お菓子の空き箱がまさかの大変身!? 神技工作を堪能する『空箱職人 はるきる展』

2022.6.5
『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』をご紹介します。

「初めて作ったのは、たまたまそのとき食べていた〈アルフォート〉の空き箱で作った『飛空挺』でした」

と、空箱職人はるきるさん。美大に在学中、SNSにアップした作品が話題になり、現在ではお菓子などの商品パッケージを使った精緻なクラフトワークで知られるアーティストだ。そのはるきるさんがこれまで手がけた話題作から最新作まで、約60点が勢ぞろいする展覧会『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』が始まった。注目は高度な工作技術と、もともとのパッケージデザインへのリスペクトがうかがわれる作品世界。

「スーパーのお菓子売り場をプラプラして、『このパッケージのここの絵柄は○○に使ったら面白そうだな』とアイデアが浮かんできたら作ります。パッケージのロゴやイラスト、世界観はできる限り生かすのが僕の作品づくりのポイントです」

会場では〈ガリガリ君〉〈プリングルズ〉〈カップヌードル〉をはじめ、たくさんのおなじみのパッケージが立体作品として登場する。時にはおとぎ話のような一場面が生まれることもあれば、フィギュアを思わせる研ぎ澄まされたキャラクターの造形として昇華することも。真っ白なキャンバスよりも、むしろ空き箱という制約がある方が、はるきるさんの想像力を刺激するようだ。

「設計図は描きません。おおまかに完成図のイメージがあって、それに従ってひたすら手作業です。道具はハサミと接着剤だけ。空き箱以外の材料は使いません。まっすぐな線だけでなく、曲げて曲面を作ったり、グリグリ押して凹ませたり、粘土を加工するみたいな感覚です」

美術館での本格的な展示は初めて。けれど「ハードルが高いものにしたくない」とはるきるさん。

「僕の作品は『芸術』というより小学1年生でも理解できるもの。展示も工夫しているので、ぜひ足を運んでみてください」

ビスケットの箱から生まれたメルヘン。

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「赤い箱のかわいさを生かして、楽しくなれるような作品に仕上げました」。イラストレーター・おおでゆかこさんとのコラボパッケージに登場する女の子・マリーを主人公に。
マリーの秘密の部屋 撮影:市瀬真以

ガリガリ君の翼は何でできてる!?

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あのガリガリ君がフィギュアに!? 「片方の羽はパッケージにちりばめられたアイスのイラストから。もう片方は《ガリガリ》の文字の尖った部分から」。2種類の作り方に注目!
スタイリッシュなガリガリ君 撮影:市瀬真以

躍動感あふれる鬼、ポージングも注目。

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新作では、アニメ『鬼滅の刃』からインスピレーションを得て“鬼”をテーマに。「容器のアルミでコーティングされた部分を剥がして、髪と刀に使っています」(はるきるさん)
鬼ころしの鬼 撮影:市瀬真以 ※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。

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はるきる 1997年、愛知県生まれ。小学生の頃、NHK Eテレ『つくってあそぼ』のワクワクさんに憧れる。神戸芸術工科大学アート・クラフト科を卒業後、作家活動へ。『お菓子の箱だけで作るすごい空箱工作』(ワニブックス)が発売中。
はるきる 撮影:市瀬真以

『空箱職人 はるきる展 Miracle Package Art』 そごう美術館 神奈川県横浜市西区高島2‐18‐1 そごう横浜店6F 開催中~7月3日(日)10時~20時(入館は閉館の30分前まで)会期中無休 一般1200円ほか TEL:045・465・5515

※『anan』2022年6月8日号より。インタビュー、文・松本あかね

(by anan編集部)