CROSS TALK 福永朱梨×金子大地
即興で作り上げた、二人の心と体の機微。
福永朱梨:オーディション前に原作を読み、さわ子の人への好奇心が強いところが自分と近いと感じ、絶対に演じたいと思いました。森は、女性が出会ったことのあるダメンズを切り取って集めたような…。
金子大地:ダメな部分だけね(笑)。僕、この人恥ずかしいなとかカッコ悪いなと思える人物が好きなんです。観てくださる方もそういう人を見たいんじゃないかと思って“もっとダメにしてやろう”という気持ちになります(笑)。
福永:でも、金子くんが演じることでチャーミングな部分が加わり、ダメなのに嫌いにはなれない森という人物ができたんだと思う。
金子:さわ子は掴めなかったな。
福永:演じながら、さわ子に連れていってもらっている感じがあって。森と出会う前にいろいろな人と会うシーンを撮影した時、相手によって懐への入り方も違う人だから、決めつけすぎないほうがいいんだと腑に落ち、演じることがすごく楽になりました。
金子:印象に残っているのはベランダのシーン。あんな撮影をすることは今後ないと思う(笑)。
福永:私は二人で手を繋いで夜道を走るところ。驚くほどロマンティックで、森のクランクインのシーンでもあったから、“ここから始まるんだな”と。でも、金子くんはいろいろなアイデアを出してくれて。近所の幼馴染みのような居心地の良さもありました(笑)。
金子:僕も純粋に芝居を楽しめました。松居監督やスタッフさんもみんな仲が良く、リラックスして臨めたことでいい影響が出たと思います。一度撮り始めると何が起こるかわからないからこそ、僕が起こしたアクションに対して福永さんが動いて、僕がまた動くというような、そこで起こったことを大事にしたいと思って演じました。
福永:そうして生まれたものが、さわ子と森にしかない関係性を作っていく感覚があったので、一生懸命、のっかっていきました。私自身、ロマンポルノ作品には女性が観てはいけない閉ざされたものというイメージがあったので、この『手』をきっかけに初めて触れる人が増えるといいなって。
金子:一つの映画として観に来ていただいて、さらにロマンポルノにハマってもらえたら嬉しい。「大丈夫だよ! 怖がらないで!」と伝えたいです(笑)。
50周年記念プロジェクト ROMAN PORNO NOW
個性派監督が手がける“今”のロマンポルノ作品。
ロマンポルノ誕生50周年を記念したプロジェクトが登場。3人の有名監督が、女性の美しさを描いてきたレーベルの精神を継承しながらも現代の生き方を切り取った、注目の新作を制作しました。
リアルな男女の関係と父への複雑な想いを描く。
『手』
おじさんの写真を撮り、集めるのが趣味のさわ子。付き合ってきた男性は年上ばかりなのに、父とは上手く話せずにいた。そんな時、同年代の同僚・森との距離が縮まるにつれて、さわ子の心にも徐々に変化が訪れる――。出演/福永朱梨、金子大地 監督/松居大悟 9/16(金)より全国順次公開 ©2022日活
地下アイドルが女王様に! 新たな快感を見つける悦び。
『愛してる!』
SMラウンジのオーナーに女王様としてスカウトされた地下アイドルのミサは、人気女王様・カノンとの出会いで、快感に目覚める。そして、アイドルとSMの世界を駆け上がろうと決意をするが…。出演/川瀬知佐子、鳥之海凪紗、乙葉あい、高嶋政宏 監督/白石晃士 9/30(金)より全国順次公開 ©2022日活
恋に悩む女性二人が一線を越えた先にあるもの。
『百合の雨音』
恋愛に臆病になっている葉月は、憧れの上司・栞に秘かに想いを寄せている。一方の栞もまた、夫との関係に思い悩んでいた。ある大雨の晩、お互いの心の隙間を埋めるかのように体を寄せ合い一線を越えてしまう二人だが…。出演/小宮一葉、花澄 監督/金子修介 10/14(金)より全国順次公開 ©2022日活
ふくなが・あかり 1994年12月7日生まれ、広島県出身。映画『辻占恋慕』『本気のしるし』『君は月夜に光り輝く』『彼女はひとり』『恋とさよならとハワイ』など数々の作品に出演している。
かねこ・だいち 1996年9月26日生まれ、北海道出身。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源頼家を演じる。ドラマ『魔法のリノベ』(関テレ・フジテレビ系)に出演中。写真集『DAICHI KANEKO』(東京ニュース通信社)が発売中。
※『anan』2022年8月17‐24日合併号より。取材、文・重信 綾
(by anan編集部)