韓国のエンタメ界が発祥の、歌も演技もダンスもできて、バラエティ番組もこなす“演技ドル”。人気ボーイズグループのメンバーの大半がドラマや映画でも活躍するし、防弾少年団のVが出演した『花郎〈ファラン〉』などは演技ドル競演で話題となった。副業感覚ではなく、演技も勉強して作品ごとに役者としても成長する。「ビジュアルはいいし、演技力もある。ファンは新しい魅力を次々に発見できます」(編集者、ライター・川口恭子さん)
神は二物も三物も与えるのだとうらやましくなるほど。その流れが、もともと俳優兼シンガーが多かった中華圏にも飛び火。韓国の芸能事務所で練習生となり、帰国後にデビューしたホウ・ミンハオなど、多くの演技ドルが誕生している。
イー・ヤンチェンシー(CHINA)
ファッション誌『Harper’s BAZAAR』中国版の表紙をKoki,と飾った子役出身の元アイドル。英語も達者で、グラミー賞授賞式にゲスト出演したり、WHOでスピーチしたことも。「TFBOYSの一員で、ダンスが得意。中国版『24‐TWENTY FOUR‐』といわれるアクション時代劇『長安二十四時』にダブル主演し、高い演技力を評価された人気スターです。映画『少年の君』(日本では映画祭上映のみ)でも熱演し、目が離せない一人」(編集者、ライター・小俣悦子さん)
ビー・ウェンジュン(CHINA)
抜群の歌唱力とダンスで人気の中国ボーイズグループ楽華七子NEXTメンバー。「ドラマ『お嬢様飄々拳~プリンセスと御曹司~』(LaLaTVにて10月から放送開始)で、おとなしそうに見えて実は武道のカリスマ的達人、ツンデレな大学生を自然体で演じている。本作の主役に抜擢された後、韓国ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』の中国リメイク版『漂亮書生(原題)』では、ソン・ウェイロンとのイケメン共演を果たしています」(小俣さん)
チャ・ウヌ(KOREA)
ボーイズグループASTROのビジュアル担当で、歌手デビュー前に映画『世界で一番いとしい君へ』でカン・ドンウォン演じる主人公の息子役として俳優デビューしていた。初主演ドラマ『私のIDはカンナム美人』では、韓国ドラマ賞新人賞など多数の賞を獲得。「アイドル屈指のビジュアルから“顔天才”と呼ばれる一方、俳優としての才能も見事に開花! ドラマ『新米史官ク・ヘリョン』では、繊細な演技が大きな話題に」(川口さん)
イム・シワン(KOREA)
『ミセン~未生~』の大ヒットで若手演技派の筆頭格になった、元祖演技ドル。除隊後初となる主演ドラマ『他人は地獄だ』が日本でもDVDとデジタル配信でリリースされたばかり。「元ZE:Aのメンバーですが、早くから俳優活動を始めて、様々なジャンルの作品に挑戦していて、高いプロ意識を感じます。ベテランの実力派ソル・ギョングと共演した映画『名もなき野良犬の輪舞』で、また別の顔を見せてくれました」(ライター・西森路代さん)
ロウン(KOREA)
ボーイズグループSF9リードボーカルで身長約190cmの彼は、グループのビジュアル担当で男性ファンも多い。リアリティ番組やバラエティ、映画と幅広く活躍。「SF9のメンバーでありながら、最近はドラマに引っ張りだこ。MBCドラマ・アワード最優秀新人賞に輝いた『偶然見つけたハル』では、ヒロインに名付けられて自我が芽生える二次元のイケメンキャラを見事に体現! 現在の演技ドル代表ともいえる存在です」(川口さん)
ホウ・ミンハオ(CHINA)
「韓国のSMエンタテインメント練習生を経て、中国のボーイズグループfresh極客少年団でデビュー。若いのにコメディからサスペンスまで幅広くこなせる実力派です。ぐっと大人びてきているので、今後が楽しみ」(川口さん)。『笑林足球』で映画デビュー後、初主演ドラマ『カンブリア紀』では演技力を高く評価された。青春ドラマ『駆け抜けろ1996』や『盗墓筆記II:怒海潜沙&秦嶺神樹』など、今後もドラマ6本に出演予定だ。
アジア男子…エンタメ界でアジアの男たちの勢いが止まらない。SNSやストリーミングサービスの普及で、その熱狂は国境を超えますますグローバルなものになっている。ドラマ『2gether』がツイッターで世界トレンド1位になり、タイのBLドラマに沼落ちする人が続出という一大ムーブメントを巻き起こしているのを筆頭に、俳優としても目覚ましい活躍を見せるボーイズグループメンバーや、華流イケメンの台頭など、今、アジア男子に世界が夢中!
おまた・えつこ 編集者、ライター。編プロで数年、出版社で10年勤務の後フリーランスに。台湾が大好きで『台湾エンタメパラダイス』(キネマ旬報社)20号分を企画・編集。その他『華流日和』『華流スター&ドラマガイド2020』(共にコスミック出版)などを編集。
かわぐち・きょうこ 編集者、ライター。1989年生まれ、愛知県出身。映画・ドラマをこよなく愛し、ファッション誌でカルチャーニュースを執筆中。ステイホームをきっかけに、人生最大のアジアブーム到来。やりたいことは、ドラマ『梨泰院クラス』と『2gether』のロケ地巡り。
にしもり・みちよ ライター。愛媛県出身。テレビ局勤務を経て上京。2000年代から編集・ライターの仕事を始める。アジアのエンターテインメントを伝えるラジオ番組のディレクターなどを経て、現在は、特に韓国映画と日本のドラマについて数多く執筆している。
※『anan』2020年9月30日号より。取材、文・山縣みどり 写真・Getty Images
(by anan編集部)