鈴木聖美「音楽を好きになったのは、親戚のおじさんの存在がきっかけ」 黒人音楽との出合い

2023.8.4
読者より年上の素敵なゲストをお招きする「乙女談義」。8月のゲストは、ミュージシャンの鈴木聖美さん。名曲「ロンリー・チャップリン」のお姉さまです! 第1回目をお届けします。
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洋楽に目覚めた子供時代、当時から黒人音楽が好きでした。

私が音楽を好きになったのは、親戚のおじさんの存在がきっかけ。東京の大田区に生まれ、近所に親戚がたくさん住んでいる環境で育ったため、小さい頃からよく祖母の家に遊びに行っていたんですね。そこに母の弟、すなわち私のおじさんがいて、よく洋楽のレコードを聴かせてくれたんです。あと家ではFEN(在日米軍向けに放送されていたアメリカのラジオで、現AFN)を聴いていた。加えて当時日本では、“初代御三家”と呼ばれる男性歌手が活躍していて、みなさん洋楽に日本語歌詞をつけたカバー曲を歌うような時代。なので、“英語の音楽”が私の中にスムーズに入ってきた。その中でも特に、黒人が歌う曲が大好きで。黒人歌手の声って素敵だなと思っていたのを覚えています。それが確か、小学校5~6年生くらい。

ちなみに弟の雅之は4つ年下。彼はまだ2年生くらいでしたけれど、常に私のあとをついて、一緒に音楽を聴いていましたね。

なんと初バンドでスカウトされたものの、意外な展開に!!

高校時代、学校の帰りによく遊びに行ったのが、横浜。駅のコインロッカーに制服を入れて踊りに行くのが本当に楽しくて。とはいえ歌手になろうなんてことは1ミリも考えたことはなく、クラスの洋楽好きの友だちと「この曲いいよね!」と鼻歌を歌う程度のもんです。でも卒業後、英語の専門学校に行っていた時期に、高校の同級生から「ブラックミュージックのアマチュアバンドが女性ボーカルを探しているんだけど、聖美、どう?」と突然連絡が! よくわからないうちにオーディションに行くことになり、藤沢のスタジオで、ボビー・ヘブの「サニー」という曲を歌ったんです。それが私にとって初めてのバンドでの歌唱、とにかくとにかく気持ちよかった。オーディションにも無事に合格し、バンドに加入。さあいよいよ私の音楽人生が始まる…わけではなく。バンドでデビューの話がきたのですが、私は「結婚するからやらない」と、音楽を辞めちゃったんです…(笑)。

すずき・きよみ ミュージシャン。1952年生まれ、東京都出身。弟は歌手の鈴木雅之氏。’87年、鈴木聖美 with Rats&Starとしてデビュー。35周年記念ベストアルバム『I’ve Got Soul』(ソニー・ミュージック)が好評発売中。

※『anan』2023年8月9日号より。写真・中島慶子 ヘア&メイク・チチイカツキ(beausic Inc.)

(by anan編集部)