広瀬すずの祖母役を好演! 茅島成美「いろんな人のおばあちゃんになれたら嬉しい」

2023.2.25
人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。俳優・茅島成美さんの第3回目をお届けします。主演の妹だったり、先生だったり、祖母だったり。そんな立ち位置の役柄が多い、茅島さん。役者という仕事に対してのスタンスがユニークです。
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女優はあくまでも仕事、日常はいたって普通の人です。

女優は、2つのタイプがいると思うんです。一つは、24時間“女優”のタイプ。常に主演でトップを走る。勉強熱心、外見にもすごく気を使っていらっしゃる人。もう一つは、普段はまったく普通、女優であることを意識していない人。ただ単に芝居が職業である、というタイプの女優。私は後者です。

黒澤明監督が生前よくお食事に誘ってくださり、いろんなお話を聞かせてくださったんですが、なかでも印象的だったのが、「海外の女優は、ボランティアだったり趣味だったり家庭だったり、仕事の他に自分の世界を持っている人が多く、そのスタンスが女優の仕事にすごくプラスになっている」というお話。それを聞いたときすごくいいなと思って。

今の私にとっての“自分の世界”は、夫が築地やアメ横で買ってきてくれる美味しい食材を私が料理し、二人で食べる時間かしら。そして女優のときはバリッと切り替える。そのメリハリが、いい仕事に繋がると思います。

現在、広瀬すずちゃんのおばあちゃんを熱演中。

出演中のドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』では、広瀬すずちゃん演じる浅葱空豆という、勝ち気な女の子を育てる祖母を演じています。いつからか、主演の若い俳優さんの祖母の役がたくさん来るようになって、最近だとドラマ『最愛』で吉高由里子ちゃんのおばあちゃんをやりました。この歳になって若い人と仕事ができるのは本当に楽しい。だって私生活では、周りはおばあさんばっかりだもの(笑)。

長年この仕事をしてきて最近強く思うのは、技術の仕事をする女性が本当に増えたということ。今回の『夕暮れに~』もカメラマンは女性ですからね。照明やマイクも昔に比べて軽く小さくなったから、女性のスタッフがたくさんいる。現場で女性たちが生き生きと働いているのを見ながら、改めていい時代になったな、と思っています。

私自身は、セリフが覚えられなくなるまではこの仕事をしていたいかな。この先もいろんな人のおばあちゃんになれたら嬉しいです。

かやしま・なるみ 俳優。1942年生まれ、東京都出身。子役を経て17歳で東映ニューフェイス6期生として映画界へ。代表作に『3年B組金八先生』『大好き!五つ子』など。現在『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)に、広瀬すず演じる浅葱空豆の祖母役で出演中。

※『anan』2023年3月1日号より。写真・中島慶子

(by anan編集部)