健康な骨を手に入れるためには、日々の食事も気にかけたいところ。骨を形成、維持するために必要な栄養素を豊富に含む優秀食材「サバ缶」をメインに、旬の食材も使いながら、骨に良い栄養素を美味しく取り入れられるレシピを提案。
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骨づくりの完全栄養食。「サバ缶」で賢く骨育!
丈夫な骨をつくるうえでの土台となるのが、日々の食事。
「まずは、しっかりタンパク質を摂りましょう。骨の強度に関わる『骨質』はコラーゲンで高められ、コラーゲンはタンパク質からつくられます」(整形外科医・矢吹有里さん)
さらに骨を硬くするカルシウムや、骨代謝に不可欠な亜鉛などのミネラルも必要になる。
「腸管からのカルシウム吸収を促すビタミンDや、骨への沈着を助けるビタミンKも大切です」
タンパク質といえば肉や魚に豊富に含まれるが、魚はカルシウムやビタミンDも供給できるので、骨育に理想的な食材だ。
「なかでもサバは、骨の強化に有効なオメガ3脂肪酸が含まれているという利点もあります。しかも、サバ缶なら骨まで食べられるので、カルシウムのさらなる補給が可能です」
そこで料理家で栄養士の田村つぼみさんが、サバの水煮缶と味噌煮缶を使った主食と主菜のレシピを考案。
「下処理不要で使える手軽さが、サバ缶の魅力。ビタミンKなどが摂れる食材と組み合わせたレシピで、一皿で骨育が叶います」(田村さん)
栄養バツグン&手軽に手に入る【サバ缶】
【カルシウム】骨を硬くするために必須の栄養素
骨の主成分で、硬い骨づくりに不可欠。効果を得るには、1日800mgの摂取が目安。サバのほかにも、小魚や牛乳、ヨーグルト、チーズ、小松菜などに豊富に含まれる。
【ビタミンD】カルシウムの吸収を助ける立役者
腸からのカルシウムの吸収を助け、骨にカルシウムを沈着させる働きがある。サバやサケ、イワシ、きのこ類から摂取可能。適度な日光浴も、ビタミンDの生成に欠かせない。
【タンパク質】骨の強度に関わる骨質アップの材料
骨質を強化するにはコラーゲンが必要で、コラーゲンの材料になるのがタンパク質。体重1kgあたり1.5gが1日の理想の摂取量。魚、肉、乳製品、大豆製品などから多く摂れる。
※今回のレシピに使用したサバ缶について 総量200g/1缶(食塩使用)のものを使用しております。メーカーにより塩分の違いがあります。味見をして調整してください。
さらに骨に良い栄養素をプラス!
【ビタミンK(VK)】カルシウムの沈着をサポート
骨にカルシウムが沈着するのを助け、骨の強度を保つために重要な役割を果たす。納豆に豊富で、週に3パックが目安。大葉や小松菜、ほうれん草もおすすめ。
【亜鉛(Zn)】骨をつくると同時に守る役割も!
亜鉛は骨形成を助け、丈夫な骨を維持するとともに、骨密度の低下を防ぐ。目安は1日10~15mgほど。亜鉛を多く含む食材の代表格は牡蠣。そのほか赤身肉や大豆製品、乳製品など。
【マグネシウム(Mg)】カルシウムや亜鉛と同様、骨を形成
丈夫な骨をつくるうえで必要なミネラル。ひじきやわかめといった海藻類、ナッツ類などに含まれる。皮膚から吸収されやすいため、マグネシウムの入浴剤を使うのも手。
サバとトマトとニラのピリ辛豆乳担々そば

味噌煮のコクとほどよい辛さが食欲をそそる
ビタミンKが豊富なニラは、サバの臭み消しにも有効。ここではサバの味噌煮缶を使用する。味噌煮はコクがあるため、練りごまがなくてもOK。そばは亜鉛とマグネシウムを含む優秀食材。
【材料(2人分)】
ニラ (VK)…2本、ミニトマト…6個、サバ味噌煮缶…1缶、A[調製豆乳…1カップ、中華だしの素…小さじ1、すりごま(Zn、Mg)…大さじ6、醤油…大さじ1と1/3]、そば(Zn、Mg)…適量、ラー油…適量
【作り方】
1、ニラは7mm幅に切る。ミニトマトは半分に切る。サバ味噌煮缶の汁すべてとAを混ぜ合わせてスープを作る。
2、そばを茹でて水でしめ、器に盛り付ける。サバ味噌煮とミニトマトをのせて1のスープをかけ、ニラを散らす。ラー油をたっぷりかけて混ぜ合わせながらいただく。
サバと納豆と大葉のパスタ

シンプルな和風ソースが素材の旨味を引き立てる
納豆はひきわりを選ぶのがポイント。細かく砕かれた断面により、ビタミンKの吸収率が高まるとされている。小麦ではなく豆のパスタを使うと、さらにタンパク質量がアップ。
【材料(2人分)】
大根…100g、大葉(VK)…4枚、サバ水煮缶…1缶、A[めんつゆ(2倍濃縮)…大さじ1と1/3、ごま油…小さじ2]、ひきわり納豆(VK、Zn、Mg)…1パック、スパゲッティ…160g、胡椒…少々
【作り方】
1、大根はおろして水気を切っておく。大葉は千切りにしておく。サバ水煮缶の汁すべてとAを混ぜ合わせてソースを作っておく。
2、スパゲッティを茹でて器に盛り付け、混ぜた納豆と大根おろし、大葉、サバをのせて1のソースをかけ、胡椒を振って完成。
サバとブロッコリーのチーズグラタン

共に発酵食品のチーズと味噌は味の相性抜群
シュレッドチーズと味噌煮は、味の相性もさることながら、どちらもタンパク質とカルシウムが豊富。さらにチーズは、亜鉛も摂れる優れもの。ブロッコリーでビタミンKを摂取。
【材料(2人分)】
ブロッコリー(VK)…80g、トマト…小1個、サバ味噌煮缶…1缶、シュレッドチーズ(Zn)…40g、胡椒…少々
【作り方】
1、ブロッコリーは一口大に切り、耐熱皿にのせてラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する。トマトは一口大に切る。
2、耐熱容器にサバ味噌煮缶(汁ごと)を入れ、ブロッコリー、トマトを交互に並べて胡椒をかけ、チーズをのせる。トースターで表面がこんがりとするまで焼く。
Profile
矢吹有里
整形外科専門医。ゆりクリニック院長。骨折や関節疾患などの治療に従事。また、女性に多い骨粗鬆症や股関節疾患の治療にも注力。
田村つぼみ
料理家、栄養士。女性誌や書籍『体が勝手に元気になる だる消しスープ』(アスコム)などで、体にやさしいレシピを提案。
anan 2465号(2025年10月1日発売)より