玉城ティナ「私の仕事と共通する部分も」 カリスマ・インフルエンサーを演じる

2023.8.15
カリスマ・インフルエンサー、ミトヤマネを主人公に、ネット社会の魅力や、そして怖さまでもクールに描いた映画『#ミトヤマネ』。「脚本を読んだ時、普段私がやっていることとあまり変わらないと思った」と話すのは、ミトヤマネを演じている玉城ティナさん。

自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙で面白かった。

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「インフルエンサーって華やかな職業に見えるかもしれません。でも、たぶんミトは、特に資格もいらずにスマホひとつでできるからってだけでインフルエンサーを始めたような気がしているんです。常に『Yes』しか言わないような受け身で、冷静に、淡々と役割をこなしている人であり、自分のことを他人事と捉えるところもあります。何か商品を紹介する時、広告塔としてその商品のイメージを背負うという意味では、私の仕事と共通する部分もあり、演じていて難しいことはそれほどなかったです。一方で、街頭インタビューのシーンで『なぜミトのことが好きなの?』という若者たちへの質問に対して『理由なんてない』とか『理由いります?』という答えがあるのですが、それって今どきの価値観のような気もしています。ミトの性格や好み、暮らしなどのバックグラウンドを知らなくても、ミトがミトだから好き、で許されるというか…。そういう誰にも説明できない危うさがミト自身の危うさともリンクして、この作品の世界観をより深めているのではないでしょうか」

心がけたのは、観る人がどのようにも意味づけや解釈ができる表情で演じること。例えば特徴的なのは、ミトの顔を世界中に拡散する“ディープ・フェイク”アプリを使うかどうかの決断を迫られるシーン。

「『いいんじゃない?』というミトの返答は、『なんでもいいんじゃない?』の意味に近いもので、本当にいいとは思っていない。観る人によっては破滅の道を選んだと思う人もいれば、面白そうとか新しいと思う人もいるかもしれませんが、私はどっちに捉えられてもいいと思っています。また、妹のミホ(湯川ひな)も本当は姉妹ではなくただの同居人かもしれないし、なんならミトがミホかもしれない。関係性を明言しないとか、あえてミトの本心や感情をどっちつかずに見せている表情やシーンはたくさんあるので、一回観て理解するのは難しいかもしれません。ただどれだけ理解していただいても、理解できないと拒絶されても、いいと思っていて。現代に生きる、ある普遍的な女性の物語にすぎず、いろいろな話をしながら観て、宮崎大祐監督の今までにない映像表現に、驚いてもらえたら嬉しいです」

ディープ・フェイクによりミトの顔が大量に拡散されるシーンは、異様とも圧巻とも捉えられるが、玉城さんはどう感じたのか?

「自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙でありつつ面白かった(笑)。自分はこういう映像表現も割と平気なんだと、新しい発見でした。もし本当に私の顔のフィルターができたら、みんなに使ってほしいですね」

Entame

『#ミトヤマネ』 人気絶頂のインフルエンサー・ミトヤマネは、ある日“ディープ・フェイク”アプリとのコラボ案件の話に乗る。世界中にその顔が拡散され、更なる人気者になったミト。しかし、悪用される事態に発展し…。8月25日公開。©2023「#ミトヤマネ」製作委員会

たましろ・てぃな 1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。モデル、俳優。WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム2』(2022年)で、監督デビューを果たす。今年1月に公開された映画『恋のいばら』では主演を務めた。

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※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・松居瑠里 ヘア&メイク・今井貴子 インタビュー、文・若山あや

(by anan編集部)