森久保祥太郎「真くんは僕とは正反対」 『あんスタ』声優4人が語る、役への思い入れ
森久保祥太郎:遊木 真 役
性格は正反対だけど、応援したくなる子。
真くんに出会ったのは今から7年前。当時すでに40を越えていたので、ずいぶんかわいらしい役にキャスティングしていただいたなと思ったのですが、ここまで長くお付き合いすることになるとは予想外でした(笑)。役作りをするにあたって、自分と演じる役との共通点を探すというのが普段のアプローチの仕方なんですが、真くんは僕とは正反対。僕も悩む時は悩むけど、切り替えが早いんですよ。でも真くんはしっかり悩んで、しっかり落ち込んで、しっかり考えて、しっかり立ち上がるんですよね。最初の頃は、「若いんだから、とっとと切り替えないと!」と思ったこともあったんですよ。僕の性格上、真くんみたいなタイプは見ていてもどかしくてね。でも、長くお付き合いさせていただいて、それこそが彼の魅力なんだって気づいたんです。
実際、僕みたいなタイプのほうが稀で、たいていの人は悩んだり、落ち込んだりすることのほうが多いんだろうから、真くんのほうが共感度は高いんですよね。真くんは見ていて背中を押してあげたくなるような、応援したくなる子。彼を見ていると親心のようなものが芽生えて、そういう目線から彼を理解して気持ちを寄り添わせるという、僕としては特殊な距離感で接しています。真くんを愛してくれているプロデューサーちゃんも同じような気持ちで彼を見てくれているんじゃないかなと思いますね。
映画版では、いよいよプロとしてエンタメの世界に飛び込む彼らを見るワクワク感と、いきなり世界に飛び出したゴージャスさが味わえます。真くんに関しては、泉との日常が描かれているのが印象的。普段はこんな感じなんだなというところがニュートラルに描かれていて、二人の関係性が体感できます。それに加えて、真くんの努力家な部分や葛藤が垣間見えるシーンも感慨深いです。なかでも今回はユニットの垣根を越えた関係性がいいんですよ。特に凪砂と零がカッコいい! 歌と踊りがメインではないにもかかわらず、『あんスタ』の魅力が存分に感じられて、再発見もある。個人的には膝を打つ思いでしたね。
もりくぼ・しょうたろう 2月25日生まれ。代表作に『NARUTO‐ナルト‐』奈良シカマル役、『弱虫ペダル』巻島裕介役など多数。もし『あんスタ』のユニットに入るなら「『Trickstar』のプロデューサーになって、しなくていい苦労は排除して、どんどん成長させたい!」。
ジャケット、レースシャツ 参考商品(共にZARNY/YARNY.K.K TEL:03・4577・8515) その他はスタイリスト私物
梶 裕貴:衣更真緒 役
真緒はみんなを支え、自分も輝けるアイドル。
真緒のドラマを追ってきた今だからこそ言えることですが…いい意味で“アイドルらしからぬところ”が真緒の良さ。広い視野を持っている彼は、状況により自分がどう動くべきかを見定め、その場をいい方向に持っていく力を持っています。どこにいても、誰といても、リズムを合わせて相手を活かすことのできるバランサー。けれど、そんな気遣いのできてしまう彼だからこそ、以前は自分がどうしたいかよりも、周りのことを考えすぎてしまうという難儀な面もありました。ステージ上で輝くアイドルになるためには、やはり強烈な“個”も必要。エゴイストになりきれない性格が、どこか物足りない部分であり、彼自身、悩んできたところでもあったと思います。
僕個人としては、彼の気持ちはとてもよく理解できましたし、ありのままの真緒でもじゅうぶん素敵だったわけですけれど…それでも彼は、数々の葛藤を乗り越え、自分と向き合い、ついにその壁を打ち破ったんです。縁の下の力持ち的な役回りが得意だった真緒が、みんなをサポートしつつも、自分自身も強い光を放てるようになったんです。これはもう間違いなく、真緒の最強のアイドル伝説へのフラグってことですよね!(笑)
たった数十ワードのアプリゲーム収録から始まった『あんさんぶるスターズ!』の歴史。文字通り、共に作品を育ててきてくださったプロデューサーのみなさんのおかげで、このたび映画化にまでたどり着くことができました。彼らが映画館のスクリーンを所狭しと動き回る姿をご覧いただける事実に、大きな喜びを感じています。そして、なんといっても今回の舞台はニューヨーク! 日常を飛び出し、ワールドワイドに活躍する彼らを見られるのはシンプルに嬉しいですよね。個人的には真と真緒の絆にフォーカスを当てていただけたことに感慨深さを感じています。加えて、今回はグループの垣根を越えたイベントでもあり、幼馴染みである凛月との関係性が描かれているのもポイント。学院という場を離れて、等身大の若者としての一面を知ることができる構成にもなっているので、もっと彼らのこと…真緒のことを好きになってもらえる映画になっていると思います。
かじ・ゆうき 9月3日生まれ。代表作に『進撃の巨人』エレン・イェーガー役など多数。もし『あんスタ』のユニットに入るなら「『流星隊』は名乗りが楽しそうだし、無理やり『2wink』に入って双子に挟まれるのも面白そう(笑)。でも馴染みやすいのはやっぱり『Trickstar』かな」。
衣装はすべてスタイリスト私物
山下大輝:朔間凛月 役
内に秘めた部分があるから、より輝ける。
凛月って入り口が難しい子なんですよ。いつも眠そうで、あまり他人には興味なさそうに見えるんですけど、実は甘えたな性格だったり、周りの人を思いやれるやさしさがあったり、深掘りすればするほど魅力がわかってくる子。アイドルとしては、一歩引いたところからみんなを支えるような役割を担うことが多いですね。グループ全体を客観的に見る目を持っていて、いろんな選択肢がある中で、他のメンバーを輝かせるためには何が最適解なのか、即座に考えて行動に移すことができるのが彼の強み。凛月の頭の回転の速さは彼の言葉の端々にも表れているんですが、僕自身、演じる時は、なぜ彼がこの言葉を口にしたのか、真意に想いを馳せるようにしています。
今回の映画版でも、仲間の背中を押してあげたり、相対する対象を言葉でノセたり、いろんなことを考えた上で凛月の言葉があるので、そんなに深いところまで考えているんだなって、あらためて凛月のすごさを感じました。一見やる気なさそうに見えて、実はスーパーやる気のある子なんですよ!(笑) それでいて幼馴染みの真緒にはベタベタに甘えるキュートな一面や、兄者との絆も垣間見えて、今作では凛月の魅力を今まで以上に発見していただけると思います。
一方で、アイドルにはずっと未完成であってほしいという想いもあるんですよね。未完成だからこそ成長するためにもがくし、応援したい! という気持ちにさせてくれると思うから。そういう想いを内に秘めているからこそ、キラキラな部分がより輝いて見えると思うんです。僕も声優として悔しい思いをすることはあるけれど、それは別に表に出さなくていいものだとも思っています。声優という職業も、オーディションを受けては落ちるの繰り返しで、落ちた時は自分を省みて、次はどうしようって考えて…。だからこそ、役をいただいた時はがんばろうって思いますし、よりたくさんの人に観てもらって、好きになってもらえたらいいなと思うんです。悔しさをバネにして、人には見せない部分を栄養にして、僕ももっとがんばらなきゃ、と思いますね。
やました・だいき 9月7日生まれ。代表作に『僕のヒーローアカデミア』緑谷出久役、『弱虫ペダル』小野田坂道役など多数。もし『あんスタ』のユニットに入るなら「曲は『Knights』が好きだけど、見守りたいのは『Ra*bits』。アドニスとは肉めぐりをしたいです」。
ジャケット¥81,400 スラックス¥38,500(共にsemoh/Bureau Ueyama inc. TEL:03・6451・0705) その他はスタイリスト私物
伊藤マサミ:瀬名 泉 役
他人に左右されない泉には近さを感じます。
『あんスタ』がただアイドルを育てるだけのゲームだったら、こんなに長く続いてなかったと思うんですよ。キラキラしているところも、そうでない裏側も見せてくれる、振り幅の大きさが『あんスタ』の最大の魅力ですね。泉に関して言えば、誰に何を言われようと自分を曲げない芯の強さを持ってるけど、それが周りからはわがままに見えることもある。だけど、それが泉の本質であり、彼の正義なんです。現代社会において、他人の意見に左右されないって難しいことだと思うんですけど、泉は周りからどう思われようが構わないという、かなり強烈な性格をしています。口も悪いんですよね。『何でそんなこともできないの?』って、いつも一言多いんですけど(笑)。でも本人も苦手なダンスを克服したり、自分に足りないところはきちんと補おうとする努力家でもあるんです。夢に向かって着実に進んでいくところは尊敬できますね。
僕自身、他人の意見に左右されるタイプではないので、泉と似てるかも。泉ほどハッキリ嫌とは言いませんが、自分の原則や理念に反することはしたくないですし。もし自分が間違っていたら、その時はちゃんと謝ります。僕も他人から何を言われてもあんまり気にしないので、泉には親近感がありますね。でも泉にも、実は悩みがあったり、心が折れそうになることもあるんです。周りを気にしないといっても、まったく気にならないわけではなくて、そうしないと折れてしまうのがわかっているから。そういう泉の人間くさいところは、演じる上でも大事にしたいと思っています。
今回の映画版はニューヨークが舞台なんですが、アプリゲームからお付き合いいただいているみなさんからしたら、ニューヨークを背景にあの子たちが立っているだけで感慨もひとしおじゃないかと思うんです。もちろん僕もそう。彼らの本当の意味でのアイドルとしての新しいスタートを大画面で見守れるのは嬉しいですね。ゆうくんこと遊木真くんとの絡みも通常運転な感じで(笑)。これぞ『あんスタ』という気持ちになっていただけるんじゃないかと思います。
いとう・まさみ 7月3日生まれ。劇団「進戯団夢命クラシックス」主宰で、演出・脚本・俳優・アクションディレクター。bpmメンバー。もし『あんスタ』のユニットに入るなら「ビジュアル系世代なので『UNDEAD』一択! ライブの時は楽屋モニターの最前列で観てます」
ベスト¥40,700 パンツ¥35,200(共にsemoh/Bureau Ueyama inc.) 中に着たシャツ¥25,300(junhashimoto/COMITAS TEL:03・6277・5550) その他はスタイリスト私物
『あんさんぶるスターズ!!‐Road to Show!!‐』
全国劇場にて公開中。入場特典として週ごとに絵柄が変わるコースターやミニ色紙プレゼント。大川ぶくぶによる4コマ漫画「あんさんぶくぶスターズ!!」の映像も週替わりで上映決定。原作:Happy Elements 監督:菱田正和 脚本:木野誠太郎(Happy Elements) キャラクターデザイン:飯塚晴子 ©Happy Elements K.K/あんスタ!! アニメ製作委員会
※『anan』2022年3月16日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・小田優士(CreativeGUILD) ヘア&メイク・矢崎麻衣(森久保さん) 中山芽美(e‐mu/梶さん) 茂木美緒(伊藤さん) yuto(山下さん) 取材、文・尹 秀姫
(by anan編集部)