――世界中にファンを持つ人気ゲームを基にしたオリジナルドラマへの出演オファーを聞いた時の、率直な思いを伺えますか?
竹内涼真(以下、竹内):もちろんプレッシャーは感じましたが、武正晴監督から「原作をそのままやるのではなく、まだ誰も観たことのない『龍が如く』を一から作ろう」という熱い思いをぶつけていただいたのでそれに応えるつもりで挑みました。
賀来賢人(以下、賀来):僕も同じですね。オリジナルを最大限リスペクトしつつ新しいものを作るという気概に共感しました。ゲームのファンに受け入れられなかったら…という不安よりも、このチームならきっと新しいものができるはず、という信頼感があったのも決め手です。
――竹内さんは、義理堅く、多くの修羅場を生き抜いた伝説のヤクザ・桐生一馬を演じられましたが、どんなことを意識されましたか?
竹内:桐生は大勢の敵が襲いかかってきても、独りで闘うほど強いキャラクターとして知られていますが、なぜ彼は強くなったのか、いや、ならなければいけなかったのかといった、ゲームには描かれてない部分を自分なりに深く掘り下げました。一方で愛情に飢え、人とのつながりを求めている面もある。そういう繊細さや弱さも忘れないように。
――激しい対戦シーンをはじめ、桐生の鍛え抜かれた体が物語に迫力を生んでいます。体づくりは相当過酷だったのではと想像するのですがいかがだったでしょう?
竹内:準備期間を長くいただいたので、無理なく体づくりにアプローチできました。桐生は格闘シーンが多いんですが、僕は格闘技経験がなかったので、朝倉未来(みくる)くんが主宰するジムに通って、一から技を学ばせてもらいました。そうそう、桐生の象徴でもあるシルバーのスーツは、自分の体に合うようスタイリストの方が一から作ってくださったんですよ。それを着ると、自分が桐生一馬になっていく感覚もありました。
――賀来さんは桐生と同じ養護施設で育った錦山彰を熱演。調子がよくて仲間思い。だけど、桐生に少なからずコンプレックスを抱いているという複雑な役どころでした。
賀来:僕、実は錦山に一番共感したんです。哀しさや怒り、嫉妬といった複雑な感情を抱えていてすごく人間くさい。それが魅力だと思ったし、だからこそ、感情の機微を丁寧に表現したいと思っていました。
――巨大歓楽街・神室町が大型セットで実写化されていて、それも大変見応えがありました。現場の雰囲気はいかがでしたか?
竹内:再現度があまりに高くて、妙な緊張感がありました。気を緩めていたら、このまま欲望と暴力の渦に呑み込まれてしまうんじゃないかっていう。ただ、現場でそういう雰囲気づくりをしていただいたので、役に入りやすかった。あと、武さんの熱量がずっと高かったんですよ。始まりから終わりまで止まることなく動き続けるマグロのような(笑)。武さんのおかげで現場の熱量も高く、僕自身も奮い立たせられましたね。
賀来:僕は竹内くんに比べてハードな格闘シーンはそんなになかったんですけど、炎天下でスーツを着て、ビシッとクールに決めなきゃいけない場面はなかなか大変でした。そういえば、現場にはコワモテの俳優さんが多くいらっしゃったのですが、そういう人たちってカメラが回ってないところではすごくチャーミングなんですよ。それを見て、心がホクホクしていました(笑)。
――7月には、15万人が訪れたというアメリカ最大級のポップカルチャーの祭典「サンディエゴ・コミコン」でいち早く『龍が如く ~Beyond the Game~』の特報映像を解禁。お二人はパネルディスカッションにも出席されましたが現地のファンの反応はいかがでしたか?
賀来:想像していた以上に熱く迎えてくださって驚きました。もちろん世界的に人気があるゲームだということは知っていたんですけど、こんなに注目されていたんだ!? と。
――作品が240以上の国や地域に配信されることについては、どう捉えていらっしゃいますか?
竹内:本気で取り組んだ作品を多くの国や地域の方々に届けられるというのはやっぱり嬉しいですね。
――ズバリ、見どころは!?
竹内:「クライム・サスペンスアクション」とカテゴライズされていますが、僕は任侠ドラマではなくて、愛と家族をテーマにした作品だと思っています。おそらく読者のみなさんが日常で感じている「大切な人と一緒にいたい」「大事な存在を守りたい」という気持ちとリンクする場面は多いと思う。
賀来:愛と家族という普遍的なテーマを扱っているので、どの世代も楽しんでもらえるはず。あと、話の展開がすごく早いんです。一話見始めると一気見しちゃうんじゃないかな。
竹内:そうそう、疾走感がありますよね。あと、武さんが神室町を歩くエキストラのみなさん一人ひとりに芝居をつけているんですけど、それがすごくリアルでおもしろい。そういう細かなところにもぜひ注目してもらえたら。
――今作では1995年と2005年という2つの時代を交互に描きます。桐生と錦山の立場が大きく変化しますが、お二人は10年のうちにどんな変化がありましたか?
賀来:僕はめちゃくちゃ変わりましたね。結婚して、子どもが生まれて、事務所を辞めて、自分で会社を立ち上げて。仕事に対する向き合い方も、よりワクワクを求めるようになりました。一生安泰なんて保証はどこにもないんだから、だったらどんどんチャレンジしようって。
竹内:僕はデビューが約10年前なので、その頃と比べると見た目も内面もすごく変わりましたね。これからも変わっていくんだろうなと思うし、それを楽しみにもしています。
PROFILE プロフィール
竹内涼真
たけうち・りょうま 1993年、東京都生まれ。『仮面ライダードライブ』(’14年)で主演を務め、注目を集める。今年は4月期ドラマ『Believe―君にかける橋―』、7月期ドラマ『ブラックペアン シーズン2』と話題作に出演。
賀来賢人
かく・けんと 1989年、東京都生まれ。2007年俳優デビュー。『今日から俺は!!』(’18年)などテレビや映画で存在感のある演技を見せる。今年Netflixで配信された『忍びの家 House of Ninjas』では原案・主演・プロデューサーを務め話題に。
INFORMAITON インフォメーション
『龍が如く ~Beyond the Game~』
伝説的なゲームシリーズ「龍が如く」シリーズをベースにしたオリジナル脚本による新ドラマ。桐生一馬と親友の錦山彰が極道の世界に身を置くことになった始まりから、神室町での生き様を2つの時代で描いていく。Prime Videoにて世界独占配信中。