「一粒万倍日」にすると良いこと・避けるべきことは? 吉日と暦の意味を解説

2023.6.11
【一粒万倍日】に【天赦日】【大安】など。吉日と暦について解説。意味を知れば、吉日がもっとありがたくなること間違いなし!

日本の暦とは?

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現代人には信じがたいけれど、江戸時代にはカレンダーである暦が、40種類以上もあったという。

「時代によって流行り廃りがあったり、地域によってメジャーな暦が違うこともありました。そうなると、暦ごとに異なる吉日が、一日に何個もかぶったりする。そんな日は特に縁起のよい“大吉日”とされ、ここぞとばかり旅行に出かけたり仕事を始めたり、アクティブに動いていました」(「日本良学」代表・藤本宏人さん)

当然凶日が重なることもあるが、気にしないのが江戸っ子の粋。

「江戸の人たちは縁起のよいことが大好き。凶より吉を重視したんですね。そこに運をつかむヒントがあると、私は考えています。凶を気にしてアレはダメこれはダメと萎縮するより、吉を信じて前向きに頑張った方が、何事もうまくいくはず。だから私も暦を読み解くときは、幸運を中心にお伝えするようにしています。みなさんも江戸っ子のように吉日を味方にして、上昇運をつかみましょう」

【六曜(ろくよう)】
結婚や引っ越しなど日本人の生活と密接に関わってきた暦。

14世紀、室町時代頃日本に伝わった中国の暦。月の満ち欠けのサイクルから計算する暦で、現在は国立天文台による月の観測情報をもとに算出されている。六曜の【大安】【友引】は、今の日本に残る吉日の中で最もメジャー。六曜最高の吉日である【大安】は「大いに安し」という意味で、全てがうまくいく。【友引】は勝負の決着がつかない、とされる日。午前中または夕方の時間帯が吉で、午前11時から午後1時30分はあまりよくない。

【陰陽(いんよう)】
世の成り立ちに従って森羅万象を明暗に分ける考え方。

古代中国の世界観のひとつ。世界はあらゆるものが混ざり合ったカオスから始まり、やがてその中から澄んだ明るい気=【陽】が上昇して天に、濁った暗い気=【陰】が下降して地になった、というもの。そのため世の全ては【陽】か【陰】の気を持つ、とされる。運気で言うと【陽】は目に見える領域、すなわち行動することや屋外が吉となる。【陰】は目に見えない領域が吉で、心の中で思ったり、計画したりすることが開運につながる。

【十二直(じゅうにちょく)】
かつては1番人気だった北斗七星が教える吉凶。

中国で生まれた暦のひとつ。北斗七星の回転と、方位を示す干支を組み合わせて12の日柄を導き出すもの。日柄には【平】【開】【満】【定】【納】【破】などがあり、それぞれ「~すると吉」、「~には適さない日」など意味を持つ。江戸時代の日本では庶民の験担ぎに役立てられ、日柄の意味が“当たる”と大人気。当時のカレンダーの中で重要な暦が置かれる中段に記されたため、「暦注中段」とも呼ばれていた。

【暦注下段(れきちゅうげだん)】
験担ぎが大好きな江戸庶民の間で大人気。

江戸時代の暦には、月日のほか季節や年中行事など様々な情報が盛り込まれていた。その中で、季節や干支などの組み合わせから導き出される吉凶は注釈的に扱われ、暦の一番下に書かれた。そのため「暦注下段」という。暦注下段は幕府などから削除されることもあったが、熱心に信じる庶民によってその都度復活して現在に伝わる。吉日には【天赦日】【神吉日】【大明日】【天恩日】【母倉日】【鬼宿日】【月徳日】がある。

【干支(かんし)】
世界を形作る要素とおなじみ12の動物が登場。

古代中国で考案された暦。陰陽五行の5要素「木・火・土・金・水」に陰陽をかけ合わせたものを「十干」、木星が天球を移動する道を12に分けたものを「十二支」という。十干と十二支を組み合わせた60通りの六十干支を使って、年月日を表す。たとえば2023年6月7日は、癸卯(みずのとう)の年、戌午(つちのえうま)の月、丙申(ひのえさる)の日になる。十干と十二支の漢字にはそれぞれ意味があり、組み合わせることでその日の吉凶を読み解くことができる。

選日(せんじつ)
最強吉日【一粒万倍日】は金銭運でもパワフル。

干支の組み合わせや、万物が5つの属性を持つと考える陰陽五行説を組み合わせて吉凶を判断するもの。すっかりメジャーになった【一粒万倍日】は、選日の吉日。ほかにも、方位の神様が不在になるので方角を気にせず旅行や引っ越しができるという【天一天上】(てんいちてんじょう)などがある。【一粒万倍日】に新しいことを始めたり投資をしたりすると、その利益が倍増するとされる。逆に、増えたら困る借金やトラブルは回避すべし。

二十八宿(にじゅうはっしゅく)
奈良時代から使われていた!? 中国の星座が語る運勢。

赤道を天球に拡大し、その赤道を28に分ける宿=星座を設定。月と宿の位置から暦を算出する。日本には奈良時代すでに伝わっていたと考えられ、1300年前に作られたキトラ古墳には、二十八宿に関連する壁画が描かれている。宿には【箕】【鬼】【房】などがある。【箕】宿は勉強、研究などが吉。【鬼】宿は暦注下段の【鬼宿日】と同じで、鬼が味方になる強い吉日。【房】宿は旅行、移転、何かを作ることなどがよいとされる。

お話を伺った方・藤本宏人さん 日本の文化、歴史、世界観から30年以上「ご利益」を研究する「日本良学」代表。著書に『365日のご利益大全』(サンマーク出版)。メルマガ「ご利益1万倍のこよみメール」は毎日配信中(「こよみメール」で検索)

※『anan』2023年6月14日号より。イラスト・津村仁美 取材、文・風間裕美子

(by anan編集部)