三山凌輝「エネルギーを使ってちゃんと気持ちをぶつけてみることが大事」 コミュニケーションで心掛けていること

エンタメ
2025.02.09

俳優、そしてBE:FIRSTのRYOKIとしても大きな挑戦が続く三山凌輝さん。“想いを伝える”をテーマに、まもなく公開される主演作のこと、ご自身がコミュニケーションで心掛けていることなどをお聞きしました。

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俳優としての活躍も目覚ましい三山凌輝さん。今月7日公開の主演映画『誰よりもつよく抱きしめて』では強迫性障害による潔癖症を患い、すべてのものに直接触れることができない絵本作家・水島良城を演じている。学生時代からの恋人であり、一緒に暮らす桐本月菜にも指一本触れることができなくなってしまった良城の葛藤やもどかしさを、触れたら壊れてしまいそうな繊細さで表現した凌輝さん。絶対的な距離を感じながらも恋人への愛を貫こうとする役を通して感じた、“想いの伝え方”とは。

「内向的な良城は世間からすると僕のイメージとはかけ離れているかもしれませんが、僕もそんなに強くはないので落ちる時は落ちますし、甘える時は甘えます。良城みたいなところはたくさんあるんですよね。僕の一部を抽出して広げたのが良城だと思いましたし、撮影期間は色々考えるような時期だったこともあり、自然に自分自身を当てはめ、お芝居ができた気がしています」

良城は自分の想いを絵本に投影し、月菜を鼓舞しようとする。通常、芝居・歌・ラップ・ダンスで想いを表現するご本人として共感したところは?

「まず、僕自身は絵がすごく下手なので、僕が絵本作家役でいいのかなとは思いました(笑)。劇中で絵を描くシーンでは軽く付け足す程度だったのですが、そういうカムフラージュはうまいんですよね。絵本作家は自分の世界に入り込む職業で発想力も必要ですし、さまざまな経験をしていないと作品に深みやユニークさが宿らないと思います。考え込んだり思慮深い良城の性格は絵本作家に向いているのかもしれない。何か問題を抱えていると絵本が描けなくなってしまって、筆の速度が人生とシンクロしているようなところは自分にも思い当たる節があるので共感できました。良城の絵本は、自身が抱える状況や月ちゃんへの想いが反映されているところが素敵ですよね。お芝居やパフォーマンスもそうで、さまざまな経験をすることで表現に深みが出ることもあるだろうし、何かしらのアウトプットは経験値がものをいうんだと思います」

凌輝さん演じる良城は、月菜に触れたくても触れられない。心と体が相反する苦しみを抱えている。

「僕はごまかすことが苦手なタイプなので、誰かと気まずくなってしまった時、ハグして仲直りしたい気持ちはあるけれど、根本的に問題が解決しているわけではないから、すんなりそうできずに悩むことがあります。もやもやしたものに蓋をして簡単に解決しようとせずに、億劫でもエネルギーを使ってちゃんと気持ちをぶつけてみることが大事だと思います。お互いの根本に触れることで気まずくなって生まれたお互いの傷が、傷を癒す回復のプロセスの中で深いところから治癒されて、前より関係値がよくなることもある。考え方は十人十色だけれど、根本が通じ合っていれば自然と歩み寄って『そういう考えもあるんだな』って相手の気持ちが理解できるようになります。だからなるべく人とはちゃんと向き合った方がいい。いくら向き合ってもズレが生じてしまう相手もいるとは思いますが、一歩踏み出さないとそれすらもわからないですよね」

実際に“想いを伝える”上では、「自分の考えを整理した上で、相手に想いをぶつけることが大事」だと考えているそう。

「『自分が何を変えたいと思っているのか』とか『何が気になるのか』っていう想いを伝える目的を整理することで、明確になって自信が生まれてくると思うんです。そうなると勇気を出して気持ちを伝えやすくなる。世の中にはどうしてもわかり合えない人もいて、そういう人に気持ちを伝えてズレを埋めるのはすごくエネルギーを使います。でも結果がどうであれ、自分の考えをしっかりとまとめた上で伝えることが一番真摯なやり方だと思っていて。僕も考えれば考えるほどどうやって伝えるのが正解かわからなくなる時があるけど、そういう時は、ずっと近くにいてくれたり僕を愛してくれる人に相談してみると『なんでずっと迷ってたんだろう』って気持ちが切り替えられる。想いを伝えた相手には気持ちが通じなかったとしても、アドバイスをくれた人への感謝が生まれてポジティブな気持ちになれたりするんですよね。やっぱり諦めずに何かしらのアクションを起こすことが大事だと思います」

そんな凌輝さんにとって、“想いを伝える”から連想する作品を聞くと。

「去年、『THE MUSIC DAY』のラップ名曲トリビュートのステージでエミネムの『Lose Yourself』をパフォーマンスさせてもらってから、エミネムの主演映画『8 Mile』を観返したり、またエミネムの曲を聴き始めたんですよね。エミネムは厳しい環境で生まれ育って、ラップの世界ではマイナーな白人としてのし上がっていく。彼に比べれば恵まれている自分の環境を再認識できて感謝の気持ちが生まれますし、自分がこのお仕事を始めた頃の初心を思い出します。映画を観たり周りの人の話を聞くと、自分の物差しだけで考えない方がいいっていうことを強く感じますし、自分の世界も広がります。やっぱり視野を広く持って柔軟でいることが大切ですよね」

俳優としてもアーティストとしても大充実だった2024年。2025年、既にさまざまな活動が発表されており、さらなる飛躍が期待される。

「自分が何を大事にしたいか、何を優先したいかっていうことをしっかり見つめ直す年にしたいです。役者としては僕の人生プランからするとかなり後れを取っている感覚があります。でも、予想外の嬉しい出来事もたくさん舞い込んできていますし、今の年齢の思考力や経験値があるからこそ、一歩ずつ地盤を固められてきている感覚があるんです。自分を見つめ直す中で自分の理想と現実をシビアにすり合わせていきたい。そして、プライベートと仕事がうまくキャッチボールできて、両方とも幸せでいられたらいいですよね」

PROFILE プロフィール

三山凌輝

みやま・りょうき 1999年4月26日生まれ、愛知県出身。主な出演作に、映画『HiGH&LOW THE WORST X』、ドラマ『生理のおじさんとその娘』、連続テレビ小説『虎に翼』など。BE:FIRSTのメンバー・RYOKIとしても活躍する。

コート¥173,800 ニット¥67,100 パンツ¥85,800(以上セファ/サカス ピーアール TEL:03・6447・2762) アクセサリーは本人私物

写真・酒井貴生(aosora) スタイリスト・髙田勇人 取材、文・小松香里

anan 2433号(2025年2月5日発売)より

MAGAZINE マガジン

No.2433掲載2025年02月05日発売

想いの伝え方。

仕事、家族、友人、恋愛…さまざまなシチュエーションで自分の気持ちや考えをきちんと相手に届けるための、コミュニケーションのヒントを集めた特集です。伝わる会話の基本のキ、TPOに応じた「ありがとう」の伝え方、三宅香帆さんに教わる“推し”の魅力を言葉にする方法、大人気の春とヒコーキに聞くコンビ間でのコミュニケーションなど、いま必要な伝える力を磨くためのトピックスをご紹介。

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