モノを手放し、時間を得て、資産を増やす。
「部屋がモノであふれて散らかっている人が、お金を貯めるのはむずかしいはずです」と、ミニマリストTakeruさん。
「まず、あふれている=買いすぎの表れです。そして整理できないのは、ひとつひとつを大事にしていないから。吟味せずに値段や気分でなんとなく買っている場合が多く、使わなかったり気に入らなかったりして、また別のモノを買うループに。そうして無自覚のうちに無駄な出費がかさみ続けてしまうのです」
一度大幅に手放すことで、モノや家計との向き合い方が変わって無駄遣いが減少。家事や服選びもラクになって時間に余裕が生まれ、気持ちも前向きに。
「僕自身、捨て活で時間と心の余裕を得たことが一番大きいです。その時間をお金の勉強や副業、投資にあてて資産を増やすことも可能です。人生は実験。試して損はないと思いますよ」
捨て活実践編。
まずはすぐ終わる小さなところや目につく場所から、選別して捨ててみよう。捨てて終わりではなく、増やさない毎日の心がけで適正量をキープ。
使っているか否かを冷静に判断しよう。
Takeruさんによると、一人暮らしの女性が所有するモノの数は、一般的な人で約1000個、モノが多く片付けられない人は約2000個だそう。
「この中で実際に使うのは、平均で200個ほどといわれます。その使っていないモノを少しずつ処分していくのです」
「今、使っているか」を基準に選別する。「いつか使う」など、残す言い訳をなるべく排除するのがコツ。「捨てたくなければ無理に捨てることはありませんが、所有するデメリットも冷静に考えることが大事です」
POINT 1
ハードルの低いところから手を付ける!
まずは財布やポーチ、机の上など、手を付けやすいスモールスペースから始めよう。次に、リビングやキッチンなどよく使う場所、最後にクローゼットなど自分の中でハードルが高い場所にトライ。「少しずつ難易度を上げていくと捨てる基準がわかってくるし、部屋がきれいになっていく達成感で挫折しにくいです」
STEP 1 スモールスペース(財布やポーチなど)
↓
STEP 2 一番使う場所(リビングや寝室など)
↓
STEP 3 ハードルが高い場所(片付けたいと思っている場所)
POINT 2
こういうアイテムはすぐに手放そう! 基準は「今、使っているか」。
1. 保管している場所や存在を忘れていたモノ
「あ、こんなのがあった!」と思いがけずに発見したアイテムは、自分に必要ないと判断して。「存在を忘れていたということは、なくても困りません。迷わず捨ててください。いつか使うかも…としまってもまた忘れるだけ。収納スペースの無駄遣いにもなります」
2. 今週・今月、使う予定がないモノ
「今の生活で使わないなら手放すのが基本」と、Takeruさん。直近1か月以内に使う予定がなければ捨てる候補に。「とっておく言い訳をしないように、期間で区切るのがおすすめです。洋服ならこの1年間で一度も着ていないなど、アイテムにより多少範囲を広げてもOK」
3. 写真を撮った時写ってほしくないモノ
部屋の写真を撮った時、違和感があったり、人に見せられないなら見直し対象。「写真を通すと客観視できます。写ってほしくないとか恥ずかしいと感じたら、置く場所が間違っているか、ないほうがいいということ。定期的に撮影してチェックしてみてもよさそうです」
4. 2回目の出番がなさそうなモノ
1回読んでもう十分という本や雑誌、履き心地の悪かった靴など、再び使う機会がなさそうなら、潔く処分しよう。「また、昔もらった賞状やトロフィーは、とっておくなら段ボールにしまい込まず、飾るようにしましょう。飾ることに抵抗があるなら、処分するのがベターです」
捨てる時の注意点
・無意識に増えるモノは意識してすぐ捨てる。
・損得より、なるべく早く手放すことを優先させる。
・捨て方がわからない時は、掃除後に調べる。
無意識に増えがちなレジ袋や紙袋、割り箸、DMなどは、「もらわない」「すぐ捨てる」を徹底して、なるべく家にとどまらせない。洋服や家電などは売って処分するのもアリだが、値段にこだわりすぎず、早く手放すことを優先させる。片付けている時に捨て方がわからない不燃物などが出てきたら、端にまとめておき、掃除が終わってから調べよう。途中で調べ始めると、そちらに時間をとられて片付け自体が頓挫する可能性が!
それでも捨てられない! そんな時は…?
一回ゴミ袋に入れて、捨てる罪悪感を薄める訓練をする。
もう使わなそうと思ったら、とりあえずゴミ袋へ。「罪悪感から捨てられない人が多いですが、ゴミ袋に入れるとあっさり捨てられたりします」
保留ボックスに入れて1週間後に再考する。
決断できない時は保留ボックスへ入れ、一定期間そのままに。「結局処分することがほとんどです。一気に捨てられない人にはいい方法です」
「寄付・売る・譲る」という手段を選ぶ。
寄付や売却、譲るなど、捨てる以外の方法も検討して。「どこかで活用されると思うと手放しやすくなり、お金や満足度も得られておすすめです」
ミニマリストTakeruさん 捨て活と節約や投資で豊かな人生を実現した経験をYouTubeで発信。著書に『貯まらない生活はもうやめよう』(KADOKAWA)など。
※『anan』2023年5月24日号より。イラスト・加納徳博 取材、文・熊坂麻美
(by anan編集部)