メイクは個性を表現してくれるツールです。
「デビューして10年くらいは、メイク自体何のためにやるのかわかってなかったんです(笑)。プロの方にメイクしてもらうわけではなく、セルフでメイクする環境だったので、すっぴんで上京してきて何もわからないまま、最低限のメイクをするような状態でした」
アイドルとして表へ出る機会が増えて、少しずつメイクの楽しさもわかってきたそうだが…。
「当時は他のメンバーより目立ちたい気持ちが大きかったのと、自分の顔へのコンプレックスから、どんどんメイクが濃くなるばかり。メイクさんにアドバイスをもらっても、自分はいいと思っていたから完全スルー(苦笑)。しかもメイク直しという概念がなかったから、ちょっとヨレたらその上からどんどん塗り重ねていって、ファンデ5度塗りが当たり前でした(笑)」
メイクに迷走していた柏木さんに転機が訪れる。
「総選挙で上位になっていったことが認められたんだと思って自信がついたんです。当時は自信のなさをお化粧することで隠していたんだなって思います。収録番組は必ず見直しますが、客観的に自分を観察できるようになって、ここはやりすぎているなって気づけるようになりました。そこから数年かけて、気になるコスメをだんだん買うようになり、テクニックを研究するようになりました」
周囲の反応が変わってきたのは、つい最近のことだそう。
「やっとメイクさんにも褒められるように(笑)。最近のメイクは30分くらいあれば完成! いま思えば、メイクに2時間かけていた頃なんて、いろいろ重ねすぎて老けていましたね(笑)。素肌や素材を活かしたメイクが大切なんだって、やっと気づきました」
年々美しくなっている秘訣は?
「年齢を重ねたことで、自分のこだわりを頑なに貫き通すのではなく、プロに委ねることの楽しさにも気づきました。自分では知らなかった魅力を引き出して、可能性を広げてくれるのも嬉しい。昔は自信がなかったから、人に任せられなかったんですね、きっと」
柏木さんにとってメイクとは?
「昔は“とにかく目立ちたい”という他人目線のメイクだったけど、今は完全に自分のためのもの。誰かのためじゃなく、自分のために可愛くいたい。その日の気分をメイクで表現したり、純粋に楽しみながらやっています」
Beauty History
メイクデビューして14年間の変遷を、柏木由紀さんが振り返ります。
【2008】メイクに興味ゼロ期
母に教わったメイクでステージに。
「デビューして、訳もわからずメイクを始めたので、メイクは『変じゃなければ何でもいい』という感覚でした。楽屋に常備してあるファンデとパウダーでベースメイクをして、他のアイテムは母に100均で買ってもらいました」
【2010】“ヴィンテージまつ毛”と怒られ期
地味顔解消のために目元メイクが命に!
「ヘビーローテーションをリリースした頃。二重幅はグレーのアイシャドウで塗りつぶして、下まぶたにゴールドのラインを入れていました。マスカラは4本使いで、メイクさんに『ヴィンテージまつ毛(※)』って怒られてました」
※重ね塗りしすぎて“ひじき”のようなまつ毛に!
【2014】デパコス黎明期
ドラマ出演を機にメイクに興味が!?
「メイクさんのおすすめで、『エレガンス』や『クリニーク』のマスカラを使って、初めて“メイクの効果”を実感。ノーズシャドウやハイライト、コンシーラーを知ったのもこの頃。でも本格的に目覚めるのはまだ先(笑)」
【2016】メイク時間2時間! 超“厚塗り”期
独自のメイク方法で“超トゥーマッチ”に。
「意味のない独自のメイクのステップを作って、それを全部やらないと気が済まなかった時期。肉眼では引くレベルのハイライトや涙袋でした(笑)。ある時自分をテレビで見て『すっぴんの方がいい?』と疑問を感じるように…」
【2020】ゆきりん最強形態期
自分の個性を活かした抜け感メイクへ到達!
「自粛期間中にメイク研究をして、“その工程をやる意味”を理解できるようになり、テクニックも向上。クッションファンデや部分的なパウダー使いでツヤ肌に、アイラインもペンシルだけで仕上げて、今やメイク時間は30分に!」
かしわぎ・ゆき 1991年生まれ、鹿児島県出身。AKB48。7年5か月ぶりのシングル『CAN YOU WALK WITH ME??』が話題に。30歳を迎える7月15日に写真集発売が決定。
衣装はすべてスタイリスト私物
※『anan』2021年4月28日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・伊東牧子 ヘア&メイク・猪股真衣子(TRON) 取材、文・岡井美絹子
(by anan編集部)