話題の《流行猫の変化》も! 浮世絵師・歌川国芳の画業人生に迫る展覧会

エンタメ
2024.12.20

江戸時代末期に活躍した浮世絵師、歌川国芳。主題に対する感性の豊かさ、斬新なデザイン力、奇想天外なアイデア、確かなデッサン力を持ち、浮世絵の枠にとどまらない魅力を持つ作品を多数生み出した。

奇想天外なアイデアとユーモア画で、世を斬った国芳の画業人生に迫る。

当時の浮世絵界では美人画と役者絵が頂点とされる中、国芳は30代初めに中国の長編小説『水滸伝(すいこでん)』の英雄を描き、遅咲きの成功を手にし、武者絵を人気ジャンルへと押し上げた。また3枚続きの大画面による武者絵、ウィットに富んだ戯画、西洋画法を取り入れた風景画など、趣向を凝らした作品を残し、それらは国内外で高い評価を得ている。

本展「歌川国芳展―奇才絵師の魔力」はそんな国芳の初期から晩年までを総括する大規模な展覧会。さまざまな画題の浮世絵版画、貴重な肉筆画など約400点を紹介する。

その目玉となるのが武者絵。本展では、彼の出世作となった連作《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)》シリーズから、最晩年の大作《四条縄手の戦い》(前期のみ)まで、国芳の武者絵が一堂に会する。

また、ユーモラスでありながら、風刺を潜ませた面白い画も得意とした国芳。猫や金魚といった生き物ばかりでなく、道具や玩具をも擬人化したり、絵に二重の意味を持たせたりした戯画を残している。会場では、《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》などを楽しめる。

さらに、大の猫好きであった国芳は、自身のさまざまな作品に猫の姿を描いた。本展では、近年発見され話題となっている《流行猫の変化》をはじめ、猫をモチーフにした国芳の作品にもフォーカスする。

天保の改革による浮世絵への取り締まりに反発した国芳は、自身の作品に精一杯の皮肉をぶつけたり、当時の幕府ではご法度とされていた赤穂浪士をテーマにした作品を描くなど、持ち前の明晰さで国政とも戦った。絵筆一本で世間に物申す姿勢は、画業を超えて彼のファンを増やした。そんな国民のヒーロー国芳。彼の画業を知ることは、当時の時勢と、彼の生き様を知る機会ともいえそうだ。

現代の漫画やアニメに通じる国芳の武者絵。

《相馬の古内裏》弘化2‐3年(1845‐46)頃 個人蔵
源頼信の家臣・大宅太郎光国と、妖術を操る平将門の遺児・滝夜叉姫との対決の場面を描いた作品。

風刺を潜ませ、笑いを誘ったエンターテイナー!

《きん魚づくし ぼんぼん》天保13年(1842)頃 個人蔵
“ぼんぼん”とは昔の子どもの遊びで、その様子を金魚で擬人化したもの。

《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》弘化4年(1847)頃 個人蔵
15人の男の体を使って表現した寄せ絵の代表作として広く知られている本作。

《流行猫の変化》天保12‐13年(1841‐42)頃 個人蔵
近年発見された《流行猫の変化》も登場。

INFORMATION インフォメーション

「歌川国芳展―奇才絵師の魔力」

大阪中之島美術館 4階展示室 大阪府大阪市北区中之島4‐3‐1 前期:12月21日(土)~2025年1月19日(日) 後期:1月21日(火)~2月24日(月)10時~17時(入場は閉館の30分前まで) 月曜(1/13、2/24は開館)、12/31、1/1・14休 一般1800円ほか TEL:06・4301・7285(大阪市総合コールセンター)

文・山田貴美子

anan 2427号(2024年12月18日発売)より

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NEW MAGAZINE最新号

No.24272024年12月18日発売

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