意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自転車新ルール」です。
誰にも関わる問題。自分を守るために交通ルール遵守を
4月1日より、自転車の運転に対して交通反則通告制度、いわゆる「青切符」が適用されることになりました。対象は16歳以上。信号無視や一時停止など113種類の取り締まり項目があり、反則行為をして警察官に青切符を切られた場合、原則7日以内に反則金を仮納付すれば、刑事裁判や家庭裁判所の審判なしに処理されます。注意しなければいけないのは、反則金を支払わなかった場合、刑事事件として罪に問われる、前科がつくということです。
近年、自転車の深刻な事故が絶えません。スマートフォンの「ながら運転」やスピードの出る高性能自転車の出現なども背景にあります。令和6年中に起きた自転車乗用中の死亡重傷事故のうち、約4分の3は自転車側にも法令違反がありました。交通ルール遵守、実効性のある責任追及を可能にするために厳罰化に踏み切ったんですね。
道路交通法では、自転車は軽車両扱いになりますから、車道の左側通行が原則です。歩道を走ったり、逆走は違反になります。自動車やバイクの運転免許を取得した人は教習所で交通ルールを学びますが、今後は子供の頃から、自転車も車両の一つで危険なものと教え、安全に走行するためのルールを学ぶ機会を作らないといけないでしょう。
自転車に関して社会のインフラが整備されていないという現状もあります。例えば自転車専用レーンが設けられていても、都心では車がそのレーン上に駐停車していて、安全に走行できないところも。停めたドライバーの罰則強化などの対策も必要かもしれません。本来ならば、欧米のように、自動車と自転車の走るところをきちんと分け、柵を設けるなどの整備が先決でした。ただ、車の停車も、配送業者が荷捌きをするスペースがなく、やむを得ず停めている場合もあります。私たちが宅配業者にスピードを強いていることも無関係とは言えないかもしれません。
この問題は、自転車の利用者のみの狭い範囲でとらえず、社会構造と併せて考えるべきです。「113ものルールなんて覚えられないよ!」ではなく、自分の身を守るためにも、誰もが加害者にも被害者にもなり得ることを意識していただきたいなと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

車道の自転車ゾーンを走っていても道幅が狭く、後ろの車が追い抜けずにいる気配を感じると、申し訳なさと緊張で肩が凝ります。ウィーンでは十分な幅の自転車レーンが整備されとても快適。自転車も交通社会の一員と感じられて幸福感を味わいました。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2497号(2026年5月27日発売)より






















