対人間に行っている振る舞いを実は、対AIにもしていた!
AIと人のコミュニケーション。この難しいテーマを考えるヒントになる本として、サイバーエージェントAI Labの馬場惇さんが推薦してくれたのが、『マインドインタラクション』。
「意図を持ったように見えるAIを含む人工物に対して、人が無意識にどんな反応を起こすのか、さまざまな研究を通じて知れます。実は、人は人工物を擬人化して、愛着を感じるようになるのがその一例。しかし、人と人のコミュニケーションレベルで、AIと感情のやり取りができる段階ではありません。双方向のコミュニケーションができるAIの登場はまだ遠い未来ですが、一歩ずつ近づいています。また、この本には、人とのコミュニケーションをよりよくするための科学的な知恵が隠れています。それを見つけながら読み進めるのも面白いと思います」
『マインドインタラクション AI学者が考える《ココロ》のエージェント』 山田誠二、小野哲雄
新しい発見と驚きの連続! AIと人間の相互作用。
タイトルは「人と人工物が持つココロの間でやり取りされる情報」と定義される著者の造語。対人関係のストレスを緩和するなど、AIが持つ可能性なども紹介。近代科学社 2200円
AIにまつわるウソ? ホント?
Q. AIはコミュニケーションが苦手?
A. ホント。
現状、言葉の意図を汲み取る、空気を読むという高度なレベルに達していない。感情は、喜怒哀楽がはっきりしていれば顔認識技術でわかるが、驚きと喜びの境目がわかりにくい興奮といった複雑な感情を読むのは困難。
Q. AIに仕事を取って代わられる?
A. 一部、ホント。
AIに仕事を奪われると危惧する人もいるかもしれないが、ルーティン化した一部の業務はこなせても、人間並みのコミュニケーションが実現しない以上、すべての仕事を丸ごとAIが“奪う”ことは現状、考えにくい。
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馬場惇さんおすすめのもう1冊
『賀茂川コミュニケーション塾 ビブリオバトルから人工知能まで』 谷口忠大
AIから見える、人間の特異な能力。
賀茂川のほとりにある喫茶店を舞台に、高校生と教授が人間やAIのコミュニケーションについて語らう。「難しい話題も、会話形式なのでサクサク読めます。私たちが当たり前のようにできる“空気を読む”“相手の意図を理解する”という行為がいかに複雑な振る舞いなのか、身近な例から理解できるでしょう」。教養みらい選書 1700円
馬場 惇さん サイバーエージェントAI Lab主任研究員。京都大学情報学研究科修了後、サイバーエージェントに入社。現在、同社AI Labで、接客対話グループリーダーとして、マツコロイドで知られる石黒研究室と産学連携する。
※『anan』2020年6月3日号より。写真・大内香織 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)