『SPY×FAMILY』のミュージカルも! 2023年の“エンタメ”がアツい理由

2022.12.24
来たる2023年、どんなモノが流行り、誰が熱狂を攫うのか。注目のトピックを識者にヒアリングしました。ここでは、エンタメのNEXTに注目します。
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映画やドラマなど、映像エンタメのNEXTも気になるところ。2023年のラインナップの発表が相次ぐなか、次なる注目は?

「海外、国内ともに言えることですが、近年シリーズものや原作ものの製作が増えていて、2023年もその傾向が顕著です。とくにハリウッドは、コロナ禍で映画館の稼働がストップしていた期間に、確実にヒットするとは言い切れないようなオリジナル脚本の作品を、劇場公開ではなく配信にシフトしました。こうした経緯もあって、劇場向けの作品は、シリーズもののエンタメ大作が百花繚乱に。例えば【1】『ジョン・ウィック:チャプター4(原題)』や、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』『DUNE/デューン 砂の惑星』続編、トム・クルーズの人気シリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が公開予定です」(映画ライター・よしひろまさみちさん)

トムといえば、『トップガン マーヴェリック』の公開時に、約4年ぶりに来日。2022年は、『ブレット・トレイン』でブラッド・ピットが、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でジェームズ・キャメロン監督と主要キャストが来日するなど、ハリウッドスターの来日が徐々に復活。2023年は大作の公開が複数控えているぶん、キャストの来日も…?

「その期待はできると思います。とりわけトムは、『来年はミッションがあるから、また来るよ!』と言っていたので、来る気満々でしょう」(よしひろさん)

また、2023年は、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年など、人気コンテンツの周年イヤーでもある。

「ディズニーは、映像作品やパークなど、あらゆる方面でお祭りムード。なかでも注目は実写版【2】『リトル・マーメイド』で、ヒロインのアリエルを演じるのは黒人俳優のハリー・ベイリー。“アリエルは白人”という先入観に囚われず、監督は、歌唱力など実力で彼女をキャスティングしたと声明を出しています。鳥肌もんの歌唱シーンがてんこ盛りで、公開が待ち遠しい!」(よしひろさん)

国内作品の周年イヤーといえば、仮面ライダーが生誕50周年。

「その記念に製作された、庵野秀明監督の映画『シン・仮面ライダー』が3月に公開。池松壮亮さんや浜辺美波さん、柄本佑さんといった芸達者な若手俳優が起用されているところも、いいですよね。ほかにも、ゴジラが2024年に生誕70周年を迎え、それに先駆け、2023年にゴジラの最新作が公開予定。監督はVFXディレクターで、『ALWAYS 三丁目の夕日』などの監督としても知られる山崎貴さん」(よしひろさん)

邦画では、日本屈指の映画監督・是枝裕和さんと、『花束みたいな恋をした』などの脚本家・坂元裕二さんが初タッグを組んだ映画『怪物』が6月に公開になるというビッグニュースも。

「是枝監督は、韓国で撮った『ベイビー・ブローカー』以来の新作で、約2年ぶりの日本の現場。韓国での経験がどう生かされるのか、そしてその脚本が坂元さんときたら、期待しかありません!」

と言うよしひろさんが、坂元さんと共に「世界に打って出られる脚本家」と評するのが、渡辺あやさんと、野木亜紀子さん。

「3月に放送・配信がスタートするWOWOWの『連続ドラマW フェンス』の脚本が、野木さんです。オリジナル作品で、沖縄を舞台に性的暴行事件の真相を追うという物語。野木さんは、2020年に公開された骨太な社会派映画『罪の声』の脚本が本当に素晴らしく、本作も見ごたえのあるドラマになるのでは」(よしひろさん)

また、劇場版のアニメも『名探偵コナン』シリーズの最新作が4月に公開予定など注目作があるなか、ライターの尹秀姫さんが「本格ブレイク間違いなし!」と太鼓判を押すのが、ゲーム原作アイドルのライブアニメーション映画。

「先駆けは2019年に公開された『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム』。男子アイドルと交流できるゲームが原作で、アニメ化もされています。劇場版は、なんと彼らのライブパフォーマンスのみという斬新さ。こういったコンテンツとしては初の試みでしたが、『これが観たかった!』とファンの心を鷲掴みに。2022年には第2作として『マジLOVEスターリッシュツアーズ』が公開され、興行収入が15億円を突破するなど大ヒット。次元を超えたアイドルの活躍に幅広い層が虜になりました。2023年の動向にも注目です」

そしてほかにもファン層の広がりを予感させるのが、『刀剣乱舞』などの舞台やミュージカルに出演している2.5次元俳優たち。

「最近、彼らが次々と歴史ある帝国劇場の舞台に立ったり、テレビの地上波でレギュラー番組を持ったりと、新たな分野でのキャスティングが目立ちます。なかでも3月から帝劇で上演される【3】ミュージカル『SPY×FAMILY』に、森崎ウィンさんとWキャストで出演する鈴木拡樹さんは“2.5次元の帝王”とも呼ばれるほど。人気と実力で要注目」(尹さん)

【1】『ジョン・ウィック:チャプター4(原題)』

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アメリカでは3月24日に公開が決定。キアヌ・リーブス主演のシリーズ第4弾。前作で命拾いしたキアヌ演じるジョン・ウィックの運命とは。今作では、アクション界きっての大スターのドニー・イェンと真田広之が参戦! 3人揃って来日する! …かも。
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【2】『リトル・マーメイド』

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1991年に大ヒットしたアニメーション映画が、実写化。地上の世界に憧れる人魚姫・アリエルの物語で、本作に主演するハリー・ベイリーは、ビヨンセが自身のアルバムに起用したほどの実力の持ち主。2023年初夏公開。配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2022 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

【3】ミュージカル『SPY×FAMILY』

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人気コミックがテレビアニメ化に続き、初のミュージカルに。スパイと超能力者と殺し屋という3人が、世界平和のため“普通の家族”を装うが…。出演は、森崎ウィン、鈴木拡樹(Wキャスト)ほか。3月8~29日の帝国劇場を皮切りに、神戸と博多でも上演。
©遠藤達哉/集英社

よしひろまさみちさん 映画ライター。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで映画を紹介。コラムやインタビューの執筆も多数。日本テレビ系『スッキリ』で担当している月イチ映画コーナーも人気。

尹 秀姫(ユン・スヒ)さん ライター。2.5次元、アニメ、K‐POPなどについての記事を雑誌やWeb媒体で執筆。共著に『K‐POP bibimbap 好きな人をもっと深く知るための韓国文化』(池田書店)がある。

※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。イラスト・中島ミドリ 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)