我が子との“初めて”の瞬間に感動する気持ちを大切にしたいです。
「専業主婦の詩穂は、家にこもっていて、話し相手がいなくて。子育て中のママたちと繋がりたいという想いを持っています。私も子どもがミルクを飲んでくれなかった0歳のとき、同じ悩みを抱える月齢の子を持つママのつぶやきを見て、『私だけじゃないんだな』とホッとしたんです。子育て中のお父さんやお母さんの気持ちがよく分かるからこそ、家事との向き合い方についても十人十色でいいと思いますし、このドラマを見て、自分のペースで頑張ろうと思っていただけたら嬉しいですね」
2つのことを同時にやるのが苦手で専業主婦を選択した詩穂は、キャリアウーマンママなど、立場は違えど家事にまつわる問題を抱える人たちと交流し、成長していく。
「もうどのキャラクターの台詞もお芝居をしながら“分かる、分かる”ってグッときています(笑)。子どもが熱を出したことで職場の人に迷惑をかけてしまって、落ち込むママの気持ちもそうですし。でも、全部一人で抱え込まないことが大事だと思います。例えば、家族に頼るとか。私の場合は毎日朝晩に掃除機はかけますが、料理はたまにはミールキットやカット野菜、お総菜を利用します。便利なものに頼るのも全然アリです(笑)。できる範囲で家事と向き合っています」
我が子との“初めて”の瞬間を見逃さずに大切にしたい――。上手くいかないときも、かけがえのない時間だ。
「私、初めて子どもが乗ったベビーカーを押したときの感動が忘れられなくて。思い出すと今でも涙が出そうになるくらい。普段は、何も考えずに歩いていた道でも、ベビーカーを押して歩いたらまるで違う景色に見えたんです。ガタガタ道や段差はもちろん階段なんて、もう大きな難関(笑)。その度に感情が大きく揺れるんです。子どもを持つとこんなに感じ方が変わるんだと驚きました。ドラマでもそんな小さな気づきが描かれます」
そうキラキラ目を輝かせて楽しそうに話す多部さん。娘の苺を演じる永井花奈ちゃんについては、「ずっと可愛いですよ~」とメロメロ状態。
「初めて会ったときから、しっかりご挨拶はできるし、社交的で物おじしなくてすごいです。お芝居もおうちでたくさんお稽古されているのかな。子どもらしさを忘れずに素敵な女の子になってほしいです」
詩穂は屋上から夜景を見ることで日々の疲れを癒すが、多部さんの束の間のリフレッシュ方法は――?
「百貨店を上から下までグルグル回ってお茶すること。でも、一緒に行った子どもに『今日つまんなかった』って言われたので、完全に私の息抜きです(笑)」
PROFILE プロフィール
多部未華子さん
たべ・みかこ 1989年1月25日生まれ、東京都出身。2002年の俳優デビュー以来、ドラマや映画、舞台など様々な話題作で活躍。主な出演作に『これは経費で落ちません!』『私の家政夫ナギサさん』など。
INFORMATION インフォメーション

『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』
専業主婦の村上詩穂(多部未華子)が出会うのは、価値観がまるで違う“対岸にいる人たち”。育児と仕事の両立に悩む長野礼子(江口のりこ)や完璧な育児計画を掲げる官僚パパ・中谷達也(ディーン・フジオカ)らと、家事を通じて繋がっていく。4月1日よりTBS系にて毎週火曜22時放送。(C)TBS
写真・ヨシノハナ スタイリスト・山本杏那 ヘア&メイク・中西樹里 インタビュー、文・福田恵子
anan 2440号(2025年3月26日発売)より