1000年前の才女が放つ言葉が痛快! 心が疲れた時に読みたい、国内外の名作古典4冊

2023.10.9
落ち込んだり、ムカついたり、やる気が出なかったり…そんな気分の時に読みたい4冊を紹介。先人たちの言葉は、きっと明日の元気につながるはず。翻訳者、エッセイストのイザベラ・ディオニシオさんと、書評家の三宅香帆さんがセレクトしてくれました。

心が疲れた時に読みたい、国内外の名作古典

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芭蕉と共に旅する高感揚を楽しむ。

イザベラさん、三宅さんおすすめ

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『おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』著・松尾芭蕉 編・角川書店
江戸を発ち、奥州、北陸道を巡り、和歌に出てくる多くの名所旧跡を訪れながら俳句を詠み、地域に関する感想を書き綴った松尾芭蕉の紀行文。「時は始まりと終わりなく繰り返され、言ってしまえば、私たちの人生も一種の旅。『おくのほそ道』の旅に出た時、松尾芭蕉は45歳。当時はすでにおじいちゃんの年齢だけど、旅が楽しくて仕方がない芭蕉の言葉を読むうちに、私たち読者にもワクワク感が伝染。その元気にあやかりたい」(イザベラさん)。「表現力を学べる絶好の教科書でもあります」(三宅さん)。¥748/角川ソフィア文庫

1000年前の才女が放つ言葉がなんとも痛快!

イザベラさんおすすめ

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『現代語訳 枕草子』著・大庭みな子
平安中期に書かれた清少納言の随筆文学。季節の移り変わり、後宮での日常生活や貴族の様式美など、内容は多岐にわたる。「清少納言は鋭い感性で物事を観察し、生き生きと描写。現代語訳も原文の歯切れの良さを踏襲しています。読んでいると、胸がすっとするようで気持ちがいい。ところどころにある訳者のコメントも面白い」(イザベラさん)。¥1,276/岩波現代文庫

タフな女の生き様に勇気づけられる!?

三宅さんおすすめ

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『風と共に去りぬ』1 著・マーガレット・ミッチェル 訳・鴻巣友季子
南北戦争時代のアメリカ南部で生まれた、スカーレット・オハラの恋と人生を辿る物語。「健気でも謙虚でもなく、逆境に負けない、タフでしたたかなヒロインの生き様が面白すぎる。恋愛も家族関係も一筋縄ではいかない人生で、自分の欲望に忠実に生きる彼女を追いかけていると、自分の悩みなんて吹っ飛びます」(三宅さん)。¥880/新潮文庫

人生上手くいかない、そう思う時に読みたい。

三宅さんおすすめ

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『シーシュポスの神話』著・カミュ 訳・清水 徹
ギリシャ神話について思考をめぐらせたカミュのエッセイ。「なんで人生にこんなことが起こるの? もうイヤだ! そんな時に人間はどう生きるかについて、とことん考えています。最初は暗い哲学書だと思うけれど、読んでいくうちに、実は頑張って生きていこうと言っているんだと気づく名著。辛いことがあった時に読むと励まされます」(三宅さん)。¥693/新潮文庫

イザベラ・ディオニシオさん 翻訳者、エッセイスト。イタリア出身。大学時代より日本文学に親しみ、2005年に来日。著書に『平安女子は、みんな必死で恋してた』『女を書けない文豪(オトコ)たち』『悩んでもがいて、作家になった彼女たち』。趣味はごろごろしながら本を読むこと。

三宅香帆さん 書評家。1994年生まれ、高知県出身。京都大学大学院修士課程修了。著書に『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』ほか多数。いつか『更科日記』を現代語訳することが夢。

※『anan』2023年10月11日号より。写真・福森クニヒロ 黒川ひろみ 取材、文・野尻和代

(by anan編集部)