「優しい場を作りたかったんです」。そう話す大井博司シェフが始めるのは、コーヒースタンドもあるお菓子屋。『モンサンクレール』で長年腕を磨き、『ル ショコラ ドゥ アッシュ』ではスーシェフを務めた彼だけに、もちろん生菓子は並べつつ、メインは焼き菓子にするという。ふらっと立ち寄ってマドレーヌ一個とコーヒーで癒されたり、大切な人を思ってギフトを探したり。目指したのは日々をお菓子とともに豊かに過ごせる場所、なのだ。
『sarkara』の焼き菓子はどれも、甘さの中にしみじみとした旨みがある。聞けばお菓子ごとにブラウンシュガーなど数種の砂糖を違う割合でブレンドするほか、あちこちに工夫が潜んでいるよう。レモンケーキなら「生地をレモンやベルガモットなどのシロップに、サヴァランみたいに漬け込むんです」。かじるとサクッと崩れる甘酸っぱいグラスアロー(糖衣)に生地がとろけるようにジューシー! ちりばめられた瀬戸内レモンのピールも噛むほど香りたち、弾けるような清々しさを生姜のキレがそっと後押ししてくれる。アーモンド粉たっぷりのマドレーヌは、さくりとしつつかつてない口溶け! 種類豊富な中でもシンプルな「バニーユ」は格別で、ラム酒がバニラの底力を引き出し、たまらなく芳醇。この焼き菓子の幸せ、一度味わったらもう抜け出せない。
PROFILE プロフィール
chico
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
INFORMATION インフォメーション
sarkara
東京都世田谷区下馬2‐36‐1 TEL:03・6804・0646 10:00(コーヒースタンドと一部焼き菓子は8:30)~19:00 月・火曜休 ※12/14オープン