
お笑いコンビの関係性に迫る不定期連載「ふたりコレクション」。第4回は中学の同級生コンビ、例えば炎。『M-1グランプリ2024』敗者復活戦でのネタとアドリブによるタイムオーバーが話題になり、大阪を中心に全国の劇場で活躍中のおふたりの、独特な関係性に迫ります。
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飄々としつつ、一見無駄でも癖になるワードや行動を入れ込む新鮮な漫才スタイルが人気の例えば炎。結成4年で『M-1グランプリ』準決勝に初進出すると、翌年も2年連続の準決勝進出を果たし、今年の3月には、『第55回NHK上方漫才コンテスト』で優勝。着実に漫才師としての歩みを進めているコンビです。
不定期連載「ふたりコレクション」バックナンバー
Profile

例えば炎
たとえばほのお 1995年10月8日生まれ、兵庫県出身のタキノ ルイ(写真左)と、1995年5月3日生まれ、兵庫県出身の田上(写真右)によるお笑いコンビ。ともに地元は宝塚市で、中学の同級生。2020年結成。今年3月、結成10年以下の関西の若手芸人を対象とした『NHK上方漫才コンテスト』で優勝。ふたりのレギュラー番組、ラジオ関西Podcast『例えば炎のあ、エレガンス』は毎週金曜23時ごろから配信中。
オーディションで上がれない1年半は、このまま一生これかなと思いました
── ananに3回目のご登場、ありがとうございます。
タキノ すごい登場させていただいて、ありがとうございます。
田上 ふっふっ。ありがとうございます。
── 今回は、おふたりについて深掘りするロングインタビュー企画です。NSCを卒業して、劇場メンバーになるまでには少し時間がかかったと伺いました。当時の心境とどう乗り越えたかを教えてください。
タキノ 1年半、一番最初のオーディションライブで勝てなかったんです。NSC卒業後、優秀やった生徒はアシスタントという係になって次の期の手伝いをするんですけど、僕も10人ぐらいで一緒にアシスタントやらせてもらってて。アシスタントのみんなが優秀で、オーディションライブに勝って、劇場入りするかどうかのバトルライブまで進んでたんですけど、僕だけ1回も勝てずで。NSCでは評価されて、卒業したら評価されない人もめっちゃ多いんで、「あー、自分もその部類の人間やったんか」とか、1年間そういう思いもありながら。NSC在学中の後輩ですらオーディションライブで勝ったりしてたのに、メンタル喰らいましたね。
1回も勝てずにアシスタント期間が終わったんですけど、その半年後に初めてオーディションライブで勝てました。当時ボロボロの状態で難波を歩いてる時に、先輩に「タキノ大丈夫か?」って声をかけてもらって。心配になるぐらいの形相で街を歩いてたらしくて。相当しんどかったんやなって思いますね。
── それまでの人生で、なかなか結果が出ない経験をしたことはありますか?
タキノ 高校から強豪校のゴルフ部に入って、1年間はしんどかったですね。レベルについていけなくて。で、めちゃくちゃ練習して副キャプテンまでなったんですけど。中学のときも、バスケ部やったんですけど、同じ学年に6人しかいなくて、僕以外の5人がスターティングメンバーで。なんかまあ、そういうのには慣れてはいましたね。
── オーディションライブで上がれなかった当時、田上さんはどんな心境でしたか?
田上 このまま一生これかなと思いましたね。当時タキノとcacaoのたっぺいと、イノシカチョウの純吉さんと一緒にシェアハウスをしてて、僕は家の押し入れに住んでたんで、家賃も安くて。毎日、みんなが家出る前から起きてゲームして、みんなが劇場から帰ってきてまだゲームして。ほとんどあの時期は、ゼルダの世界の人間でしたね。現実はあんまり受け入れんとこうという(笑)。かなり街は救ってたんで、日々のモチベーションはありましたね。
── 落ち込むことはなかったですか?
田上 1年半ぐらい経ったときに、恥ずかしくはなってきましたね。2回NSCに行ってる(1回目はコンビともに出席日数が足らず、1年間NSC入学資金を貯めて再入学)こともあって、 なんか僕たち、NSC在学中はいけてるほうやったんで。で、タキノからそのときに「次(のオーディションライブ)で無理やったらもう東京行こか」みたいな話もあったと思います。
タキノ 認められないことへのストレスです。
田上 「大阪が合ってないんかな」っていうのはありました。周りは「いつかどうにかなるやろ」みたいなこと言ってましたけど、いや他人事やろなと思って。
── 劇場メンバーになられてからは、順調に歩まれている印象があります。
タキノ そうですね。結局2年目の10月から劇場メンバーになって、同期で一番最初に劇場に入れました。
田上 そのタイミングで、『M-1』の3回戦でやったネタの動画がプチバズりして、それで一気に劇場でも認められたなっていう感じではありました。
タキノ チャレンジバトルっていう、劇場メンバー入れ替え戦ライブも、3年間1回も出ることもなく。入ってからが良すぎて、あの時期はしんどかったですけど、みんなに「1年半だけやん」みたいに言われます。驕りたかぶってたのかもしれないです、すぐ結果が出るっていう風に。
── おふたりは中学生からの同級生で、芸人になってからしばらく同居されていましたが、どのあたりから「相方」としての関係性にチェンジしていきましたか?
タキノ バイト辞めたぐらいですかね。それまでお笑いは、バイト8、お笑い2ぐらいやったんですけど、完全に仕事になってお金をもらえるようになってから、「もうちゃんとせなあかんな」っていう意識も出ましたし。
田上 2年ぐらい前からですね、ほんまに完全に友達じゃなくなったというか。仕事が忙しくなってきたっていうのもあるんですけど、前までタキノ見たら「タキノや」と思ってたんですけど、タキノ見たら「仕事や」ってなってきたんで(笑)。
タキノ プロの意識が芽生えてきましたね、完全に。
── 中学の同級生が仕事場に常にいるというのは、うらやましさも感じます。コンビとして普段雑談も、あまりないのでしょうか。
田上 ほんまっすか?(笑)
タキノ まあ、結構ありえないことですからね、同級生と仕事が一緒って。
田上 まあそうか。劇場にもうひとり(ファンファーレと熱狂・こうちゃんは、ふたりの中学の同級生) いるんでね(笑)。コンビとしては、ラジオがあるんで、あんま喋らんとこうっていうのはあります。でも、たまに伝えたいことはあります。なんか言うよな?たまに。「こんなんあったらしいで」とか。
タキノ 劇場のゴシップとか。
田上 いっははははは!「あの人なんかやらかしたらしいで」とか。ふっふっふ。
タキノ 「あの人に今この話したらあかん」とか。
田上 あるな。ゴシップも面白おかしく話すんじゃなくて「こうこうこうやから、あの人とあの人の話はせんほうがいいで」とかの共有。そんな感じの動きはしてます。
タキノ YouTubeもしてるんでね。お世話になった作家さんが、一昨年の『M-1』で準決勝に行ったタイミングぐらいで「やったほうがええんちゃうか」と言ってくださって。
田上 YouTubeは週1で生配信、週1で企画があって、ラジオが『例えば炎のあ、エレガンス』(ラジオ関西Podcast)と『例えば炎の沼沼沼沼』(Stand.fm)って言うのがあって。
── YouTubeも、お忙しい中続けておられてすごいなと思っています
田上 全然そんなことないです。スケジュールに組んでいただいてるので。
タキノ 元々続けられるような範囲で組んでいただいてます。
田上 でも嘘みたいに夜中に部屋で撮ったりすることもあります。知育菓子企画とか、0時過ぎに撮ったり(笑)。
タキノ (食べていたおにぎりを完食して、突然大きな声で)ごちそうさまでした!
田上 もうええって。
タキノ (はにかみながら)礼儀なんで。クッ。すいませんすいません。

ネタ作りとツッコミ担当のタキノさん(写真左)。自律心と他者への誠実性、究極のテキトーさを巧みに操る。

ボケ担当の田上さん(写真右)。無欲無気力の仮面を被りつつ、好奇心旺盛で豊かな洞察力を持つ。
よう考えたら、タイムオーバーって結構やばいことしたんちゃう?って思いました
── おふたりは、『M-1グランプリ2024』敗者復活戦のネタの面白さとタイムオーバーで一気に注目と人気が集まりました。タイムオーバー直後の心境と、その後の人気の上がり具合をどのように感じていましたか。
タキノ やらかしたなってちょっと思っちゃいましたね、テレビやし。時間気にしてネタやったら、ベストパフォーマンスできひんし、あんま気にすることないなって思ったんですけど。でもよう考えたら、タイムオーバーって結構やばいことしたんちゃう? って。でもいろんな先輩もタイムオーバーしてたし、わざとっぽくなかったし、まあいいかとはなりましたけど。
田上 わざとっぽいほうがよかったんちゃうん。わざとっぽくないほうがヤバない? わざとやったらそれありきでネタやってるってことやん。
タキノ いや若手でそれは生意気ちゃうかなって。
田上 いやでもそっちのが生意気ちゃう?間に合ってないねんから。単純に。
タキノ 仕上げれなかったほうが、まだ可愛いんちゃうかなって。どうやったかな…二度と敗者復活行かれへんのちゃうかなって心配もありましたけど、まあ大丈夫かと。
── ネタを見た感想コメント読みもYouTubeの人気企画になっていて、ファンの方は応援しつつ、おふたりへのツッコミも楽しまれているイメージがあります。
田上 自分らより下の人間が何故か活躍してるからじゃないですか? ふっふ。自分らより下の人間が何故か活躍してるから、強気に出れるんやと思います。
タキノ そういう人たちも、一番応援してる芸人はいると思いますけどね。僕らは別のお楽しみとして、一番応援してるチームの一員には勝ってほしい、好きな選手がおるチームにはホームラン打ってほしい、みたいな感じで、遊んでくれてるんやと思います。
「敗者復活コメント読み」(YouTubeチャンネル『例えば炎研究所』より)

敗者復活戦での話題後、美ジュ-1グランプリにも出演いただきました!
【美ジュ1】例えば炎の二人がコンビで変身メイク!
── おふたりはNSCに2回通われていますが、2回目のNSC入学時に、真面目に授業を受けて同期とも仲良くしようとルールを決めたとおっしゃっていました。『M-1グランプリ2024』後、徐々に環境が変わっていく中で改めておふたりで決めたことはありますか?
タキノ ないと思いますね。NSCのときは、コントロールした上で、うまいこと行けるぐらいの世界というか。ちっちゃい世界やったんですけど、もう上の先輩とかってなったときに、僕が田上に「こうしてほしい」とか、「お互いこういうことやっていこう」っていうルールを作ったとしても全く通用しないことの方が多いかなと思って。それやったら何も決めず、ありのままで行って、それがいいか悪いかはその場で判断していく方がいいかなっていう。もう30なんで(笑)。自分でこれはあかんなってわかると思うんで。
田上 それは同級生コンビやからじゃないですか? まじでやばいことはせえへんっていうのは、お互いあるんで。決められんでも、根っこでは、コンビの仕事に影響するようなことはないように気をつけるようにはしてると思います。
── 『例えば炎のあ、エレガンス』#35で田上さんが、「自分が芸人として何も頑張ってないときに、タキノさんから言いたいことが全部詰め込まれた怖いメッセージがきた」とおっしゃていましたが、どのような内容だったのでしょうか。
田上 結構長文やったと思いますよ、あるかな?(携帯を開いて遡る)
タキノ えぇ?
田上 あったやんなんか、「田上に芸人として、してほしいこと。面白くなるには」みたいな。
タキノ …俺が送ったやつ?
田上 ないですね。
── 当時そのメッセージをもらったことは、今の仕事への姿勢にも影響を与えていますか?
田上 与えてると思いますね。あんときに、こうしてほしいんやっていうのがわかったんで。「楽屋で急にものを下に投げろ」とか。「お前が真面目な人間すぎる、なんかしてくれ、なんかを起こして、お前で盛り上がってほしい」みたいな。芸人としての心得もあったし、人としての心得もありました。
タキノ 礼儀作法常識思いやり感謝。
田上 ヒロアカとかジャンプの漫画を読んでほしいとかも言われました。主人公っていうのを何か知ってほしいみたいな。なんかそんなんが来た気がしますね。それで、ヒロアカ見だしましたもん。
タキノ でも…いや全く覚えてないなあ。
── 相方に漫画を読んでほしいと言われてすぐに実践するのは素直ですね。
田上 素直っていうか、タキノが「NSC入ろ」って言ってタキノが「全部やる」って言ったんで。タキノのいうことに従ってたら、お金稼げるって約束やったんで(笑)。ふっふっふ。
タキノ 実行されてますし。
田上 それはまあ、はい。


僕は、マトリョーシカ。田上は、マトリョーシカの最後です
── ラジオ関西Podcast『例えば炎のあ、エレガンス』や、ライブのコーナー中は時間を気にされているイメージなのですが、賞レース(『M-1グランプリ2024』敗者復活戦、『ダブルインパクト2025』準々決勝)や単独ライブでタイムオーバーになってしまう原因は分析されていますか?
タキノ やっぱり、単独は自分たちのファンだけですし。事前にリハもしていて、収めようとしたら収められたんですけど。ただ楽しくなっちゃうし、単独のネタって単独でしか、しないんで。特にコントなんか、足そうと思ったらいくらでも足せるんで。その日気に入ったくだりを何回もしたりとか。NGK(なんばグランド花月)単独は、押していいって言われてたんで。まあ、96分ライブになってしまった(本来は60分ライブ)っていうのはありますね。
賞レースに関しては、時間を気にした瞬間に早口になったりするっていうのがあるんで。測りはしますけど時間はあんまり気にしたくない。10数個のボケが全部ウケたらそのまま行きますけど、どっかウケへんとか噛んじゃったりしたら、なんか足す。っていうだけで、基本は気にしてないです。でも棲み分けはちゃんとしてますね。自分らのライブと、他の人がいるライブっていうのは。
田上 ふっふっふ。えらいもんでNGKの単独の押しは、袖の人にも怒られなかったですね。「なんかもうこいつらええわ」みたいな感じで(笑)。怒りの上の、呆れまでいってる。
── では、客観的に、おふたりはどのような関係性だと思われますか?
タキノ マトリョーシカですね。
田上 (間髪入れずに)は?
タキノ 僕が一番外側のマトリョーシカ。
田上 めっちゃうざいやんこいつ。
タキノ 僕をパカって開けたらまた僕が出てきて、またパカって開けたら僕が出てきて…
田上 俺は? 俺のガワは?
タキノ 最後にめっちゃちっちゃいマトリョーシカをポッて開けたら、光ってる石があります。それが田上です。良いことね?
田上 それ、なんか俺軸みたいになってるやん。
タキノ マトリョーシカの、宝物。マトリョーシカというものの、最後。僕は、マトリョーシカ。田上は、マトリョーシカの最後。
田上 … 僕から見てタキノは思春期のときのお父さんっていう感じですね。言うことは全部聞くけど、できる限り批判もしたいしちょっと反抗もする。
タキノ 俺がお父さん?
田上 お父さん。
タキノ えっ。
── 田上さんが思春期ということですか?
田上 僕が思春期。タキノが見てる前では、裏でふざけんとこうとかもあるし、こいつのいうことは全部聞くけど、ラジオとかそういうところでは反抗もするという。

── では、相方の尊敬しているところを教えてください。
田上 だらしないな、とかあんまりしてくれへんな、と思う瞬間を全部忘れるぐらい、前日に仕上げてくるっていうのはありますね。ふっ(笑)、とんでもない。ネタとかもそうですし、“土壇場力”だけで来てるんちゃうかなってぐらい。最後間に合わせるっていう。2025年の『M-1』敗者復活戦のネタも、前日まで「なんでこのネタようさんやってるんかな、明日どうでもいいんかな」って思ってたんで。やる訳ないと思ってたら、夕方になるにつれて「これあるぞ」と思ってきたりとか。初めて準決行ったときも、その1時間前までネタ作ってたんですよ。土壇場の力はえげつないと思いますね。「なんでこんなおもろいのん、ずっと思いついてなかってん」とも思います(笑)。
── タキノさんはいかがですか?
タキノ まあでも、いい意味の図太さとか。
田上 … それ言うなあ最近。
タキノ 僕にはないというか。僕がゴルフ始めたてのときとかは、下手やから良いクラブとか使えなかったんですよ。で、どんどん良いクラブにしていったんですけど。でもどうせ上手くなるんやったら、初めから良いクラブ使ってる方が良いなとも思ったんです、上手くなっていったときに。田上は最初から、
田上 ん? 始めたてちゃうで。
タキノ 良いクラブを使える図太さ。自分にはないっていうところで。
田上 お前がそうしてるねんで。「なんもするな」とか「堂々としとけ」とか。図太さはお前が作り出したんや。
タキノ 自分にないものを持ってるのが田上なんで。
田上 いいや? 「準備とかせぇ」って言われたら準備したのに。「平場どうしたらいい?」って聞いたら「真ん中でしょんべん漏らせ」とかわけわからんことずっと永遠に言い続けるからこんななんもせえへん…
タキノ それできたら売れてしまうから、田上が。エグすぎるんで。それはちょっと忙しくなりすぎてしんどくなってしまうんで。
田上 僕がなんもせんでもタキノはそれで良いと思ってるんで、それで図太くなったんやと思います。
タキノ ほんまなんか、運命やなと思います。(その場にいるスタッフたち含め)この中で誰が一番しょんべん漏らしたらおもろいかっていうとやっぱ田上。「えー!?」ってみんなフルでツッこめますし。
田上 いや、ちゃうやろ。カメラマンさんとかがしょんべん漏らしたら俺めっちゃ笑うで。何してるんこの人って(笑)。
タキノ とにかく、自分にない図太さ。僕が今から図太くなっていこうと思っても、正直めんどくさいですし。
田上 図太いやん十分。
── (笑)。タキノさんは聡明な印象がありますが、ご自身の考える力や、人とのコミュニケーションの取り方が育まれた原点を教えてください。
タキノ 高校のときにゴルフ部に入って、ひとりで5時間ぐらい考え続けて、「ここ傾斜あるから左足体重で」とか、一番良いベストの答えを出すっていう。終わってからも「あのホールこうやったな」とかみんなで話し合ったりとか。個人競技って、自分次第なんでどんどん上手くなっていって。ひとりで考えてこんなに上手くなれるんやっていうのが自信になって、そこで考える力とか生まれましたね。やっぱり色んな人がいて、ちょっと性格悪い人とかとも真剣な話したり、「この人これ喜ぶんや」とかを知ったり。
お笑いも一緒で、腐したりしたらめっちゃ笑う先輩とか、下ネタ言って笑う先輩とか、嫌がる先輩とか、なんかそういう誰かに合わせるって言うのが、ゴルフ部のときから先輩とか同級生によって分けるのが自然とできてたんで。
── なるほど。一方で、ご自身が自然体でいられる先輩も大切にされていますよね。
タキノ 本来の自分でいられる先輩っていうのはめっちゃ大事なんやろなと思います。バッテリィズの寺家さん、イチオクのタケヤさん、ジョックロックのユウショウさん、三遊間のさくらいさん、空前メテオの茶屋さんとかcacaoの浦田くんとか、ありのままでいられてるときは楽しいですね。逆に、今めっちゃ嘘ついてるなとかもあります。「あれほんまキモかったですよね」とか言って。
── それはバレないんですか?
タキノ バレてると思いますけどね、人を見る目がある人は。だから(人が)離れていくというか。嫌ですからね(笑)。
田上 でもタキノは嘘つきって言われてるんで。それで、ほんまに悪い奴には見られてないです。

── 田上さんは常に自然体なイメージがあります。
田上 僕はこのままです(笑)。わけ隔てなく。ファンの人も社員さんも芸人も親も、普通に喋りたかったら喋ります。
── 何かを解釈する視点や表現にも富まれている印象です。エッセイも始められましたが、ご自身の吸収力が育まれた原点を教えてください。
田上 大学時代、全部を捨てて色んな海外映画とかドラマ見てたとかじゃないですか。ふっふ。映画とかで感動はするんですけど、日々に感動は全くしないです。自分の人生に感動することが起きないんで。ふっふっ。でも、1歳ぐらいのときから親に「毎日何があったか話して」って言われてて、「それがかなりあんたをお喋りにした」って言われたことはあります。
「田上がハマりすぎて人生を棒に振った海外ドラマ紹介」(YouTubeチャンネル『例えば炎研究所』より)
── zeRo~ピザ釜~としてピアニストデビュー(田上さん作曲のピアノ演奏曲が各音楽配信サービスにて配信中)も果たしましたが、14年間続けた習い事のピアノを辞めなかったのはなぜですか?
3歳ぐらいから始めてて、5人グループでずっとやってたんで、辞めるっていうのがようわからんかったです。家族ぐらい、先生とも仲良かったんで。野球とか、塾でも全部性格は同じ感じでした。
── 人が好きでフラットなことがそのときも活かされていたんですね。どんな環境でも“自分”が変わらないのがすごいです。
田上 それが図太さなのかもしれないです(笑)。なんも弾かれへんのに偉そうにとかしてました。
── 新しいお仕事が入ったときに、力になりそうですね。
タキノ そうですね。そういう図太さであったりとか、全員に対してフラットでいれるっていうのは、良いキャラクターなのかもしれないです。

周りの面白い人に舐められないように、ネタも平場も頑張らないといけないっていう意識はあります
── タキノさんは、ネタ中に標準語で話されることも多いですが、誰かの影響はありますか?純粋に、標準語に面白さを感じていらっしゃるのでしょうか。
タキノ ギャグ漫画とかで、関西弁でツッコんでる人がまずいなくて。セトウツミは関西弁ですって言われたんですけど、僕は読んでなくて。僕が見てたギャグ漫画の中で、関西弁喋ってるやつはダサいやつというか。
田上 まあ確かに、胡散臭いというか。
タキノ 普通の漫画でもそうですよね。関西弁のやついるけど、途中で死んじゃうとか、途中でいなくなるとか。漫画とかアニメが好きやったんで、なんとなく関東弁のツッコミが自然と入ってくる。「なんでだよ!」とかはめっちゃ良いなっていう。関西弁で、このなんでだよのニュアンスはないんで。「何をしてんねんお前!」とか、「何してんねん!」とか、怒ってる感じやけど、関東弁は疑問もあるというか。「なんでだよ!」「なんでそんなことになっちゃうんだよ!」とかは、関西弁ではなかなか出せない、標準語のすごい良いニュアンスで。それが僕にあってるというか。関西弁は全否定じゃないですか。それよりは、「なんでだよ! ちょっと待ってくれよ。」とかの方が良いなって。
田上 「なんでやねん」よりは、「なんでこんなことが起きてんねん」まで含まれてるもんな。
タキノ 一緒になって楽しめてる感じというか。突き放してない。
田上 東京芸人と喋ってるときに、ツッコミが出たらタキノがめっちゃ嬉しそうにしてます(笑)。
タキノ 子供役になるコント漫才のときとかも、子供の関西弁のツッコミってなかなかいないんで、関東弁の方が良いか、っていうので関東弁が増えてます。
── 声量や声質を使ったネタも多いですが、声に面白さを感じてらっしゃるのでしょうか。
タキノ 声はめっちゃ大事やなと思ってて、そこも運というか。で、自分は相当良い声なんかなって。たまに「めっちゃ良い声やな」って言われることがあって。アニメとか漫画の影響で、色んな声ができるっていうのもあります。ひとりっ子っていうのもあって、よくひとりでウルトラマンの人形を操りながら怪獣の声出したりとか、ウルトラマンの声出したりとか、色んな声使って遊んでたっていうのもあって、声には確かに自信があります。
最近ハマってるのは渡部篤郎さんみたいなこの声。(表情も作って実践)「なんだよぉ」「おい、教えろよぉ」「何してんだよ」とか。ぐわーって感情昂らせて昂らせて、最後に「なんだよぉ」ってこの声で言ったり。女性役とかもよくやりますし、そこには自信ありますね。
── ネタを書かれるのが早い印象ですが、日頃から面白いと思ったことやワードはメモしていたりしますか?
タキノ してますね。LINEで「メモ」っていうひとりのグループ作って。1回、マネージャーさんもいらっしゃるグループラインにわけわからんツッコミだけバーン!って載せてすみません間違えましたっていうことはありました(笑)。

── 舞台での漫才後、すぐに構成を変えたりボケやツッコミのワードを追加したりする作業はされますか?
タキノ それはしないですね、なんかそれダサいなって思っちゃって。人がいないとこでやった方がいいんちゃうかなっていう。
田上 僕は袖に帰って気になることがあったりとか、やりにくかったんかなって思うことがあったりしたら「あれなんやっけ?」とか「なんかが抜けてたっけ?」とかを聞きにいくことはあります。そしたら大体〇〇〇〇とかって言われますね。話にならないです。
タキノ お話にならない。
── では割と自己完結して、ブラッシュアップしたものをまた持っていくと。
タキノ そうですね。で次またそのネタするときに、「ちょっとここのボケこうしよか」って言って。
田上 ほんま出囃子鳴ってから言われます。ふふっ。1回、出囃子鳴ってから、「後半ちょっと松浦亜弥にして」って言われて、「どの部分?」ってなって。そこから舞台に出ていって「松浦亜弥、松浦亜弥、なんや、どこや」って頭ぐるぐるぐるってなって、いつかわかるときが来るわと思ってネタ進めていって、結局どこかわからず終わりました。「あれどういうことやったん」って聞きにいったら、「まあそれはええわ」って言われて、未だに出てきてないです、あやや(笑)。
タキノ まあ出てきても出てこんくても、これは、はい。
── ネタ中のアドリブも多いですが、タキノさんが喋り終わるタイミングで合図を決めていたりするのでしょうか。
田上 まあ多分切れ目は分かりやすくしてくれてます(笑)。
タキノ まあ、慣れたら簡単です。
田上 …むずいっすよ? こいつ1回待ってから、またアドリブ始めたりするんで。
── 田上さんはコントや漫才中のキャラに憑依した演技が光っていますが、キャラになりきるうえで意識していることはありますか?
田上 昔の顧問の先生とか、コンビでお互い共通の誰かみたいになるっていうことは多いです。その人が言いそうなことをだいぶ誇張してます。
タキノ 野球部の監督の井上先生とか。
── 学生時代の共通のモデルがいるのは、同級生ならではで良いですね。
田上 そうですね。お互いに見てるもんとかでも言われたりしますね。タキノが『作品名』の「キャラクター名」の感じでやってとか。それあったらめっちゃ楽です。自分から作り上げるとかはあんまできないんで。
── そして今年3月には、結成5年にしてNGKでの初単独ライブ『ひざる』を成功させました。炎や猿の演出あり、漫才あり、コントあり、幕間Vありのてんこ盛りのクオリティの高いライブでしたが、どれくらい時間をかけて作られているのでしょうか。
田上 (タキノの方に手を向けて話してもらうよう促す)
タキノ 結構時間かかりましたね。漫才とコントの話をつなげるっていうのもあったんで。単独の4日前にはコント台本を提出しないといけなかったんで、締め切りの前日に東雲の細見っていう後輩に、夜12時ぐらいにきてもらって、そっから朝の8時ぐらいまでふたりでやって。細見っていうやつはネタのダメ出しを唯一してくれる後輩で。「細見今日の俺らのネタどうやった」って聞いたら、「アドリブんところだけがウケてなかったです」って。フッハハハハハ! 「6分半あって、2分半が多分ほんとにいらないです、4分やったら良いネタやと思います」とか。
田上 あいつちゃんと見てるんや。
タキノ ボケに乗せてちゃんと芯ついてくるっていうおもろさがあって。だからこいつは結構いいかもなって思って細見とご飯とかいったりしてる中、前日に一緒に考えて、そこで仕上げて、伝説のボケも生まれました。全体の準備期間としては2週間ぐらいですかね。
── 春はてんこ盛りの単独、秋はネタだけの単独と、1年で見せ方をすごく考えられている印象です。
タキノ まあ分けてますねそこは。見られ方、僕がすごい気にしいなんで。やっぱりダサい芸人になってしまうと良くないなと思って。ネタが面白いうえで頑張ってないと。芸人の舐められってお客さんにも普及していくというか、完全に、誰に面白いと思われてるかっていうことの取り合いというか。周りの面白い人に舐められないように、ネタも頑張らないといけないし、平場もっていう意識はあります。
── 最後に、コンビとしての今年の目標を教えてください。
タキノ 応援されるって、絶対良いことなんで。応援してて面白いとか、応援してて楽しいなって思ってもらえる活動がコンビでできたらなと思います。
田上 anan4回目です。anan4回目。
タキノ 呼んでもらえなかったら僕が〇〇〇〇っていう雑誌を創刊して、ananさんと戦わせてもらいます、すいません。

相方の発言中に適宜合いの手や独り言を挟みながら、楽しくインタビューを進めてくださったおふたり。ありがとうございました!
information

例えば炎のあ、エレガンス
ラジオ関西Podcastにて毎週金曜23時ごろから配信。活動の近況や、中学の同級生コンビだからこその地元宝塚にまつわるトークを展開。初めての方におすすめの回は、#15「帰ってこいキョロ」。
























