MEGUMI「毎朝作る味噌汁の中に、大事なものが詰まっている気がする」

エンタメ
2022.12.19
歯に衣着せぬ物言いで、幅広い層から支持されているMEGUMIさん。グラビアアイドルに始まり、タレント、役者、そして経営者やプロデューサーとして、進化を続けています。

ぶちかましたいし、爪痕を残してやりたい、という精神。

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――飲食店プロデュースの経緯を教えてください。

MEGUMI:金沢にパンケーキのカフェをオープンして6年になります。これは、私がメンターとして日ごろ尊敬しているある姐さんから「芸能界でこの先長くやっていくのなら、外の世界をもう少し知った方がいい。一番勉強になるのは、商売をやること」だと言われて。恐怖や不安はもちろんありましたが、そもそも私は、言われたらやらないといられない性格で。あとで“やらなかった子”みたいになっちゃうのがイヤだったんです。だから「やります」って。

――とはいえ、簡単にはできないですよね。

MEGUMI:今までに経験した、芸能界のどんな出来事よりも、めちゃめちゃ大変でした。お店は国が選定する保存地区にあり、普通には借りられない場所。とはいっても私は一応芸能人で、怪しい者ではないとわかってくれているはずだし、話はトントン進むと思っていました。ところが、立ちはだかったのは、地域を守る会みたいな、おじい8人衆。彼らに、企画書を見せてOKをもらわないといけないのですが、まあ頑固で(笑)。でも、私はもう銀行にも話をしていたし、着工スケジュールも立てて進めていたから、なんとしてでもおじいちゃんたちを説得しなくてはいけなくて。不安に押しつぶされそうで、帰りの新幹線で泣きながらお弁当を食べたこともありましたが、1年間通い詰めて、やっとOKをもらい、店をオープンすることができました。今ではおじい8人衆と、すっかり仲良しですけどね(笑)。

――さすがです(笑)。お店経営で、勉強になったことはありますか?

MEGUMI:従業員から「給料上げてほしい」「休みをください」と、私たち個人商店の芸能界では絶対に言わないようなことを当たり前のように言われたり、責任は雇い主のこちらが全部取らなければいけないとか、そういう世の中のシステムみたいなものを知れたことは大きいと思います。こういう相談をする時はこんな表情で、こんな声のトーンなんだって、リアルに芝居に活かせそうな学びもあったりして。そもそも、事業計画書を書いたり、働き方やお店の方針なども自分で全部決めて、実行しなければいけないというのは、今までやってこなかったこと。じつはこれが、ドラマの企画・プロデュースに活かされていて、商売をしていなければ、プロデューサーもやっていなかったと思います。

――プロデュース業は向いていると思いますか?

MEGUMI:大変だし、面倒くさいことがたくさん起こるけど、めちゃめちゃ楽しくて好き。0から1を生み出しているからこそ、ドラマのクランクアップ時はすごく感動するし、それが世の中に出て「見てるよ」って声をかけられたりすると、ものすごく嬉しいんです。

――事業計画書を毎年作られているそうですが、人生設計も立てているのですか?

MEGUMI:徐々に…という感じですかね。そもそも歌手になりたくてこの世界に入ったものの、グラビアやバラエティの仕事が忙しくなり、お芝居の仕事も入るようになって。でも、子供のころから映画が好きで、映画に出たいと思っていたけど、当時はグラビアやバラエティに出た人間が映画に出るなんて、あり得ない時代。忙しくさせてもらっているけど、このままでいいのかな、という思いはずっとありました。そんな中、結婚と出産をきっかけに考える時間ができて、やっぱり私は、俳優として映画の仕事をもらえる人になりたい、という答えがはっきり出たんです。ところが実際は、冷蔵庫の中を見せてくださいとか、ママタレントとしてのオファーばかり。自分がやりたいことと違っていたから、全部断っていました。

――そうだったんですね。

MEGUMI:27~35歳ぐらいは、仕事も収入も激減していました。それでも、自分が役者でいたいという気持ちは色褪せず、小さい役でもいただいたら、命をかけて演じていました。そのうち、それを見てくれていた監督さんが、次は少し大きい役で呼んでくださるようになって。映画『台風家族』『ひとよ』の出演をきっかけに、ゆっくり回り始めたんです。そして“ブルーリボン賞助演女優賞”をいただき、景色が変わりました。

――MEGUMIさんが演じられる、パンチの利いた役が好きです。

MEGUMI:嬉しい! ぶっとんでる人や、性にだらしない人、そんな役が多いですが(笑)、主役の脇で、クセ強く仕掛けられる面白さがたまらなくて。そこが自分の生きる場所だとわかってきた。せっかくだからぶちかましたいし、爪痕を残してやりたい、という精神です。

――今後の夢や目標は?

MEGUMI:この前も韓国の映画祭に行って思いましたが、日本の作品をもっと海外に届けるための活動をしていきたい。そして日本文化が好きなので、ゆくゆくは着物や日本の食文化を伝えられるような、おばあちゃん役者になりたいです。20年後も、自分らしい作品をプロデュースできたらいいですね。

――仕事と家庭のバランスは、どのようにとっていますか?

MEGUMI:全部同じテンションです。息子の学校の説明会に行くのも、今日のこのあとのドラマの撮影も。

――いつもスイッチオン状態?

MEGUMI:朝と寝る前に、家でキャンドルの炎を見ながら瞑想したり、サウナに行ったりもします。休みの日でも、毎日、細かいスケジュールを決めて、携帯にメモしていて。例えば洗濯機を回しながらリビングの掃除をして、ドラマ撮影へ、って感じに。ソファでダラダラするとしても、それも時間を決めてスケジュールに書くんです。そうじゃないと、やりたいことがたくさんあるから、終わらないんです。ぶっちゃけ、家事って超面倒くさいし時間もかかるから。でもそれが学びだとも思っていて。芸能界という華やかな世界に居続けると、どうしても思考は加速しがち。私は、そこを家庭生活によってバランスをとっているんです。家族のことを考える時間は、一日の中に何度もあって、ごはんを作るにも、自分が食べたいのはこれだけど、きっと夫はライブで疲れているはずだからお肉にしようとか。仕事ばかりだと、つい自分至上主義になりがちだけど、誰かのことを考える時間があると、フラットになれる。だから家事も毎日やるし、鍋が続く日もあるけど(笑)、料理を作ってなるべく夕飯は家族みんなで食べるんです。毎朝作る味噌汁の中に、大事なものが詰まっている気がするんですよね。

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企画・プロデュースを手掛け、自身も出演しているドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』は、人気の若手アナウンサー・有加里壱子が、一転しどん底に落ちた人生を挽回しようと、“カリスマ”を目指す物語。テレビ東京系にて、毎週火曜深夜0:30~放送中。出演:深川麻衣、MEGUMI、野村周平、サーヤ(ラランド)ほか。

メグミ 1981年9月25日生まれ、岡山県出身。グラビアアイドルやタレントとして活動したのち、現在は、役者としてドラマや映画などで活躍。2016年には、石川県・金沢に『Cafe たもん』をオープン。また、企画・プロデュースを手掛け出演もするドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系)が放送中。

ジャケット¥29,920 パンツ¥18,920(共にリネイヴ/ネイヴ〔オンワード樫山〕 TEL:03・5476・5811) カットソー¥19,800(ハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239) シューズ¥46,200(ピッピシック/ベイジュ TEL:03・6434・0975) ブレスレットはスタイリスト私物

※『anan』2022年12月21日号より。写真・永峰拓也(SIGNO) スタイリスト・斉藤くみ ヘア&メイク・加藤 恵 インタビュー、文・若山あや

(by anan編集部)

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