1980年代にリリースされた山下達郎のLP『FOR YOU』のジャケットイラスト、ラジオ雑誌『FM STATION』のカバーイラスト、中学校の英語教科書『NEW HORIZON』の表紙…。透明感のある色彩で風と光を描き、一世を風靡したイラストレーター・鈴木英人(えいじん)。鮮やかな色彩とクリアな構図で、クラシックカーやビーチサイドなど1980年代のアメリカ西海岸の風景を描いた作品は、“風と光が駆け抜ける’80年代のアメリカン・ドリーム”と評され、見る人に憧憬の念を抱かせた。
’80年代のアメリカの夢を描いた作家の過去最大展
そんな鈴木のデビュー45周年を記念する展覧会が始まった。5章立てで構成された会場では、’80年代から現在までに制作された原画、版画、グッズなど約300点が一堂に会する。注目は、本展のために制作された豊橋を題材とする2点の新作。公会堂前を走る路面電車を取り上げた《終わりなき日々》と、手筒花火を描いた《双炎の碧き城》は、いずれも鈴木ならではの鮮烈な色彩と独特なタッチで描かれている。
デビュー当時から変わらぬ独特のスタイリッシュさを持ちつつ、同時にノスタルジーを感じさせる作品の数々。充実した鈴木の作品を目の当たりにできる貴重な機会だ。
Information
風と光のアート 鈴木英人の世界展
豊橋市美術博物館 愛知県豊橋市今橋町3-1 豊橋公園内 開催中~11月30日(日) 9時~17時(入館は閉館の30分前まで) 月曜(11/24は開館)、11/25休 一般1200円ほか TEL. 0532-51-2882
anan 2470号(2025年11月5日発売)より


































