メガシンノスケ、通称メガシン。2000年生まれ、現在20歳。音楽制作をはじめたのは’17年、高2当時とかなり最近だ。しかし、ジャンルレスなポップセンスと高いセルフプロデュース力で瞬く間にその存在を音楽好きに浸透させた。気づけばTV・雑誌などのメディアやサブスク系音楽サービスで期待のニューアーティストとして取り上げられるように。’19年には上京し、菅田将暉や入野自由に楽曲提供をするなど活躍の場はどんどん拡がっている。そんな中、初のアルバムをリリース。どんな意気込みのある作品かと思いきや「そもそもアルバムを出す気なんかなかった」とあっさり。

タイムパフォーマンスを重視したサブスク世代のアルバム観とは?

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「なんか僕自身が10代のころ全然音楽を聴いてきてないんですよ。だからCDアルバムを買う感覚ってどういうものかよくわかんなくて……。誰が11曲も入っているもの通して聴くの? って思っちゃう」

サブスクでザッピングしながら聴くのがデフォルト化された世代ならではの意見に返す言葉もないが、そんなカテゴライズのない音楽の渦中に常にいるからこそ、メガシン流のアルバム定義が生まれたようだ。

「サブスクで縦横無尽になんでも聴けるから気づくこともあるんです。最近は、ザ・ストロークスやアークティック・モンキーズ、オアシスみたいなロックバンドがかっこいいと思っていて。ガレージロックならガレージロックって、彼らはやっていることがめちゃくちゃ一貫しているじゃないですか。でも、僕は飽き性だからたぶん彼らみたいに一つのジャンルを突き詰めてっていうのはできない。でも、だったら自分の一貫性ってなんだろうって考えたんです。創作の影響はいろんなジャンルやカテゴリーから受けるけど、そこから僕が作るものは全部オルタナティブ。そこに自分なりの広い意味での一貫性があればいいんじゃないかって思えた。そういう一貫性を持てるならアルバムってものも作れるんじゃないかなってなったんです」

トラップ、ヒップホップからインディーポップ、’80sなディスコサウンド、渋谷系的サンプリングミュージック……メガシンが“面白い”“かっこいい”と感じたものをあらゆる垣根を越えてクロスオーバーさせ、次々と曲に落とし込んでいく様は、聴いていてめくるめく高揚感があり、懐かしくも新しい。

「ずっと等身大でいたいって思うんです。ラップ好きだし、けっこう得意だからやりたいけどゴリゴリしたものをやるのは自分のスタイルじゃない。だったらスチャダラパーさんみたいなゆるい日常を歌う感じが自分には合うかな、とか。そういう好きなカルチャーを持ってきて、こういうのもあるよってどんどん提示していきたいんです」

そして、最初に言っていた通り、通して聴く時間にもこだわりが。

「サブスクでアルバム聴く時って真っ先にスクロールして何分のアルバムか確認するんです。1時間超えていると“うわあ”ってなる。だから、このアルバムもどうしても40分以内にしたくて。結局、39分になった。サンキュッパみたいでお得感ないですか? この値段、質、満足感でタイムパフォーマンスもいいっていう。それもマジで売りです(笑)」

地元の盟友であるラッパー、クボタカイをフィーチャリングした「兄弟 feat. クボタカイ」をはじめ「Thinking Boyz!!!」「明日もこの世は回るから」など全11曲を収録。『CULTUREDOG』¥3,300(Mega Shinnosuke)

メガシンノスケ 2000年11月20日、東京都生まれ。福岡で育つ。アーティスト名は本名。'18年に1st mini EP『momo』、翌年にEP『HONNE』をリリースし注目を集める。11月には初のツアーを開催する予定。

※『anan』2021年9月22日号より。写真・小林真梨子 取材、文・梅原加奈

(by anan編集部)

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