神社のハシゴはNG!? 意外と知らない初詣の常識

2015.12.25
一年で最初のハレの日の行事、それが初詣。毎年決まった神社に行っている人もいれば、「今年はどこに参拝しよう…」なんて考えている人も多いのでは。新年を迎える前に、歴史作家の戸矢学さんに初詣の基本を伺った。

「初詣は自分を見守ってくださる神様に感謝を述べ、新年のご挨拶をする場。神様の前で心の穢れを払い、新たな一歩を踏み出すためにも、正しい場所、正しい作法で参拝することが望ましいでしょう」

とはいえ、そもそも日本には八百万(やおよろず)の神がおわし、神社の数も全国あまた。その中で、自分が初詣で参拝に行くべき神社とは?

「人には、それぞれ氏神様が存在します。氏神とは、その名の通り名字(氏)を同じくする人たちが祀る祖先神のことで、自分と同じ名字の氏神を祀っている神社こそが、あなたが本来初詣で参拝すべき神社といえます」

一年の始まりは初詣から。
一年の始まりは初詣から。

自らの運を切り開くためにも、初詣の正しい知識は必要不可欠。意外と知らない初詣のポイントとは?

神社のハシゴはNG!

「日本の神様はおおらかなので、氏神様とともに別の神社を崇敬すること自体は構いません。ただし、あくまで優先すべきは“自分の氏神様”ということを忘れずに。氏神神社で初詣を済ませた後、その足で別の神社にお参りに行くのもご法度です!」

行くべきは、自分の住む地域の「氏神神社」。

「本来は自分の氏神様=生まれた土地の神=住んでいる土地の神ですが、今やそうでない人が大多数。自分の氏神様がわからない場合や、氏神神社が近くにない場合は、住んでいる地域の鎮守神を“地縁によって結ばれた氏神”として参拝に行くのが現実的です」

黒ずくめ、カジュアルすぎはNG。明るい色の正装で。

「意外と知らない人が多いのが、参拝時の服装マナー。理想は“白装束”ですが、なるべく明るめの色の服を選べばOKです。黒い服や、ラフすぎる格好はよろしくありません。神様の前にご挨拶に行くのに、ふさわしい装いを選ぶことが肝心です」

とや・まなぶ 歴史作家。國學院大学文学部神道科卒。神道に独自の視点からアプローチする。『諏訪の神 封印された縄文の血祭り』『ツクヨミ 秘された神』(共に河出書房新社)など著書多数。

※『anan』2015年12月30日‐2016年1月6日合併号より。イラスト・ミヤタ チカ 文・瀬尾麻美

(by anan編集部)