防衛はアメリカに任せてきたが…日本の安全保障が大きな転換点に

2023.2.25
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日米『2+2』」です。

いまいちど日本の防衛軍事について考える岐路に。

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日米「2+2」とは、日米安全保障協議委員会のこと。日米の外交、防衛担当閣僚や官僚のトップクラスも参加し、外交と防衛の両方の面から話し合います。交渉しながら圧力もかけていくような政策について、緊密な連携をとろうと作られた枠組みです。今年1月半ばにワシントンで開催され、世界の紛争やテロ、ウクライナ戦争、ロシア、中国、北朝鮮への対応、アフリカ・アジア各国の政変などの問題に対して、どう軍事的に対処していくかという日米防衛協力のためのガイドラインを確認しました。今回はサイバー戦や宇宙戦についても言及されました。

安保3文書に示されたように、日本の安全保障は大きな転換点を迎えています。これまで保有してこなかった反撃能力に関しては難しい判断に迫られています。たとえば、相手国がこちらを攻撃しようとしていることを突き止め、どの施設からミサイルを発射しようとしているかを事前に特定し反撃を行う。そんな高度な能力はアメリカの協力がなければ持つことはできません。トマホークのような長距離ミサイルも必要になります。ただ、反撃能力を持つことが抑止につながるのか? アメリカが売りたい武器を買わされるだけではないかという意見も出ています。

アメリカにとっては、日本と強固な協力体制を持つことは、インド太平洋地域に安定をもたらし、影響力を持ち続けられるメリットがあります。日本は基地費用の肩代わりもするし、兵器を買ってくれる相手でもある。今後は米軍の武器の部品の生産を日本国内で始めることも閣議決定しました。

ただ、アメリカや同志国とばかり仲良くしていることで、日本に平穏が訪れるといえるのでしょうか? 中国やロシア、北朝鮮といった周辺国と真正面から向き合い、どう外交を築いていくのかも重要でしょう。

これまで日本の防衛は、アメリカに任せてきました。防衛や軍事について普段の会話で語られることはほとんどなかったと思います。けれど、政治や憲法、安全保障や軍事についても自分の意見を持たなければいけないところにきています。ぜひ本国会を見て、海外情勢にも注視していただきたいです。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。

※『anan』2023年3月1日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)