の作品『土神と狐』に出てくる多年草から名前をとったホットチョコレート「かもがや」。ナッツのような香ばしさと深いコクが楽しめ、非日常の世界へと誘われるような感覚に。
DATA 盛岡市中ノ橋通1-4-15 ☎019・681・8561 営10:00~16:30LO(土・日・祝日9:00~) 月曜休 アクセス/JR東北新幹線盛岡駅より徒歩約28分。
冬の岩手を楽しみ尽くす!
宮古市魚菜市場
市民の台所としても活用される市場には、新鮮な海の幸がたくさん。
世界三大漁場といわれる三陸沖でとれた新鮮な海の幸をはじめ、青果・食品などを扱う市場。「瓶ドン」を取り扱う店も多数あり、お土産探しにもぴったり。海鮮丼などの食堂もあるので、宮古観光の合間に訪れて。
DATA 宮古市五月町1-1 ☎0193・62・1521 営6:30~17:30 水曜休 アクセス/JR山田線宮古駅より徒歩約13分。
浄土ヶ浜パークホテル
浄土ヶ浜近くの高台に立つ宿で、三陸の景色と美食に酔いしれる。
国立公園内に立ち、館内や一部の客室から太平洋を一望できる。夕食は地元三陸でとれた新鮮素材を用いたブッフェで海の幸三昧。太平洋を望む露天風呂での湯浴みも格別。
DATA 宮古市日立浜町32-4 ☎0193・62・2324 1泊2食付き¥29,260~。チェックイン15:00 チェックアウト10:00 アクセス/JR山田線宮古駅より車で約10分。
吉浜(きっぴん)食堂
地元民が秘密にしておきたい漁師直営の隠れた名店。
地元民の間でも評判が高い、夫婦で営んでいる海鮮料理店。漁師の店主が、三陸沿岸でとってきた新鮮な魚介を振る舞ってくれる。ナチュラルワインや地酒など、美酒も充実。
DATA 盛岡市開運橋通5-6 第五菱和ビル1F ☎019・613・9715 営17:30~21:30LO、バー営業21:00〜23:00 日・月曜休 アクセス/JR東北新幹線盛岡駅より徒歩約8分。
すっぱい林檎の専門店。
りんごの固定観念が変わる!? 酸っぱいりんご推しの稀有なお店。
『Nagasawa COFFEE』の隣にあるりんご専門店。岩手や青森県産の酸味の強い「ブラムリー」「紅の夢」など、震えるほど酸っぱいりんごを使ったジュースやアップルパイを販売。酸っぱさにハマる人が続出!
DATA 盛岡市上田1-11-23 ☎050・3700・0056 営11:00~17:00 月・火曜休 アクセス/JR東北新幹線盛岡駅より徒歩約20分。
東北ご自愛旅、他県もぜひチェック!
問い合わせ先・JR東日本