アカペラでインパクトを残したかった。
「お話をいただいた時、『THE FIRST TAKE』のことはもちろん知っていました。家族全員が好きでよく観ていたんです。特にうちの父親がめちゃくちゃ好きで、LiSAさんの『紅蓮華』とかを繰り返し観ていました。だから、出演が決まった時、両親にすぐ言うか内緒にしておくべきか、まずそれに迷いました(笑)」
自宅やプライベートスタジオから届ける「THE HOME TAKE」の収録も、もちろん一発撮り。この時のためのアレンジは自身で考えたものだという。
「せっかくだから、何か特別なことをやりたくて。それでサビのアカペラから入ろうと決めました。インパクトのあることがしたかったんです。収録する前は、音を外したらどうしようとか、あそこで裏声を使ってみたいとかいろいろ考えていたんですが、始まったらもう記憶がなくて。とにかく気持ちを込めること、それだけをずっと考えて歌いました」
配信時には、自身もパソコンの前で待機して公開を待ったそう。
「確かにパフォーマンスしたはずなんだけど、なんだか実感があまりなくて。パソコンの画面を見ながら、最後まで歌いきれ! がんばれ! って自然と自分を応援していました(笑)」
『かくれんぼ』は今、ストリーミング再生数1億回を超えるまでに。そして同年10月にはメジャー2ndデジタルシングル『ドライフラワー』発売直後に「THE FIRST TAKE」に登場。こちらの動画は現在までに、5500万回再生を突破中。楽曲としてもApple Musicをはじめとする音楽配信サービスで次々と1位を獲得した。2021年3月29日付のBillboard JAPAN ストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では、男性ソロ最速、歴代3位のスピードでストリーミング累計2億回再生を突破したことがニュースにもなった。この曲のバイラルヒットの火つけとなったのが「THE FIRST TAKE」であることは間違いなさそうだ。
「本当にそうだと思います。僕としても『ドライフラワー』はたくさんの人の心に響いてくれるはずだと思えた自信のある曲。それをこの場所で披露することで、曲だけでなく歌っている僕のことまで伝えていただけた。それがすごくうれしかったですね」
普段から「THE FIRST TAKE」をよく観ているという優里さん。藤井フミヤさんが歌う『Another Orion』には感動したと、興奮気味に話す。
「僕が学生時代に大好きでずっと繰り返し聴いていた曲なんです。それをここで聴けたのは興奮しました! いち歌手としても、いろいろな方の歌を聴けるのは本当にありがたい。歌に込めているものもそれぞれ違うじゃないですか。『THE FIRST TAKE』は、それがよくわかって、めちゃくちゃ勉強になります」
では、この出演を経て、優里さん自身の中で変わったことはあるのだろうか?
「そうですね。度胸は確実につきましたね。テレビとかラジオとかで一発で決めないといけない時に、あの緊張する一発撮りもちゃんとできたんだから、大丈夫って。そういう強い気持ちを持てるようになりました」
ゆうり 2019年、SNSに投稿された歌唱動画が注目を集める。'20年8月『ピーターパン』でメジャーデビュー。『ドライフラワー』が配信サイトなどで42冠、男性ソロ最速ストリーミング2億回再生突破と大ブレイク。最新曲『飛行船』が好評配信中。
※『anan』2021年6月2日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス) ヘア&メイク・Yutaro Ichikawa 取材、文・梅原加奈
(by anan編集部)