――今、1日どれくらい問題を作っているんですか?
松丸亮吾(以下、松丸):平均3問くらいのペースですね。調子がよくて10問できる日もあれば、スランプで1問もできない日もありますが、年間1000問は作っています。
――スランプの対処法は?
松丸:LINEの通知を切って、ゲームをして、猫と遊びます。スランプの時に考え続けても、凝り固まった思考から抜け出すのは大変。「納期が近いのに、どうしよう…」と思い悩み続けるより、休むと決めたらひたすら現実逃避して、改めて問題に向き合うと案外よかったり、単純に解決するんです。
――以前、街歩き中に看板などをヒントに問題を作っている密着映像を見たことがあるんですが、今も同じ作り方ですか?
松丸:最近はあまり外に出なくなりました。猫を膝にのせながら、パソコンでマップのストリートビューをポチポチして、優雅に作っています(笑)。リドくんが来てからは早く会いたいから、仕事も3時間と決めたら3時間で切り上げるためにテキパキやるようになりました。餌にしても、うちは4兄弟全員猫を飼っているので、お兄ちゃんたちに聞いたり、声優の花江夏樹さんも猫を飼っているのであれこれ質問したり、徹底的に調べましたよ。6種類買ってみて、食いつきがよかった3種類を次の週に試してみるという、トーナメントみたいなことをして決めました。リドくんを飼ってから、僕にとっての幸せの形が変わった気がします。自分中心の人生を送ってきましたけど、今はリドくんが幸せなら、僕も幸せみたいな。
――動物に対する接し方は、パートナーへの接し方に通じるともいわれてますが、リドくんへの愛は尋常じゃなさそうですね。
松丸:溺愛ですね。本当に猫への接し方でパートナーへの接し方がわかるんだとしたら、献身的になると思います。指原莉乃さんには、仕事好きで会社も持っていて大変だから、絶対に尽くすタイプじゃないって言われますけど、リドくんが来た時にはもう会社もやっていたのにすくすく育ってますから、めっちゃいいダンナさんになりますよ(照)。…こんなこと自分で言うなんて嫌なやつですね(笑)。
――謎解きとはあまり関係ない芸能活動もなさっていますね。
松丸:芸能活動はずっと苦手で、これでいいんだと思える形が見えてきたのはここ数年です。テレビに出始めた2~3年は悩みまくってました。僕がここにいるより、絶対に話が面白い芸人さんをキャスティングしたほうがいいのにと思いながらやっていましたし、「謎解きは広めたいけど、別に出役になりたいわけじゃない」って自分に言い訳して…。暗黒時代でしたね。そんな頃に、マネージャーさんから「松丸くんに求められているのはお笑いじゃないんだから、素のままでいいんじゃない?」って言われて、キャラを作っていたことに気づいて変われました。別に面白くなくても、ミスってもいいやって。以前の自分なら、自分を有名人だと思ってTwitterの公式マークに申請したけど却下されたなんて、超恥ずかしくて言えなかったです(笑)。
――出演した番組は見ますか?
松丸:早口になっちゃったり、恥ずかしくて止めたくなるけど、次に活かす反省材料として見ます。SNSもめちゃくちゃ見ますね。「見るとしんどくなるから、エゴサはしないほうがいい」と言われますけど、僕の場合はフィードバックが早くて問題の反響もわかりますし、指摘を受ければ申し訳ないと反省もできて、エゴサしていいことのほうが多いんです。
――SNSではネガティブなことも言われますよね?
松丸:悪いことを書かれたら、プロフィールに飛んで芸能人を片っ端から攻撃している人はミュートしちゃいますね。でも、攻撃ではなく真摯な言葉には、反省します。凹んだらリドくんを撫でます。僕、意識的に見せないようにしているだけで、結構、メンタル弱いんですよ。「もう無理。病んだ。仕事したくない」ってつぶやくこともできますけど、不幸って伝染するじゃないですか。僕のつぶやきで誰かを心配させたり、嫌な気持ちにさせたら、僕にはどうすることもできないので、弱った時はツイートしないようにします。
――ご自身の弱さを見せられる人はいますか?
松丸:会社の子には「会社大変だよ、しんどいよ」って言ってます(笑)。社長だからしっかりしなきゃとか、全然思ってないです。実際、コロナ禍でイベントが開催できず、この3年はしんどい時期が続いて大変でした。僕が負のオーラを出すと、東大謎解きサークルの創設者で、転職までして入ってくれた社員が「次の週末、温泉行こうぜ」とか誘ってくれて、助けられていますね。
――3月放送予定の『謎解き日本一決定戦X』でも、松丸さん率いる「RIDDLER」が作った問題が出題されるんですか?
松丸:はい。会議では、今まで見たことのない謎解きをホワイトボードに書き出して、さすがにこれは実現できないだろうという問題も、プロの番組制作部隊の方々の力を借りて形にしてもらっています。謎解きクリエイターとして一番嬉しいのは、やっぱり面白い問題ができた時で、できると「絶対に面白いから番組見てね!」って友達にLINEしまくるんですけど、「『X』見てね!」って言い回ってます。大会の出場条件は“10歳以上”だけ。10歳の子どもも60歳の方も、同じ場で同じスピードで解く構成なので、どんな方が予選を勝ち抜いて決勝にくるのか読めず、ワクワクしています。“子どもでも解けること、大人でも解けないこと”は、僕自身が問題を作る時にいつも大事にしていることです。学校で習ってないから解けないって、子どもからするとしんどいんですよ。子どもも大人も平等に楽しめて、子どもがジャイアントキリング(大番狂わせ)を起こすかもしれない。それがクイズとは違う、謎解きの醍醐味です。
松丸さんが率いる謎解きクリエイター集団「RIDDLER」が全ての謎を手掛ける特別番組『謎解き日本一決定戦X 2022』。現在、1次予選が開催中で、熱戦が予想される決勝大会は3月にMBS/TBS系にて全国放送。松丸さんは、今田耕司さんと共にMCの大役も務めるとあって「新しい挑戦に今から緊張しています」。詳細は、番組HPをチェック。https://www.mbs.jp/nazotoki_x/
まつまる・りょうご 1995年12月19日生まれ、千葉県出身。2016年から始まった『今夜はナゾトレ』で謎解きブームを起こす。現在、『ヒルナンデス!』の火曜コーナー「謎解きバトル!」や『ゼロイチ』などに出演中。’19年、謎解きクリエイター集団「RIDDLER」を設立。最新著書に『ナゾトキングダム』(小学館集英社プロダクション)。
ニット¥59,400(シンヤコヅカ/エムエイティティ info@the-matt.com) パンツ¥30,000(セラー ドアー/アントリム TEL:03・5466・1662) その他はスタイリスト私物
※『anan』2022年1月12日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・鹿野巧真 ヘア&メイク・高徳洋史 インタビュー、文・小泉咲子
(by anan編集部)