長澤まさみ、野田秀樹舞台は「みんなでその場で作り上げていく感覚が面白いです」

エンタメ
2024.07.16
ダジャレ交じりのスピード感のあるセリフ。単なる言葉遊びかと思いきや、いつしか言葉が、物語が、二重にも三重にも意味を持ち始め、観客の想像力を掻き立て、深い思考に誘い込む。今なお日本の演劇界の先頭を走り続ける野田秀樹さんの新作舞台『正三角関係』は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を入り口にした、とある場所、とある時代の花火師一家の物語。

長澤まさみ「宝箱のような脚本で、演じるほど自分の課題が見えてくるのが楽しい」

長澤まさみ 正三角関係

「野田さんワールド全開で、台本を読んでも読んでも追いつかず、何度読んでも気づきをもらえる、たくさんの人物や要素が詰め込まれた宝箱のような台本です。回想や別の物語が突然現れてきたり、計り知れない奥行きがあるんです。キャラクターも、稽古を重ねる中で思いもよらない設定や奥行きが見えてきて、なるほどと思うこともあって。演じれば演じるほど自分の課題が見えてくる感じも楽しいです」

そう話す長澤まさみさんの言葉の端々からは、稽古を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。

「野田さんの舞台は、ただ役を演じるだけじゃないんですよね。仕掛けがたくさんあって、自分が舞台装置のひとつになった気持ちになるから、始まってしまったらもう前に進むしかない感じがして、それがすごく新鮮で。俳優でありながらスタッフでもあるような、みんなでその場で作り上げていく感覚が面白いです」

カラマーゾフよろしく本作にも三兄弟が登場。長男に松本潤さん、次男に永山瑛太さん、そして長澤まさみさんはなんとふたりの弟である三男を演じるという。

「松本さんはとても真面目な人。ずっと高いモチベーションのまま芸能界にいらっしゃる姿は、とても学ぶことが多いです。わからないことをそのままにせず、ちゃんと野田さんに疑問を投げかける姿を見ながら、本当に信頼できる人だなと思っています。永山さんは、お芝居をする上で、コミュニケーションをとってくださる方。日々稽古場で芝居が変わっていく中、毎日話し合いながら進めさせてもらっています」

今回グルーシェニカという女性も演じるが「二役を演じる気持ちで取り組まないようにしている」そう。

「素直に、その場の物語に順応していくことが一番大事だと思っています。いつも演じるときに大事にしているのは、物語のためにいる人になるということ。ご覧になる方には、私が一人二役であることよりも、作品自体を楽しんでもらいたいという気持ちが強いので」

近年、舞台に出演する機会が増えているが、なんと三谷幸喜さんに勧められたことがきっかけだとか。

「以前に共演した舞台をベースにされている俳優さんにも、『身長が高くて舞台映えする』と褒めてもらったこともあるんです。それについては自分でも自覚があったので、自分の長所を活かせたらと思っていたこともあり、でも何よりも、好きな人と一緒に仕事がしたいんですよね。だから今回、野田さんから話をいただいたとき、『やったー!』でしたから(笑)」

長澤まさみ 正三角関係

NODA・MAP第27回公演『正三角関係』 7月11日(木)~8月25日(日) 池袋・東京芸術劇場 プレイハウス 作・演出/野田秀樹 出演/松本潤、長澤まさみ、永山瑛太、村岡希美、池谷のぶえ、小松和重、野田秀樹、竹中直人ほか NODA・MAP TEL:03・6802・6681(平日11:00~17:00) 全公演当日券あり。詳細は公式HP(www.nodamap.com/seisankaku/)にて。北九州・大阪・ロンドン公演あり。

ながさわ・まさみ 1987年6月3日生まれ、静岡県出身。最近の主な出演作に、ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』、映画『四月になれば彼女は』など。9月13日には、三谷幸喜監督の主演映画『スオミの話をしよう』が公開に。

ニットドレス¥159,500(GIA STUDIOS/THE WALL SHOWROOM TEL:050・3802・5577) ネックレス¥57,600 ブレスレット¥375,200(共にTOM WOOD/TOM WOOD STORE AOYAMA TEL:03・6447・5528) シューズ¥181,500(J.M. WESTON/J.M. WESTON AOYAMA TEL:03・6805・1691)

※『anan』2024年7月17日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・仙波レナ ヘア・ASASHI(ota office) メイク・笹本恭平(ilumini.) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

PICK UPおすすめの記事

MOVIEムービー