大学時代はインカレで得点王とMVPを獲得し、大型新人としてBリーグデビュー。「成長できる環境も、ファンの熱量も最高」と沖縄に魅了されている脇真大選手。将来の日本代表候補としても期待される昨シーズンの新人王に、2年目の覚悟を聞いた。
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堂々たるプレーで新人賞。果敢に挑む若きエース
ルーキーイヤーでレギュラーシーズン全60試合に出場と、堂々たる活躍で昨シーズンのBリーグ新人王に輝いた脇真大選手。所属する琉球ゴールデンキングスは惜しくも優勝に手が届かなかったが、新人らしからぬ活躍を見せた。
リーグ戦での平均得点は7.3点だったが、CS(プレーオフ)では10.6点までスコアを伸ばした。コートの端から端まで駆け抜けてフィニッシュを決める“コースト・トゥ・コースト”が持ち味。サイズがある外国籍選手のディフェンスをかいくぐり、ゴール下まで侵入するプレーを苦手とする選手が多い中で、果敢な脇選手のスタイルは新時代の息吹を感じさせる。何よりも、ビッグゲームで楽しそうにプレーする姿は新人離れしている。
「単純に大舞台でプレーすることを楽しんでいるだけなんです。CSのような大舞台を楽しむ選手がビッグショットを打てるようになると思うし、楽しんでやれたからこそ自信につながって、自分のプレーが出せたのだと思います」
豪快なコースト・トゥ・コーストについて聞くと「あれは僕の武器です。誰も止められないんじゃないかと思いながらゴールに向かっています」と笑顔をのぞかせた。そうして、大胆に試合を楽しむ一方で、新人王については「正直ホッとしました」と安堵の気持ちが先に出たという。
「人生で1回だけの賞ですし、自分の評価は自分ではわからないので、たくさんの方に評価してもらえたことにホッとして、それからうれしさが込み上げました。『これからも頑張れよ』という賞だと思っています」
熊本県出身。父の将典さんはBリーグの前身であるJBLでプレーし、1995年のユニバーシアードで銀メダルを獲得した実力の持ち主。4歳年上の姉の梨奈乃さんもWリーグで優勝経験を持つ。バスケ一家で育ち、姉の影響で4歳からバスケを始め、岡山商科大附属高校を経て、花開いたのが白鷗大時代。4年時にはインカレで日本一に輝き、得点王とMVPを獲得。着実に這い上がってきて、今がある。
「今は父を超えたい思いでプレーしています。それには、新人王を獲った年よりも次の年、さらに次の年とうまくなっていきたい」
「父超え」を目標にしている今、もっとも欲しているのが、あと一歩で逃したBリーグ優勝だ。
琉球のファンは日本一。アリーナの雰囲気は最高!

「昨シーズンはファイナルで負けて本当に悔しかったので、絶対に優勝を狙います。何よりも、キングスは『バスケで沖縄を元気に』というスローガンがあるので、それを実現する選手になりたい」
ホームスタジアムの沖縄サントリーアリーナでは、毎試合満員の中で県民を虜にしている。平均入場者数は3シーズン連続リーグトップ。試合では三線の音色が流れ、観客は指笛を鳴らし、選手の一挙手一投足に大歓声が湧き上がる。非日常の興奮を体験できるのが、沖縄でのゲームなのだ。
「僕たち以上に周りを巻き込んで雰囲気を作ってくれて。僕が対戦相手だったら、沖縄サントリーアリーナで試合をするのはイヤですね。それくらい琉球のファンは熱狂的で、日本一だと思います」
そして自信を持って言う。
「キングスの試合を初めて観た人が、僕たちのバスケとアリーナの雰囲気にハマったという話を聞いたことがあります。ぜひ、一度試合を観に来てください。楽しいと思わせる自信はあります」
応援のパワーを活力に変え、沖縄の若きエースは今後も突き進む。
Profile
脇 真大
わき・まさひろ 2002年3月11日生まれ、熊本県出身。琉球ゴールデンキングス所属。193cm。ポジションはSG。白鷗大4年時にはインカレ制覇に導き得点王&MVPを獲得。2025年にBリーグ新人賞受賞。今夏は若手日本代表の登竜門「ウィリアム・ジョーンズカップ」に出場。
写真・JOJI(RETUNE Rep) スタイリスト・井田正明 ヘア&メイク・坂西 透 取材、文・小永吉陽子
anan 2464号(2025年9月24日発売)より