舞台の幕が下りるとき、役も私も一歩成長していられたら。
「もともとお芝居に興味があったので、お話を聞いたときはびっくり。その後じわじわと喜びが…」
小さな山村で、二人の少女とその家族が伝統と時代の間で揺れ動くさまを描くこの作品で、筒井さんは写真家を夢見る高校生・遼を演じる。
「遼の夢に対する思いの強さ、一度決めたことは貫こうとする姿に共感します。お父さんと言い争う場面もありますが、私は毎日電話するくらい父と仲良しなので、そこはピンとこないんです…(笑)。でもお稽古を重ねてその思いも理解したいです」
W主演で同い年のいとこを演じる秋田汐梨さんとは初共演。
「秋田さんの明るいイメージと役がぴったり。でもお互い人見知りなので少しずつ“いとこ”になれたら」
笑いを交え丁寧に心情を描くセリフの掛け合いが持ち味の横山作品。しかも今回は、ほぼ全編関西弁。
「ファンの方の顔と名前を覚えるほど記憶力には自信があるので、セリフ覚えは大丈夫。でも関西弁は難しいです。地元の名古屋弁とも全然違うので、大阪出身の同期・早川聖来に聞いてるんです。そして、初めてグループを離れて舞台に出演する不安も聖来ちゃんに打ち明けてみたら『考えすぎ!』って。確かに始まったら楽しくてあっという間かも(笑)」
演劇界でも存在感を増す乃木坂46メンバー。舞台で輝く先輩の姿も筒井さんの原動力になっている。
「生田絵梨花さんの舞台に毎回圧倒されます。普段ご一緒しているときとは別人の生田さんを見て、人はここまで変身できるんだって感動します。演じ手と観る人が思いを共有できるのも舞台の良さ。今回、私も作品を通してお客様と同じ気持ちを分かち合えたらうれしいです」
2012年以来、繰り返し上演されてきた今回のこの作品。
「悩んで、行き違って、人も物語も変化していく様子が魅力的だなって。それぞれの成長を感じるラストにも注目していただきたいです」
幕が下りたときには、筒井さん自身も一つ階段を上っているはずだ。
『目頭を押さえた』 畿央地域の山村で地域独特の葬儀の風習を継ぐ中谷家と、都市部から越してきた杉山家。伝統と新しさ、田舎と都会、非凡と平凡。その間で揺れ動く2人の少女と大人たちをめぐる会話劇。6月4日(金)~7月4日(日) 池袋・東京芸術劇場 シアターイースト 作/横山拓也 演出/寺十吾 出演/筒井あやめ(乃木坂46)、秋田汐梨、林翔太、枝元萌、橋爪未萠里、大西由馬、山中崇、梶原善 全席指定8800円ほか サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337 https://stage.parco.jp/ 大阪、名古屋公演あり。
つつい・あやめ 2004年6月8日生まれ、愛知県出身。乃木坂46四期生メンバー。16歳とは思えない落ち着いた雰囲気とあどけなさのギャップが魅力。愛称あやめん。
ワンピース¥9,790(ROYAL PARTY/KEIZAN CO., LTD TEL:03・6826・8222) ピアス¥4,400(ノワール ド プーペ ルミネ新宿店 TEL:03・5990・5853) 靴¥29,700(ジルスチュアート ルミネ新宿店 TEL:03・3346・7287)
※『anan』2021年6月9日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・鬼束香奈子 ヘア&メイク・江原理乃 インタビュー、文・大澤千穂
(by anan編集部)