現メンバー15周年! クリープハイプらしさが凝縮された新アルバムリリース

エンタメ
2024.12.21

左上から時計回りに、長谷川カオナシ(Ba)、小川幸慈(Gt)、尾崎世界観(Vo/Gt)、小泉拓(Dr)

3年ぶりとなるアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリースしたクリープハイプ。まずはここ数年の活動をこんなふうに振り返ってくれた。

現メンバー15周年の節目を迎え、 クリープハイプらしさに向き合った新作リリース!

「去年は春に東西アリーナツアー、秋にはファンクラブ限定ツアーがありました。コロナ禍で世の中が停滞した後、また普通の活動ができるようになってきたなかで我々のキャリア史上最大のライブができて、ずっと応援してくれる人たちにしっかり向き合うことができたのは大きな経験でした」(長谷川)

「今年は現メンバー15周年ということもあり、あらためてクリープハイプとはどういうバンドなのかを自分なりに考えて、今回のレコーディングに挑みました」(小泉)

今作から受け取るクリープハイプらしさ。それは愛憎入り交じるアンビバレンツな感情を、ユーモアと皮肉と優しさで包み込むようなバンドサウンドなのかも。なかでも窪塚洋介さんと亀梨和也さんダブル主演のドラマ『外道の歌』の主題歌「生レバ」は、シリアスとユーモアのバランスが絶妙な一曲。

「原作も好きで読んでいたのですが、主題歌のお話をいただいたときに、今回はあえて物語に寄せ過ぎずに表現したほうが誠実なのではないかと思いました。曲作りでは、アレンジが固まってから歌詞を書くので、ブレイクで無音になる部分を活かして〈アカペラにしてまでこんなタラレバ言いたくないけれど〉という歌詞を書いてみたりしました」(尾崎)

「この曲のようにアレンジを決めた後で『こんな歌詞が乗るんだ!』と驚かされることも(笑)。でも言葉をアレンジで導けた感じがして、ちょっと嬉しいんですよね」(小川)

鍵盤の音色が美しいスロウ・ナンバー「べつに有名人でもないのに」では、SNS世代ならではの恋愛事情が切なく描かれる。尾崎さんの作詞家としての鋭い視点が光る楽曲だ。

「ネットニュースで入れ代わり立ち代わり誰かが炎上しているのを、個人的な恋愛に置き換えて皮肉っぽく書いてみました。基本的にはファンの方に伝えたいので、聴いてくれる人に自分のことだと思ってもらえるような曲にしたいと思っています。クリープハイプの曲を聴いてファンの方がコメントをくれたりするのはすごく嬉しいけれど、それが直接曲作りに影響を与えることはあまりなくて。全く関係ないところで起こることのほうが作品に落とし込みやすいですね」(尾崎)

「この曲はピアノを主体としたロックバラードにしました。どこかノスタルジックなサウンドに今どきの悩みを切りとった歌詞が乗るという不思議さが面白い一曲です」(長谷川)

ソングライティング、アレンジともにクリープハイプらしさが凝縮されている今作。アルバムの初回限定盤には尾崎世界観が脚本を務めた短篇映画『変な声』を収録。レコーディング・エンジニア役に池松壮亮さん、レコード会社のディレクター役に森七菜さんがキャスティングされ、クリープハイプも本人役で出演する。

「レコーディングスタジオで登場人物たちが会話をする。ただそれだけなんですが、ファンの皆さんはあまりレコーディング現場を見る機会がないと思うので、楽しんでもらえるはずです。ドキュメントとはまた違いますが、どういう場所で音楽が生まれているのかを、少しでも感じてもらえたら嬉しいです」(尾崎)

現メンバー15周年ということだが、今や小説家としても活躍する尾崎さんがいるバンドであることを他の皆さんも楽しんでいるという。

「文庫本の解説を書かせてもらったり、芥川賞の『待ち会』をしたり、普通のバンドマンではできない経験ですよね」(小泉)

「朝起きて何気なくテレビをつけると『NHK短歌』に尾崎が出ていることも。びっくりして目が覚めますね(笑)」(小川)

PROFILE プロフィール

クリープハイプ

4人組バンド。左上から時計回りに、長谷川カオナシ(Ba)、小川幸慈(Gt)、尾崎世界観(Vo/Gt)、小泉拓(Dr)。2001年結成、’09年11月に現メンバー体制となる。’25年2月から全国ツアーを開催。

INFORMATION インフォメーション

7th Album『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』

通常盤(CD+歌詞ブックレット)】¥3,520 【初回限定盤(CD+BD+パンフレット+歌詞ブックレット)】¥7,700(ユニバーサル ミュージック)

写真・玉村敬太(TABUN) 取材、文・上野三樹

anan 2427号(2024年12月18日発売)より

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