意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国連安保理の今後」です。
事務総長の提言。正当性、有効性のある安保理に!
今年は日本の国連加盟70周年にあたり、5月にアントニオ・グテーレス事務総長が来日しました。グテーレス氏は、年末に2期10年の任期を終えます。この10年は国連にとっても激動でした。ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ、イラン戦争が起き、気候変動は深刻化。国連に非協力的なトランプ氏が2度大統領に就任し、米中の綱引きは激化。国連は翻弄されています。
グテーレス事務総長は会見の途中、国連安全保障理事会(安保理)に話が及ぶと、原稿から目を離し、自身の言葉で痛烈に安保理を批判しました。
安保理の常任理事国はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国です。5か国のうち3か国は欧州で、世界の人口の半数以上を占めるアジアは1か国のみ。残りは北米で、アフリカやラテンアメリカの国が含まれていないのは、偏りがありすぎる。この構成は正当性も有効性も担保できておらず、常任理事国も非常任理事国も数を増やすべきだと主張しました。
安保理の決議は、常任理事国のうち1か国でも反対すれば採択されません。超大国が自ら戦争を起こし、国際法に違反していながら、常任理事国の拒否権を使い、責任逃れをしています。グテーレス氏が事務総長に就任した頃は、安保理について触れること自体がタブー視されていましたが、それは間違っており、勇気を持って改革の必要性を訴えるべきだと語ったんですね。
近年、国連が機能不全に陥っているとか、複数の国が共通のルールを持ち、国際機関を通じて国際社会の課題を解決しようとする「多国間主義」が危機に瀕しているといわれています。事務総長は、それらも、国連や多国間主義の問題ではなく、国際法を破る超大国の振る舞いが元凶だと明言しました。
戦後、日本が復興できたのも、国連の世界銀行の支えがあったからです。日本も国連に貢献することで、多国間で協調し平和的に経済成長することができました。これを一つのモデルにするべきではないかと事務総長は提案しました。内向きになりがちな昨今ですが、今こそ世界で連帯して、平和と安定をみんなで作ろうとしなければ、解決の道はないのではないかと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

グテーレスさんの発言から、今の世界の切迫を感じます。国同士が手を取り合い譲り合うというのが理想ですが、結局は強い国が幅を利かせてしまえるのは社会の縮図のよう。それでもそんな世界を変える理想を、心を持つ人間としては諦めたくありません。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2502号(2026年7月1日発売)より



























