13年ぶりの共演! 天海祐希、鈴木亮平の第一印象は「いい意味で自然体」

2022.3.29
4月から始まる舞台『広島ジャンゴ2022』。広島の牡蠣工場と西部劇の世界を往き来するという奇想天外な設定で、さまざまな社会の不条理を浮き彫りにしていく作品だ。13年ぶりの共演となる天海祐希さんと鈴木亮平さんは、どんな化学反応を見せてくれるのだろうか。

【Question1】13年前の初共演の時のこと覚えていますか?

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鈴木亮平さん(以下、鈴木):共演と言うにはおこがましいんですよね。『カイジ 人生逆転ゲーム』という映画なんですけど、当時僕は映像の業界に入ったばかりで、役も「黒服A」という、たまにしかセリフがない役だったので。現場で先輩方のお芝居を見て学ばせていただいていた時期でした。

天海祐希さん(以下、天海):私は鈴木さんに対しては強烈な印象があります。笑顔がとても素敵だったのと、現場でちょっとお話しした時、いい意味で私に対して気負いも壁もなく自然体で。なんていうか、そこにたまたまいただけの人のような受け答えがとても印象に残って、この人誰だろう? って後から調べましたよ。

鈴木:その話、すごい嬉しいですけど、多分僕、態度がデカかったんですよね(笑)。

天海:ちがうちがう、そんなんじゃなくて。爽やかでサラッとしてて。短いやりとりだったんですけど、とてもいい印象が残ったんです。

鈴木:天海さんが自然に話しかけてくださったので気負う必要がなかったんです。まるで以前からの知り合いのように接してくださって。

天海:出来上がった映画を観た時に、鈴木さんが的確に動いていらっしゃったから、ああ、これからどんどん伸びてくる人なんだなって感じました。そうしたら、あれよあれよという間にご自分のポジションを確立されて、ああ、やっぱりな、なんて思ってました。

鈴木:僕は、天海さんこそ壁をつくらない方だなと思いました。共演後にテレビで見ていても「あの時しゃべった感じとホント一緒だな」と感じたりして。それにしても、その方とこういうふうにまたご一緒できるというのは非常に感慨深いものがありますね。

【Question2】役者としてのお互いをどう思っていますか?

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鈴木:天海さんはリズムがすごい。速いんです。だからストーリーがすごく面白く見える。そのリズムを勉強させてもらっています。もちろん速いだけじゃなく聞かせるところは聞かせていて、お芝居の緩急が見ていて一番面白いところにはまってくる。相手とキャッチボールしながらそれができるってすごいです。とにかく惹きつけられちゃうんですよね。

天海:鈴木さんって、ものすごい熱量を持ってひとつの役に突き進む役者さんだと思います。お芝居は上手い下手っていうよりも、熱があるかどうかのほうが私は重要だと思っているんです。一方で、鈴木さんは作品のことも共演者のことも考えて演技ができる方。全体をとらえながら真ん中に立つことができる人ってそうそういない。人間としてのスケールが大きい人だなという印象です。

鈴木:体も大きいし(笑)。

天海:それもね、単純に私よりこれだけ身長の高い方と横に並べるのはすごく嬉しいなと思ってます。とても頼りにしています。

鈴木:僕、大きいせいで快活な役や強い役、頼られる役が多いんですが、今回は板挟みでおろおろする役なんですよね。

天海:振り回される役って実は大変。私の役はガンガンいけばいいけど、それを受けなきゃいけないから。

鈴木:なるべく柔軟な姿勢で臨みたいと思ってます。実は天海さん演じる強いジャンゴに翻弄されるのも楽しみなんです。天海さんって、この人になら翻弄されたいっていう感じを出してくださる方だと思うので。

天海:全力で鈴木さん演じるディカプリオを翻弄していかなくちゃね(笑)。自分の役を誠実にがんばればがんばるほど、鈴木さんを翻弄できるはずだと思ってます。

【Question3】この舞台で楽しみにしていることは?

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鈴木:演出の蓬莱竜太さんとは今回が2回目なんですけど、ご本人の人間性や稽古場の雰囲気を含め、ぜひまた一緒にやりたいと思っていたのでそれが叶って嬉しいです。しかも共演が天海さんはじめ超一流の方々なので、楽しみでもあり、身が引き締まります。

天海:蓬莱さんの作品は何回か拝見していて、いつかご一緒できたらと思っていました。深くて、鋭い何かでちょっと切られるようで、最後にどこか希望があって。そんな世界観の一員になれることが楽しみ。

鈴木:気がかりなのは歌があることなんですよね…。さっきから天海さんにも相談してるんですけど。

天海:物語の中にちゃんと入っていけば大丈夫ですよ。歌うのは役であって鈴木さんじゃないんだから。

鈴木:僕、これがコロナ禍になって初めての舞台なんです。マスクしながら舞台の稽古をした経験がなくて…顔の下半分が見えないと伝わってくる情報がすごく減ると思うんですね。その時どんな気づきが生まれるのかはある意味楽しみです。

天海:本当はね、食事に行ったりしてこのシーンはどうだとか、それは違うだろうとか、意見をぶつけ合ってコミュニケーションをとるのも舞台の素敵なところなんですけど、今回それが難しいので稽古場でそれをぶつけるしかない。お互い、心を動かし動かされながらやりたいですね。

鈴木:同じセリフでも毎回違うのが舞台の魅力。ジャズでいうセッションみたいに、自由にアドリブを入れたりっていう楽しさがありますよね。

天海:今日ここで人生終わっても構わない、なんてつい思いながら演じることができる場をもらえていることがすごく嬉しい。ありがたいな、幸せだなって思います。

Entame

あまみ・ゆうき 俳優。1967年生まれ、東京都出身。映画、ドラマ、舞台、CMで活躍。代表作は、ドラマ『離婚弁護士』『女王の教室』『BOSS』『緊急取調室』など。
ワンピース¥55,000 パンツ¥31,900(共にアドーア TEL:03・6748・0540) イヤリング¥60,500(シェイスビー/エストネーション 六本木ヒルズ店 TEL:0120・503・971)

Entame

すずき・りょうへい 俳優。1983年生まれ、兵庫県出身。本誌連載「鈴木亮平のシネマで英会話」でもおなじみ。映画『孤狼の血 LEVEL2』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。
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COCOON PRODUCTION 2022『広島ジャンゴ2022』 気鋭の演出家・蓬莱竜太が手がける異色の“ニュー”ウエスタン活劇。4月5日(火)~30日(土)東京・Bunkamuraシアターコクーン、5月6日(金)~16日(月)大阪・森ノ宮ピロティホールで上演予定。

※『anan』2022年3月30日号より。写真・小川久志 スタイリスト・大沼こずえ(eleven./天海さん) 八木啓紀(鈴木さん) ヘア&メイク・林 智子(天海さん) 古久保英人(Otie/鈴木さん) インタビュー、文・東海林美佳

(by anan編集部)