VTuber・因幡はねる「視聴者さんから『病院に行ったほうがいい』と言われて」 子宮体がん発覚から公表の経緯を語る

ウェルネス
2025.03.10

因幡はねるさんは、子宮体がんの発覚から病気の経過や手術まで、ファンへ詳細に発信。YouTube上でエンタメ性に富んだコンテンツの発信を続けつつ、ライブやTV出演など活動の幅を広げている。病気を公表するまでの経緯や理由とは?

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    PROFILE プロフィール

    因幡はねる

    いなば・はねる スカウトにより2018年からVTuber事務所のななしいんくに所属。YouTubeの「Haneru Channel」で生配信や動画を発信する一方で、ラジオやテレビ、歌ライブに出演するなど、幅広いフィールドで活躍中。

    バーチャルな世界から届ける、大切な話

    ── VTuber歴8年目の因幡さん。普段は主にどんな配信を?

    因幡はねるさん(以下、因幡):ゲーム配信などの生配信やクイズ企画、動画投稿などです。

    ── VTuber界でも歴が長く幅広いジャンルの配信を続けていますが、特に話題になったのが、ご自身の病気を報告した’23年4月の生配信です。その経緯を教えてください。

    因幡:まず、病気を疑うきっかけこそが生配信でした。お手洗いに行ったあとに毎回お腹が痛くなっていて、生配信中に「痛い痛い…」と言ってたら、視聴者さんから「病院に行ったほうがいい」と言われて。それで人間ドックに行ったり、婦人科で子宮の検査をしてもらったのですが、いくつも病院を回っても問題ないと言われました。

    ですが、昔から生理が重いほうで、生理痛も酷いし経血の量も多く、朝起きると布団が真っ赤になっていることもよくあったので不安は拭えず、ある時また新しい婦人科へ。そこで「子宮体がんの検査はしてる?」と聞かれてそれまでの検査内容を確認してみたら、子宮頸がんの検査しかしてこなかったことがわかったんです。すぐに検査を受けたら、初期の子宮体がんでした。

    【退院】子宮体がんの手術をして生還したうさぎ【因幡はねる / ななしいんく】手術が終わって退院したあと、発覚から退院までをまとめて振り返った配信動画。「特に、発覚が遅れた理由や手術までのフローを知っていただきたいです」

    婦人科の検査を受ける際、気を付けてほしいこと

    ── 子宮体がんは、一般的に閉経後の女性に多いとされていますね。

    因幡:そうなんです。私の場合、最初の検査を始めてから発見まで約1年かかったんですが、その要因は年齢的に子宮体がんの検査対象になりにくく、検査をしなかったためでした。また、一度検査結果を聞いたら次は別の病院にかかっていたことも発見が遅れた原因になっていて。

    もし同じ病院に通って「まだ不調が続いている」と訴えていれば、可能性は少なくても子宮体がんの検査をするという話になったかも。そういうことも、みなさんに知ってほしいです。

    ── 手術は無事に済んだのですね。

    因幡:はい。たまたま状況がよかった…というのも変ですが、開腹なしでお腹に開けた小さな穴から行う腹腔鏡手術で済んで。次の日には歩けたし、3日後には退院できました。

    自分が病気になってみてわかったのは、手術の成功率や傷痕の有無、仕事復帰はいつ頃になる…など、わからないことがたくさんありすぎて不安しかないのに、参考になる情報がほとんどなかったこと。もちろん私のケースが全員に当てはまるわけではないけど、こうやって発信する人がもっと増えたらいいのに、とも思います。

    【3D/MV】3rd Single「Met you! Meet you!」Music Video【因幡はねる / あにまーれ】手術後、回復した因幡さんの姿が見られるMV。「術後1か月くらいでダンスや歌を自由に行えるくらい元気になりました。現代医療に感謝しています」

    “病気のことを伝える”こととの向き合い方

    ── 子宮体がんが発覚したその夜、すぐに生配信で報告されたそうですが、迷いはなかったのでしょうか。

    因幡:はい。それまで私は視聴者の方に生配信で何でも話してきたし、ファンの方との信頼関係は築けていましたから。それに私の配信によって少しでも助かる命があるかもしれないと思ったら自分のプライドなんてちっぽけなものだと思って、検査結果を聞いた1~2時間後には生配信をしていました。

    私のファンは約9割が男性ですが、女性ファン含め、みなさんにこの病気のことを知ってほしかったんですよね。それに中途半端な説明だといろんな憶測を生むと思ったので、病院に行った経緯から検査内容、検査結果、手術までの段取りまで細かく説明しました。

    ── 報告時の視聴者の反応は?

    因幡:詳細に伝えたことにびっくりされている方が多かったですが、たくさん応援のコメントをもらって励まされました。その後、私も検査に行ってきましたという女性や、男性ファンの中にはお母さんに検査を勧めた方もいて。ほんの少しでも役に立てたならいいなって思いました。

    ── 病気を告白して以降、変わったことはありますか?

    因幡:生活をすごく大事にするようになりました。いつ寿命が来てもおかしくないと思うと一食ごとの食事を大切にするようになったし、マインド的にも興味のあることには全部挑戦したいと思えるようになった。だから今後の配信でも、新しいことにチャレンジしていきたいですね。

    anan読者に伝えたいメッセージ

    「病気の早期発見のためにも“知る”ことが大事」

    「子宮体がんの検査をした時、ネットで調べて出てきた症状とあまりに一致したため“絶対にそうだ”と確信。泣きながら愛犬と旅行をしたりも。その検査結果を待つ間の約10日間が、とにかく一番辛かったです。そんな私の経験から言わせていただくなら、もちろん定期的な婦人科検診は受けるべき。

    婦人科が苦手な方は、女医さんがいる病院を選べば少しはハードルが下がるかもしれません。そして、同じ病院にしばらく通い続けることが実はすごく大事です! そうすればいろんな可能性を潰すこともできるし、病気の早期発見に繋がると思います」

    取材、文・若山あや

    anan 2437号(2025年3月5日発売)より

    MAGAZINE マガジン

    No.2437掲載2025年03月05日発売

    今、わたしたちにできること。

    特集は“いま、私たちにできること”。SDGsやエシカルという価値観が定着して久しいですが、自分レベルで実践できる地球にやさしい情報をアップデートしてお届けします。第2特集はフェムケア。CLOSE UPは笑福亭鶴瓶さんと重岡大毅さん。Travis Japanカレンダーへの道には川島如恵留さん、Aぇ! groupプレ連載には小島健さんが登場します。

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